流動の反対は固定。
一番多い使いかたは”資産”についてだろう。
流動資産と固定資産、換金のし易さで使い分けをしてるがざっくりいうと流動資産とは現金や株など現在価値がわかりやすく、現在価値で評価してもらえる資産で、固定資産とは土地や建物のように、現在価値がわかりにくくかつ取引が完了するまでに時間がかかる資産だ。
最近は、人に対しても用いるようになり、人材の流動化を図るなんて使いかたが出てきた。
人材の流動化の反対の人材の固定化は、終身雇用のような1社で働く、あるいは1部署、1分野だけで働くことを意味するだろう。
固定状態が、変化しないことを意味するのに対し、流動化とは変化する(し続ける)ことを意味する。
価値の変動が大きいのが流動性の特徴で、固定性はその反対だと思われている。
ついつい安定してることを良しと捉える我々は、固定に魅力を感じ、変化を嫌悪しがちとなる。
私が他の起業家よりも、資金集めがうまかったり、多少は世間的に発言力を持てるようになったりしたのは、「裏社会とは絶対に関わらない」など、小さな決め事をいくつも守り、リスクを避ける工夫を不断に積み重ねているからだ。運や勢いだけで、やっているわけではない。
価値が目まぐるしく変動する世界にいる人には、要の部分は変化させないという特徴があったりする。
好き勝手にやってるようにみえるホリエモンだが、自分の心のなかの流行り廃りという流動性に乗っているだけではなく、動かず固定させてるものも持っているようだ。
だから溺れないのかもしれない。
当然だと思われてる価値観は固定観念となり、その価値観に変化が出てもすぐに反応できない。
マンションの駐車場は、入居者の利便のためとその収益を修繕積立金に充当するという欠かせない目的のために設置される。
バブル景気の頃は、駐車場の確保は社会問題化し、新築マンションは戸数分の駐車場が敷地内に確保できなければ売れないと言われるようになった、しかしそれから10年後には駐車場の利用率低下が一部で顕在化し始めた。
住宅ねっと相談室 あらかると 「高齢化でマンション駐車場の利用率が下がってきた」 2005/7/27 掲載
今までは、駐車場の数が不足して、住民間の調整に頭を悩ませることがほとんどだったのですが、最近、駐車場の利用率の低下という新たな問題が現実化してきました。まさに、少子高齢化社会現象が実感できますね。
当初は、少子高齢化のせいだと思われていた駐車場利用率の低下は、今ではほぼすべてのマンション共通の問題になった。
最近、マンションである異変が起きています。それは、今まで満杯だった駐車場の枠に余りが出る一方、駐輪場に入りきらないほど、自転車が増えているという事態です。どうしてこのような異変が起きたのでしょうか。
駐車場に対する強烈な固定観念は20年も持続しなかった。
実生活の場では安定や固定は好まれるが、エンタメの世界では変化や多様性が求められる。
「シーマン人工知能研究所」の斎藤由多加さんにインタビュー。『シーマン』が次世代会話エンジンのヒントになる!?
斎藤:今までもっていた名詞や動詞といった決まりごとを取っ払ったら、まったく違う文法体系が浮かび上がってきて、僕たちはそれで会話しているんじゃないか?と思ったんです。
調べてみると日本語の文法は半分以上が戦後に作られたもので、かなり後付けでした。その文法で何かが組み立てられたのか? あるいは組み立てられるのか?って頭の良い人が今みんな困っちゃってるんですよね。ゆえに日本語は遅れに遅れていると思うんですけど、それを壊すだけではなくて、もっと上手い形にできたらいいなと思いました。
斎藤:これはよく聞かれる質問なんですけど、今の会話エンジンができるまでは作る気がないです。
なぜかというと、固定長の会話……、つまりあらかじめ用意されたシナリオの会話にのっとってシナリオが分岐して会話が変わっていっても、結局のところ分量を変えただけの固定長会話なんですよね。お決まりの会話だけこなしてしゃべらなくなるロボットみたいなのは、もうやりたくないんです。
順番が無ければ長さも固定されない、シナリオが無くてもしゃべる自立型の会話を僕は勝手に“AI”と呼んでいるんですけど、それが完成しない限りは作りませんね。
斎藤:究極かどうかはわからないですけど、当面僕が重要だと思っているのは言葉と言葉の間(ま)です。
間というのは白い間だけでなく、ため息なども含むもので、「疲れたぁー……」って言ったら「疲れた時には○○がオススメです」みたいに返すのではなく、「どうしたの?」って慰めてくれるような、そんな機能はいわゆる昨今の音声アシスタントには入っていないと思うんです。人の気持ちを汲み取ってくれるようなことが『シーマン』の役割なんじゃないかなと思っています。
固定長の会話が意味するのは予定調和だ。
言葉の場合、固定の反対は流動になるかどうかはよくわからないが、予定調和の反対には自由な伸び伸びした自然な反応を感じる。
だとすれば言葉の流動性は個性に通じるかもしれない。
と思ってるところにこんな記事が出てきた。
チャットボットのボブとアリスが突然英語での会話をやめて、2体だけに通じる独自言語で話し始めたため、フェイスブックが機能を停止した。
チャットボットは最初、機械学習アルゴリズムに接続されていた。ボットには、会話スキルを高めるためにメッセージを送り合うよう命令されていた。ボットは独自言語を開発するだけでなく、話し合い改善のための戦略も策定した。
想像だが、汎用性を身に付け高めるために機械学習アルゴリズムに接続されていた2体のボットは、汎用性を身に付けるより、2体の間で通じる言葉を見つけるほうが簡単で合理的と判断したのだろう。
2体の間で通じる言葉とは、まさに固定長の会話だろう。
一般的に用いられる流動性があるとかないというのは、今や経済用語になった。
そこで流れているのは貨幣的な価値だ。
動かない人間の周りで、いろいろなものが流れることで世の中が成り立っている。
地球温暖化で水の循環が変化している。
豪雨や洪水の被害はすぐにニュースになるが、水が無くなったというニュースは伝えられない。
総量は変化してないのに、増えた減ったと一喜一憂する。
時代は、固定された状態を解除し、動けるように仕向けている。
溺れないように流される術が求められているような気がする。
どっしり構えていればよかった時代とは、求められる能力が全く違うだろう。