今年5月に観光立国推進基本計画が閣議決定された。
日本を国をあげて観光立国化しようと動き始めたのは平成15年の小泉純一郎総理の時から。
何を目玉にするのか?
昔の話をしてもしょうがないので今の話をすると、いわゆるインバウンド需要の動機になるものだ。
- 京都(京都に限らず歴史や伝統が今も生きてる場所や建造物が魅力の地域)
- 北海道(雪の質や地勢的な魅力、北海道以外でも気候風土の魅力がある地域)
- アニメ関連(アニメに限らず独自文化として世界にファンを持つもの)
- 飲食(これも独自文化として世界に通用するものでラーメンなどは代表格)
- 円安によるコスパの良さ
- その他(目的やテーマが明確な人の期待を満たすもの)
ざっくりとあげたが、円安によるコスパの良さも日本製品や日本のサービスの品質の良さが前提だとすると、上記は全て日本の資産の魅力と言えるのだ。
これらの資産の魅力に一番気付いてないのが日本人かもしれないが、これは日本に限らず観光立国の常かもしれない。
今の日本人の多くが資産とは金銭的な価値や評価に置き換わる金融資産だと思ってるが、それは資産の本質から少し外れてるのかもしれない。
既に在るものや、努力や練習の結果気が付いたら身に付いていた能力や技術やセンスや感覚もまた資産だし、むしろこちらの方が資産としての本質なのかもしれない。
評価されない資産が無価値なわけではなく、価値が世間で共有されてないだけであり、価値に気付く人が少ないだけ。
しかし残念なことに価値が共有されないような資産は負債化する。
価値が共有されないと、ガラパゴスな存在感を発揮することになる。
歴史や伝統がもはや再現不可能なものだと認知され価値が共有されると減価償却の枠を超えた資産として成立するが、古臭いだけのものという価値で共有されると負債にしかならない。
古いものの中には資産価値がないため解体撤去の費用すら惜しまれほったらかしというものもある。
また、最先端のつもりで取り組んでいてもそれが評価されなければ独り善がりなガラパゴスなままだが、それだって広い意味では資産。
資産の捉え方には大きく二通りがあり、対義関係に何を当てはめるかで変わる。
一般的には、資産⇔負債だが、有形(資産)⇔無形(資産)もある。
資産や負債を経済用語として捉えると結びつき易くはないが、人間の感情次第で資産は負債化するし、負債だと思っていたものが資産化するということは起きる。
感情は勘定を狂わせるのだ。
感情が勘定の敵だという意味ではない、そういう場合もあるが、それよりもいろんな意味で感情を味方に付ける方が勘定も上手く行くことの方が多い。
最近は、上手く行ってる勘定の流れを壊すのは、上手く行ってるからと『もっと早く』『もっともっと』と欲張る感情が原因というパターンが定番になっている。
そういう欲張りは効率化の追求などと呼ばれ、当たり前だと思われがちだが、そういうベクトルこそが敵だ。
ちなみに日本は貿易立国なのかそれとも観光立国なのかという議論は多いが、その議論の答えはどちらでもなく内需主導だと言われがちだ。
どういう捉え方をするかで資産が意味するものも変化するのだ。