日本人の場合、空気を読むのは個人だけでなく、法人や組織も空気を読んでいるだろう。
"空気を読むこと"は、本音と建前の使い分けを生む。
空気を読んで行動するというのは、意に沿わない不自然なことが、自然発生してるように見せることでもある。
だから不都合な真実が隠れることがある。
『不都合な真実』という言葉は、2006年に当時アメリカは公式には地球温暖化の進行を認めてなかったが、アメリカの副大統領アル・ゴアが主演した政府批判映画のタイトルに用いられたことで有名になった。
地球温暖化に関しては、アメリカではマスコミやメディアですら空気を読んでいて、アメリカ国民に対し伝えようとしていなかった。
不都合な真実は、目の前で起きているのに、あまり意識されないことがある。
正社員求人倍率、7月も1倍超え 2カ月連続 日本経済新聞 2017/8/30
求人倍率の良さをアピールする記事の裏にあるものは何だろうか?
失業率低下は、 低生産性部門での人手不足の現れ 野口悠紀雄 2017/4/1
日本の雇用状況は、高度成長期の頃のそれとは著しく異なるものになっている。繰り返せば、製造業などで終身雇用が保証されていた時代は終わり、生産性の低い分野における、低賃金で、将来の保証がない就業が増加している。
政府が先般発表した「働き方改革」には、このような変化に対する認識が十分でない。現在の状況を高度成長期型の姿に戻したいだけのように見える。
フリーランシングに対する欲求が強いのも、このような背景のもとで理解する必要がある。
求人倍率という数字にトリックが潜んでいそうなことは、皆感じているだろう。
では、何が起きてるかをもう少し具体的に言うと、
現在、風俗産業がある種の女性にとってのセーフティネットになっているといわれていますが、都会の男性にとっては、住居を提供してくれる建設業や警備会社がセーフティネットになっているのです。
もちろんこれが全てでないのは当然だが、なぜ世の中がブラック化するのかの一端が見える気がするのではないだろうか。
ほぼすべての分野で、売上や利益の増大を、安い単価の商品を多く売ることで達成しようとしてる。
そのために原価を抑えることと、経費の削減と、市場開拓が、関心の中心になる。
そして多くの分野で、アイデアもバックグラウンドのテクノロジーも陳腐化し、差別化に繋がらない現在、ブラック化が最も手っ取り早い儲けの素になるのだ。
ブラック化するのは、組織だからかもしれない。
だからだろうか、副業を含め、個人で活路を見出そうとする動きも増えている。
そんな動きの中に、大勢の人が支持してるようだが、その実態が見えないし、納得できない(共感できない)という世界がある。
いわゆるフォロワーが多いという世界だ。
中でもYouTuberだ。
最近何かとお騒がせなYouTuberがいるが、彼らの作品の一部を見たが、全く面白くない。
ここにも、不都合な真実が隠れているのではと調べていると、説得力を感じる分析に出会った。
YouTuberって、何がすごいのかを聞いてみた【前編】〜鈴木おさむ × 鎌田和樹 × ヨッピー鼎談〜
鈴木さん
そうですね。それが大きく変わったのが、僕に子供が出来た事なんです。これはテレビ業界の人間あるあるなんですけど、子供が5歳くらいになるとみんなHIKAKINさん見始めるんですよ。
鈴木さん
油断してると子供がずーっと動画見ちゃうんですけど、僕、一年間仕事休んでたから家で僕が料理を作る時とか、おとなしく動画見てくれてるんですごく助かるんですよ……!
ヨッピー
僕もね、最初HIKAKINさんが小学生に囲まれてる写真を見てね、ネットでは「YouTuberって所詮子供しか見てないんだなww」みたいな文脈で叩かれてたんですけど、僕はそれを見て逆に恐ろしかったんですよね。だって、子供にこんなに支持される大人っていないじゃないですか。
子供達がこんながっつり心を掴まれてね、この子達が今後大学生とか大人になって、お金を持ち始めたらとんでもないな、って。
YouTuberって、何がすごいのかを聞いてみた【後編】〜鈴木おさむ × 鎌田和樹 × ヨッピー鼎談〜
鎌田さん
じゃあ10年後もYouTubeかっていうと、やりたいとかやりたくないとかじゃなくて、そもそもその頃に何をしているかがわからないっていう意味で通過点になってる可能性は高いですよね。
フォロワーが多い人気YouTuberが生まれる背景には、タイトな生活環境で子育てを強いられてる親が、子供をあやすためにYouTubeが便利だという事情があり、YouTubeを見ることが習慣になった子供が現在成長中であり、既に成人も出始めてるということがあるようだ。
YouTubeがスタートしたのは2005年だからまだ歴史は浅いが、同じく日が浅いネットサービスにインスタグラムがある。
YouTubeの主役が子供なのに対し、女性が中心なのがインスタグラムだ。
男性や中高年層の利用者が比較的多いフェイスブックは、出来事や考えたことを伝えることが目的の「報告メディア」であるのに対し、インスタは好きなモノやコトを共有する「共感メディア」だといわれます。
全員に共通していたのは「自分が『良いな』と思ったモノや出来事を撮影して投稿し、共感してくれる人がいると嬉うれしくなる」「小さい頃から写真を撮るのも撮られるのも好き」という点です。
共感を求めるのは男も女も同じかもしれないが、男が共感を得ることが目的なのに対し、女はあくまでも自分が良いと思う世界観にこだわることを大事にしてることが感じられる。
インスタの利用者の拡大とともに登場したのが、「インスタグラマー」と呼ばれる新たな「職業人」たちです。ブロガーやユーチューバ―と同様に、彼女らもまたインスタを活用して収入を得ています。
ビジネスの世界が、稼げない世界になるにつれ、遊びや趣味の領域で稼ごうという人が増えていると言うことは、不都合ではないが、一つの真実だ。
怪しげな自己啓発セミナー、はじまりは70年代後半から 今後はさらに騙されやすくなる!?
「英語や記憶術などのコンプレックス産業と成功術を掛け合わせる、さらにそれをアフィリエイトに落とし込んだり資格商法化するなどです。講師も脂ぎったヒルズ族系ではなく、モヤシ系だったりとすでに豊富。今後はますます、わかりにくくなっていくし、間口も広がるでしょうね」
昔から、"趣味を仕事にするな"と言う自己啓発がある一方で、"好きこそ物の上手なれ"と言う諺があるように、正反対の教えが人々を惑わせている。
新しく生まれるビジネスの多くは、共感がキーワードになってるようだが、そのレベルは、まだ高くないように感じる。
儲かる仕事がどんどん減って行くなかで、選ばなければ仕事は増えているように見える。