違う見方

これから時代はどう変化するのかを時事ネタを交えて考察。考える際のヒント。気付くためのヒント。

ステマ

ビジネスを展開する上で、やってはいけないとされることがある。

 

商品を売ってる場合、客に原価を伝えてはいけないなど。

 

原価を知った客は、店が取ろうとしてる利益がわかり、値下げを要求したりするなど、販売価格の正当性が薄らぐからだ。

 

反対に客も、安いと思った場合は、もしかしたら値付けを間違ってるかも知れないと思い黙って買うかもしれないし、安い理由がわからないと安心できないという場合もあるだろう。

 

世の中の人は全てがエンドユーザーであるが、同時に一部の人は売る側の人でもある。

 

"売る人と買うだけの人"に分けた場合、圧倒的に売る人が少なかった時は、買うだけの人に対して商品の原価や仕入れ価格を伝えることは、商売を有利に展開できなくなるので、やってはいけないこととされていた。

 

少し毛色が違うマスコミやメディアの世界では、スポンサーの機嫌を損ねることはタブーとされるので、自然と忖度が働く。

 

スポンサーの商売の要に関することは、スポンサーの意向が無ければ、真実を伝えるよりも美辞麗句で持ち上げることが多い。

 

いづれにしても、買うほうが買わないよりも得をすると判断できる場合に買う。

 

と思っていたが、いつの頃からか「それって誰得?」な情報をメディアが発することが増えてきた。

 

中古マンションは1割高く売り出される 割高な中古マンションを瞬時に見抜く「LINE判定」 日経ビジネス 2018/3/30

売り手には売り手の仲介が付いていて、取引相場を教えてもらっている。売り手には相場をきちんと教えてくれる人がいるが、買い手には教えてくれないという業界構造的な問題がある。

 

アプリの宣伝なのか?

 

読者であるエンドユーザー向けの役に立つ情報としてなのか?

 

既存の不動産事業者はスポンサーにならないからなのか?

 

この程度の情報は今更知っても価値はないので、プラスにもマイナスにもならないからなのか?

 

同様の記事を金融や保険でもよく目にする。

 

メディアが広告を出さなくなったスポンサーに嫌がらせをしてるのだろうかと勘ぐったりもしたくなる。

 

 

同じく今日、下記の記事を見た。

 

リクルート、ローソン、旭硝子が明かす海外ビジネスの“失敗”と“成功”

会場は経営者 ・役員、人事担当者、今後海外勤務を希望する人などで埋まった。 

イベントは「経営者」と「現場担当者」の2つの視点で構成。

 

 

この記事を読んで少し違和感を感じた。

 

誰に向けた記事なのだろうかと感じたからだ。

 

読み直したけど何かピンとこない、誰得?なのだ。

 

もう一回読んで少しわかった。

 

要は広告だったのだ。

 

その旨の記載はあるが、デザインがそれっぽくないから気付かなかった。

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赤線部分に書いてあるがわかりづらく、他の記事の表記と比較してやっとわかった。

 

リクルート社の記事風広告。

 

これは、スポンサーの意向に応えるものであることが伺える。

 

 

まだ売ってるモノ自体が少ない頃は、"買える"ことが大事で、つまり売ってもらうことが大事だったので、買い手の方が立場が弱いことがあった、この理屈が当てはまるような分野では現在でも売り手が強いだろう。

 

しかし、大量生産、大量流通、大量消費が普及すると、世の中のエンドユーザーの多くが売る側の立場でもあるので、商品の販売価格と原価や仕入れ価格、はたまた流通コストについての情報すら持つようになるので、価格や値付けの仕組みがわかり、どの位利益を取ろうとしてるかも推測できるようになる。

 

こういう状況下で、商品の売り買いが行われる時は、共感を含めて気持ちにアピールするものに反応し動機が形成され、その動機に従いやすくなる。

 

だから、絶対やってはいけなこととしてステルスマーケティング(ステマ)が上げられる。

 

ステルスマーケティングは、自身の身元や宣伝が目的であることを隠して行われることにより、消費者をだます面や消費者に不利益をもたらす面を持つため、国家によっては法律により規制されている。

 

ステマとステマ対策はイタチごっこなので次から次と手法が新しくなる。

 

身近にステマが潜んでいることを自覚する人々は下記のように反応する。

 

4人の女子が斬る!「ステマは絶対に見破れる」
座談会で見えた、企業が考える「若者消費」の勘違い 2017年9月15日

実際、ステマだと分からないステマなんてないと思います。インスタなどのSNSって、意外とその世界は狭いと感じます。ミーハー好きな子がフォローしている対象は結構同じようなインフルエンサーが多い。そのフォロワーにリーチする時に同系統のインフルエンサーを起用すれば、一斉に似たような紹介が流れるんですよね。普通にSNSを使っていれば、すぐに見破れると思いますよ。

 

この記事自体が一種のステマ的なものになっている。

 

「ステマは絶対に見破れる」という気持ちを持っている時点で、ステマのカモになる素質は十分備えているといえる。

 

『ミイラ取りがミイラになる』という古典的諺の典型だろう。

 

最近改めて感じるが、新しいことが起きているようでいて実は、人間は同じことを繰り返しているのではないだろうか。

 

"歴史は繰り返す"とは違って、人間が取る手段は二パターンしかないのではないかと感じる。

 

目的に対して、"正面突破"を図るか、"裏をかく"かの二パターンだけしかないのかもしれない。

 

ただ、何が正面で、何が裏かは、さまざまな解釈が成立するので、ここに個性の違いが表れる。

 

 

ステマがタブー扱いを受けるのは、騙す行為だからで、問題にされるのは売り方であり、広告宣伝のやり方で、商品自体に問題があるわけではなかった。

 

タブーが設定されると、それを避けるようにステマが展開される。

 

効能を謳いたいが、法律がそれを許さない場合、そんな時ステマ手法は用いられる。

 

一方、商品は同じだが、法が介入しないように商品の属性ジャンルやカテゴリーを再定義するという手法も増えている。

 

薬や化粧品を治療や美容としては謳わずに、リラクゼーションと銘打てばどこにも抵触しないで自由に展開できるなどのように。

 

マッサージも具体的な効果や効能を謳えば医学寄りになり資格が必要になるが、"もんで気持ちよくなる"程度であれば資格は必要ない。

 

疲れてる時に、肩もみをしてもらえば、相手が誰であっても気持ちいい、果たして言うほど技の差なんてあるのだろうか?

 

 

こんな分野でも。

 

婚活女性を依存させて搾り取る、悪質婚活スクールの手口 2018/3/30

「背後には、その元締めとなるビジネスプロデューサーの存在があり、婚活ビジネスのノウハウを教えているのです。中には婚活はタテマエで、初めから婚活女性を囲い込んで食いものにしようとしているグループもあります」と、澤口氏。

 

 

「現在、乱立している婚活スクールのほとんどはあと3年持つかどうか。婚活市場も成熟し、サービスも“質”で勝負していく段階に入っています。一部の優良なスクールをのぞき、安易な婚活ビジネスは淘汰されていくでしょう」

 

 

ステマのように、本心や本音を隠して目的達成を狙うのは、やっちゃいけないことが法律で決まってるからで、その網の目を掻い潜ろうとしているのだ。

 

弱者を守るための法律が、巧妙に振る舞う人間に味方する武器になっている。

 

 

ステマが"Stealth Marketing"と英語であることを考えると、アメリカでも問題になっているのだろうと思い、検索するとこういう記事が。

 

米当局がインスタグラムの「ステマ」追及、セレブ21人調査 2017/9/14

米連邦取引委員会(FTC)は、スーパーモデルのナオミ・キャンベルさんや女優のリンジー・ローハンさんら有名人21人に対して、写真共有アプリのインスタグラムにおける商品掲載で、何らかの報酬を得た事実がないかどうか問い合わせる書簡を送った。

 

 

 

広告宣伝はプロパガンダと紙一重で、ある意味"騙しのテクニック"としてアメリカ人には理解されてるらしい。

 

そんなアメリカでステマを規制しようという動きが出たのは、あまりにも低レベルなステマが増え始めたかららしい、しかもそのきっかけの1つになったのはSONYがプレイステーション・ポータブルの宣伝のために立ち上げた偽のファンサイトにあるらしい。

 

アメリカ人は広告宣伝に騙しの要素があることは許容してるらしいが、その代わりに騙しには美学やウィットを求めるらしい。

 

SONYの2006年のステマは、低レベルであったこととヤラセが暴露されたことでSONYは大きく信用失墜した。

 

アメリカ人は低レベルのステマに怒り、日本人はステマ全てに怒る、国民性の違いが表れていておもしろいが、そんなアメリカでもステマそのものが問題になりはじめている。

 

ステマには騙されないぞと思ってる人は大勢いるが、なぜステマがなくならないかというと、きっと効果が高いから。

 

インターネットがもたらしたパーソナライズされた情報群が逆に迷いの元になっているのだろう、だから自分以外の誰かの価値観を参考にしたくなるのだ、その人が有名人であればさらに安心も得られるのかもしれない。

 

情報が多すぎることで、自分の内部でその処理がうまくできなくなっているので、正解を求めるよりも、失敗しないものを求めるようになる。

 

だから、自分が良いと考えるものよりも、他人が使って良かったというものが価値を持つようになる。

 

ステマはますます巧妙化し増殖するだろう。