私の認識では、ストレスというのは元々は、他人から課される過度の期待やプレッシャーに対して感じる負の心理や、自分自身が自分に課す過度の自意識過剰に対して耐えきれなくなるものと思っていた。
しかし、いつの頃からかストレスとは、心と体を蝕む要素を自覚した時に、それに抗おうとする際に感じる心理を広い意味で指すものになったような気がする。
そういう変化のキッカケは、ストレスが健康や寿命に悪い影響を与えると言われ始めてからだろう。
イギリスの心理学者が、「 満員電車のストレスは、戦場の戦士のストレスより高い 」って研究結果を出してるの🤭毎日電車に乗る社会人・学生とてもすごい。 pic.twitter.com/6gCU5fszJU
— かよ🇨🇳🇯🇵プログラマ (@0810kayo) October 1, 2018
イギリスの心理学者デイヴィッド・ルイス博士だそうです。2004年のデータなのだが、2004年の満員電車より今の満員電車の方がコミコミしてそう。
— かよ🇨🇳🇯🇵プログラマ (@0810kayo) October 1, 2018
とても興味深いテーマ。現代の心理学者は研究してるのかしら。 pic.twitter.com/3Fg81Uc6qk
Google Trendsで、"満員電車"を検索可能な2004年以降で見ると、
"満員電車"の検索が緩やかに増加傾向にあることが感じられるが、さすがに全国的な関心ではなく、それなりの都市に限っているようだ。
では、"ストレス"を2004年以降で見ると、
"満員電車"と"ストレス"は、リンクしてるかのように似たカーブを描いているように見える。
では、現代社会では目の敵にされるようになった"タバコ"を同様に2004年以降で見ると、
これまた同様の上昇カーブを描いている。
おもしろいのは、関連するトピックやキーワードだ。
タバコに関してストレスを感じるのは非喫煙者だと思っていたが、電子タバコの検索が多いということは、喫煙者も最近の風潮にストレスを感じていて、少しでも非難の目を回避したいが、だからと言って禁煙は無理だと思っている様が感じ取れるような気がする。
これらを、全部同時に比較すると、
となる。
今年の日本は、自然災害が目立つが、そんな時、装備を満載し現場に救助に駆けつける人々、例えば警察、消防、自衛隊の方々にはどんなストレスがあるだろうか?
あるいは、戦地やテロの現場に駆けつける場合はどうだろうか?
「ボディアーマーは高い防護力を提供するが、兵士のパフォーマンスが犠牲となっている。過大な負荷は移動力の低下、疲労の増大だけでなく、状況認識力や射撃レスポンスの低下を招くことは経験的に証明されている」アメリカ陸軍兵士の装備にする報告書を要訳してみますhttps://t.co/uEtOgq547d
— たぶん大佐 (@Col_AYABE) September 29, 2018
重いボディーアーマーは兵士のパフォーマンス低下に影響。携行物の適正な最大重量は50ポンド
イラク・アフガニスタンでの戦闘で兵士は日常的に119ポンド(=約54キログラム)もの重量負荷を経験しており、その結果戦場で医療救助を受けた兵士の1/3が、脊髄や結合部位、筋骨格障害を受けている。これは戦闘による負傷の2倍に匹敵するという本末転倒の結果になっていた。
豪雨の中で合戦・行軍するとどうなるか?マトメ
— 吉村英崇@11月はガチ甲冑合戦! (@Count_Down_000) November 22, 2017
・体力メッチャ削られる。
・視覚、聴覚、判断力、そして気力が落ちる
・とにかく滑る。相手を倒そうとして飛び込んだり走ると危険。
・軍の中での連携が上手くいかない。
・戦う以前に行軍しんどい
・火縄銃どころか弓も上手く使えない。 pic.twitter.com/XaiSaEYMib
現代人は、様々なものがストレスとなり自分に襲いかかっていることをはっきり自覚している。
そして、過剰に、被害妄想的に、新しいストレスを発見し続けている。
ところで"ストレス"に関してウィキペディアには、面白い記述がある。
アメリカ合衆国での、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していなかった。
健康心理学者のケリー・マクゴニガルはこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡するリスクが43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明した。
また科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介している。
例えば、ストレスを感じると心臓がどきどきするが、これを体に悪いとネガティブにとらえると実際に血管が収縮し心不全などの原因となる。
ところが、心臓がどきどきするのは新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かった。
すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張している。
残念ながら、現代人はストレスという言葉が日常語になる前の頃にはもう戻れない。
それがストレスだと知りさえしなければ、許容範囲に収まっていたかもしれなが、現代人の許容範囲はどんどん狭くなっている。
この許容範囲の狭さと折り合いを付けながら生きて行かなければならない。
そのためには、許容範囲を広く取る努力をするか、ストレスの元を徹底的に排除するしかなくなる。
多くの人にとっての正解は、嫌なものから逃げることになるのだろう。
嫌なものから逃げることは、正義になる!