新しいものをいかに早く取り入れ、ものにするかが、関心の中心になるという生活に現代人は染まり過ぎている、もちろん私も例外ではない。
そんな生活は、「便利な生活」と呼ばれている。
何事にもトレードオフがあるように「便利」にもトレードオフが存在している。
1970年代に一部の科学者が指摘し始めた地球温暖化が政治の表舞台のテーマになったキッカケは、2006年に公開された映画「不都合な真実」でアメリカで副大統領を務めたことがあるアル・ゴアが主演をしてからだ。
「便利」には、表裏一体の不都合な真実がトレードオフとして存在していることには現代では大勢の人が気付いている。
気象問題だけでなく、人間の健康を含めた生態系への悪影響やダメージは度々話題になるが、顕在化するまでに時間差がかなりあるという特徴がある。
今日は、時間差がほとんどなく発生する不都合な真実について話題を集めてみた。
このようなテーマを思いついたのはセキュリティについて考えていてだ。
セキュリティ(英: security)は、人、住居、地域社会、国家、組織、資産などを対象とした、害からの保護。
一般には保安のことであり、犯罪や事故などを防止するための警備全般を指す。
コンピュータ関連の文脈では、特にコンピュータセキュリティを単にセキュリティと呼ぶ場合がある。
金融業界では、出資を募る団体を損害から保護するという意味から派生して、セキュリティが証券を意味する場合がある。
securityは名詞で、その動詞はsecure。
secureを詳しく説明しているブログがあった。
secureは「心配から離れていること」なんです。
ならば、「安全な、確実な、信頼できる、安定した」や「確保する」、「固定する」「保証する、引き受ける」、「保護する、守る」という意味が全部se+cureの意味でつながります。
本来は、「心配事から離れる」という意味だったセキュリティは、今や「心配事に近づく」あるいは「心配事を引き寄せる」ものになっているような気がする。
このことも、気付くと「不都合な真実」に思えてくる。
今日のテーマに戻すと、時間差がなく発生する不都合な真実に、secureを追求した技術が関係してるということが上げられる。
その技術がマイナーな時期はsecureなのだが、普及してメジャーになった途端に不都合が顔を覗かせる。
パソコンの普及とともにコンピューターウイルスが増え、1999年には電子メールを介してウイルスが拡散するという事例が確認されている。
以降、コンピューターやネットワークの世界には、「絶対安全」、「鉄壁の防御」という謳い文句はあっても、実際には絵に描いた餅に過ぎないことが増えている。
深夜に白いマスク姿の男がアンテナの付いた機械を民家に向けると、ガレージにとめられたトヨタの高級車「レクサス」のハザードランプが点滅した。防犯カメラには車のドア付近にもう1人の姿が写っており、解錠までわずか5秒ほどだった。
車の所有者の男性(37)によると、車の鍵は自宅2階のリビングに置かれており、車との距離は約10メートル。犯人はエンジンの始動に失敗するなどして逃走したが、男性は「怒りよりも、こんな簡単に盗まれるのか、という驚きの方が大きい」と話した。
詳しくは記事を読んで欲しいが、ハイテク犯罪のようで、共犯者の数が頼りだというアナログ犯罪でもある。
こうやって手口が分かると実にあっけないが、この手口が認知されるまでは、車を盗まれた人を含めて関係各位(メーカー、警察、保険会社)は誰もが、「何が起きたか分からない」状態だっただろう。
便利を求めsecureを高めても、その便利やsecureは悪意を持ってる人にも利用可能な場合があるのだ。
最近は便利やsecureの要が通信やネットワークに依存する傾向が強い。
善意悪意に関係なく適用されるのが「通信の秘密」で、原点は郵便で、現代では誰の味方かわからなくなっている。
電気通信事業法にも郵便法にも「秘密の保護」「検閲の禁止」がとても重いものとしてあって、日本国憲法の「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」の実装。しかも、通信については、公開するものでなくて、内心に留まるものだから、公共の福祉による制限もないもの。
— MAEDA Katsuyuki (@keikuma) April 27, 2018
郵便局がはがきの宛先見て「これ犯罪組織だから届けなくていいよね」ってやっちゃダメ、って法律です。たとえ反社会的勢力であっても通信の秘密は保証されるべきというのが憲法の趣旨。ネットワークブロッキングは、政府が法を超えて民間企業にその指示が出せることと同じ(もうちょっと複雑なんだけど)
— ふぉーてぃないなー (@49ermania) April 23, 2018
(参考)
技術を駆使したハイテク犯罪のように見えることの中には、要は人力に頼った超アナログであるものが多いかもしれない。
日本の本格的なハイテク犯罪の第1号は、35年前のきょう発覚した旧三和銀行の巨額詐欺事件だという。大阪の支店に勤めていた女子行員がオンラインシステムを悪用し、別の支店に開いた口座に入金があったように入力する手口だった。(春秋) https://t.co/dU4FxZuuod
— NIKKEI BUSINESS DAILY(日経産業新聞) (@nikkei_bizdaily) September 4, 2016
この銀行の詐欺事件も車の窃盗犯も、事件の計画を立て実行に移るまでの経過を想像すると、すごくアナログな作業の連続であることが想像できる。
secureなものには、必ずトレードオフがあり、盲点は超アナログに宿るという不都合な真実が潜んでいると肝に命じた方が良さそうだ。