嘘を付くということが、フェイクニュースと言われ、ニュースの一つのジャンルとして扱われることが世間に認知されたのは2016年の秋。
この頃、アメリカではトランプ大統領が誕生し、日本ではWELQ問題が起きていた。
この時期に問題になったのは、嘘に騙されるのは人間だけではなくアルゴリズム(≒検索エンジン)もだということだった。
この頃は、「やっぱり、最後は人間のチェックが必要だ」という声が上がっていたように記憶している。
その後、この批判を一番浴びていたGoogleは、検索エンジンのアップデートと称した大規模なアルゴリズムの変更をときどき行うようになった。
その度に検索の結果が変動することで一喜一憂する声が上がるようになって行った。
そして2019年の3月にもGoogleのアップデートが行われ、そのダメージを受けてアクセス数やPV数が激減したという嘆きの声がTwitter上には溢れている。
その対策として、Googleが何を意図しているかを読み解こうとして大勢の人たちが悪戦苦闘しているようだが、その様がまるで詐欺師と騙されまいとする人のいたちごっこのようにわたしには見える。
最近の多くの詐欺が電話や郵便という旧来の通信を舞台にしていて、大原則としてその世界では全ての通信の秘密が守られている。
だからこそ、不毛のいたちごっこが繰り返されている。
もし、警察など捜査権を持つ組織が通信の秘密を上回る権力を持っていれば詐欺対策はもっと違ったものになるような気がする。
電話や郵便を使った手口だと、手口の周知が対策となるため、時間差が発生し、その期間が詐欺師の稼ぎ時になり、潮時を見て新たな手口に移っていくことになる。
つまり、詐欺師の多くにとって改心のモチベーションは低いはずだ。
それに対して、インターネット上での対策は、Googleがその気になれば問答無用で怪しい者にダメージを与えることができる。
やっとの思いで時間をかけてダメージを回復させても、アップデートのたびにダメージを受けてればモチベーションは続かないはずだ。
完璧なアルゴリズムがあるならば、嘘やフェイクのみをピンポイントで駆逐できるのだろうが、それは無理なのだろう。
だからこそ、アップデートのたびにダメージを受けると、嘘やフェイクに心当たりがある人たちは、「こんな割りに合わないことはやめよう」と改心させられるかもしれない。
今回の3月のアップデートの影響はわたしにも出ていてほぼ半減している。
しかし、これも悪くないかなと思っている。
性善説に期待してるとラチがあかない場合は、性悪説で対処するしかないのはしょうがない。
インターネットの世界は、電話や郵便よりも自浄能力があると言って良いかもしれない。
詐欺や嘘やフェイクは、やり逃げが成立するところが勝てば官軍を思わせる。
勝てば官軍を目指す世界では、足の引っ張り合いという“いたちごっこ”が繰り返されている!