違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

『十年一昔』、だから歴史は繰り返す!

失敗は、教訓に出来その後の人生で同じ過ちを繰り返さなければ、価値を見出すことができる。

 

10年を基準にして過去を振り返ると、大きく変化した10年もあれば、変化はしてるけど想定の範囲に留まる10年もある。

 

伊達に長生きをすると、失敗も多く経験するものだ。

 

それらの失敗を振り返りながら、教訓にはしたつもりだが、似た失敗を繰り返す自分に改めて気付くことがある。

 

そして、個人レベルではなくもっと広い単位としての社会を想定しても、この失敗の繰り返しに似たようなことが起きていることに気付く。

 

そんな時には、ある錯覚が働いている。

 

10年経てば世の中は変わるので、10年前の教訓も変化してるはずだ。

 

このように考え始めると、教訓を活かすことを過去に縛られているだけと思えてくる人も出てくるはずだ。

 

 

少し思い出した話がある。

 

バブル景気が弾けて会社の倒産を経験した私は、その後2〜3年した頃、盛んに異業種交流会や勉強会に参加していた。

 

その中には、中央官庁の官僚が主催するようなものもあった。

 

その頃私はコミッションビジネスをやっていたため売り上げを上げれば収入は天井知らずだが、売り上げがゼロなら給料はゼロにこそならないがその金額ではとても生活できないという吉本芸人状態だった。

 

ただこの状態は、実は結構楽しかった。

 

給料の変動は大きくても、上手く行った時の醍醐味があったからで、今振り返るとギャンブルをやったことがない私にとってはギャンブル的な存在に仕事がなっていたのかもしれない。

 

異業種交流会や勉強会は、そんな私にとっては仕事のネタ探しであり、お客探しの場になっていた。

 

90年台半ばというのはバブル景気が作り上げた高揚感が忘れられない人がたくさんいた時代で、異業種交流会や勉強会に参加していたのはほぼ同種類の人物ばかりだった。

 

副業が禁止されてる公務員それも結構良い身分の人達や、同じく当時は副業を認める企業なんてない時代だったが、とても副業が必要とは思えない上場企業の中間管理職などが、身分を隠しながら大勢参加していた。

 

彼らの動機は、バブル景気時代に立てた人生設計の不足に対する補填のためだった。

 

バブル景気前に立てた人生設計をバブル景気で上方修正し、バブル崩壊後も上方修正したままで人生設計を下方修正できなかった人々が副業に活路を見出していたのだ。

 

おそらく、不景気なんていつまでも続くものではなく、遅かれ早かれいずれ抜け出すものだとも思っていただろう。

 

「ない袖は振れない」という教訓は、実際に体験した人以外にはその本当の恐ろしさが分かりづらくなり始めた時期かもしれない。

 

無い袖を振ろうとすることに躍起になってる人がたくさんいた。

 

ところで、この異業種交流会や勉強会の主催者のほとんどがネットワークビジネスを展開するためにやっていた。

 

参加者は、主催者側の人と自分のビジネスへの野心が強い人がほとんどで、どの異業種交流会や勉強会も似たような雰囲気だった。

 

結果的に、自分の商品は売りたいけど、他人の商品は買いたくない人ばかりが集まる場になっていた。

 

ここでは、ネットワークビジネスに対しては詳しくは触れないが、私を含めて親しくしてる仲間でネットワークビジネスと接点を持った者は、身近な人には絶対ダメなものとして伝えるようになったので、遅かれ早かれネットワークビジネスは市場から消えると思っていたが、商品やサービスが変わると、過去の教訓が途切れるらしく、「もうやらない」と言っていた人が、「今度のは違うよ」と、最近言って来たのには驚いた。

 

 

 

ネットワークビジネスと同様に、気になる存在なのが『トップセールス(自称含む)』がある。

 

トップセールスとは、営業成績が一番の方に与えられる称号だが、いつの頃からか巷に溢れ出した。

 

 

 

トップセールスは個人に対して用いられるが、要は売り上げのことだから、個人であろうと法人であろうと、客単価x客数で計算される。

 

営業経験者は分かるだろうが、客単価を上げるよりも、客数を増やす方が遥かに難易度が高い。

 

まぐれでトップセールス になった方の多くは、たまたま一人の客(または一社)から大口の案件を受注しただけと言うのがほとんどだろうし、このパターンは私も経験がある。

 

お客を集めることが難しい時代の今、トップセールス という表現は「伝説の〇〇」のようなもので実態はほぼ無いはずだが、手を替え品を替え生き残ろうとしている。

 

 

教訓のように本来役に立つ知恵が長期間通用しない傾向があるのに対し、はなからインチキ臭いトップセールス のようなものが色々な現場で亡霊のように出てくるのは、人間が迷える子羊だからだ。

 

気持ちが揺らぐと、信頼できるはずのものが信頼できなくなり、信頼できないものが魅力的に見えたりする。

 

『歴史は繰り返す』という古代ローマの諺があるが、その意味は「いつの時代も人間の本質は変わらないので、同じことを繰り返す」と言われる。

 

10年程度で結構世の中の変化が増えるようになると、10年前に得てたはずの教訓を勝手にもはや当てはまらないものに思い込んでしまい易くなるかもしれない。

 

もしかしたら、過ちを繰り返すサイクルは加速してるのかもしれない。