1000万円儲けさせるから前払いで100万円の手数料をくれというケースについて考えてみる。
手数料に関しては成功報酬的に後払いだとしても、儲け話には初期投資が発生することが多いので、形式上ノーリスクは一般的にはない。
気になる(すべき)点がある。
- 話を持ちかけた人は誰か?
自分との関係に照らし合わせて、儲け話を持ちかけることが自然な関係かどうかが最初に気になる。
そして、その人はなぜ自分自身がやらないのか、あるいはやれないのかを分かりやすく説明できるかどうか。
話を持ちかけたのがなぜ自分だったのかを納得できるように説明できるかどうか。
これらは、友人知人であっても、あるいは営業される場合であっても気になる点だ。
こんな時、博才のある人は、そんなこと考えているようじゃ儲けることはできないと言いがちだ。
- 手数料100万円の価値観
儲け話に信憑性があったとした場合、仮に100万円を失ってもその後の生活へのダメージは全く無い人にとっては、納得さえできれば受け入れやすい。
100万円は負担できるが、失ったらダメージが大きい人にとっては納得できようができまいがバクチ的行為になる。
そもそも100万円を持ってない人にとっては、この話に応じるためには借金が必要になるので、儲け話が上手くいかなかった場合借金の元金プラス利息を背負いこむ事になる。
儲け話を持ちかける場合、上手く行く可能性が高いのは、持ちかけるに相応しい相手を選ぶことだと思えるから、儲け話が金持ちに持ちかけられることが多いのは当たり前だ。
つまり、話を持ちかける人がまともで十分な分別があれば、儲け話や投資話は金持ちに持ちかけるものになる。
金持ちでもない人に持ちかけられてる話は儲け話ではないことになる。
ほとんどの場合は話を持ちかけてる人にとっての儲け話で、話を持ちかけた相手をカモにしようとする話がほとんどだ。
人間には儲けたいという本能があると言われる。
本能だとしたら、金持ちかどうかは関係ないことになるが、もっと気を付けなければいけないことがある。
人間は損を取り戻したいと思う生き物でもある。
満足感は持続せずすぐ消えるが、被害者意識や被害妄想は簡単なことでは薄まらない。
儲けたいという気持ちは前向きで未来に向かうが、損を取り戻したいという気持ちは後ろ向きで過去に縛られる。
損を取り戻すのに似た心理が、詐欺の被害に遭う心理。
古典的な詐欺被害は、得をしようと欲をかいて被害に遭うが、最近の詐欺は少し趣が違う。
不安や心配を煽るというのが詐欺の主流になっている。
一連のオレオレ詐欺が始まって以降、お年寄りの被害者の中には1000万円単位の被害に遭う方をしばしば耳にしたが、どのようにして金持ちのお年寄りを見つけたのかはさて置き、儲け話であっても躊躇するような金額を不安や心配を解消するために差し出そうとしたことに興味が湧く。
儲け話に飛びつく心理は、積極的な喜びの追求に感じていたが、それと同等以上に不安や心配の解消にもモチベーションが掻き立てられるのが人間の性らしい。
日本人には悲観主義者が多いが、だからこそ不安や心配が多くなる。
楽観主義者にとってはなんてことない出来事が、あるいは簡単に見破れる架空の話が、悲観主義者にとっては一大事になる。
このように考えると、儲け話に対する反応には二種類あることが分かる。
使い途はともかく、積極的にお金を増やそうとする金持ちと、不安を解消するためにお金を欲する金持ちではない人々の二種類。
統計上、億万長者は大幅に増えてるが、億万長者とビジネスの接点を持つことは容易ではないので、全てのビジネスが金持ちではない人を相手にせざるを得なくなっている。
そう考えると、世間ではやたらと不安や心配を煽る話題が増えている。
このゲームには国も参戦しているように思えてしょうがない。