子供の頃の記憶ってずっと残っていて人生の折に触れて何の前触れもなく突然蘇ったりすることがある。
わたしにとってそんなことの一つに『扇状地』がある。
社会の授業で覚えたことばだが小学生の頃の記憶なのか中学生の頃なのかは定かではない。
扇状地ということばを知って、わたしの興味は「扇状地を見てみたい」になったが、その後の人生で「ああ、これが扇状地か!」という地形に出くわしたことがない。
理由は二つある。
わたしが扇状地ということばを覚えた頃には生活圏にあるそこそこの規模の川は護岸工事が始まっていてその周辺に住宅ができ始めていたことが一つ、もう一つは扇状地のような地形は地上にいて見るのではなく、上空から俯瞰で見るから気付く地形なのかもしれないということだ。
俺がニヤニヤしながら自分のツイートを遡ってる時口の端に形成される扇状地 pic.twitter.com/VZe35WGlno
— マンディブラリス (@_mandibularis) October 28, 2019
旅行に出かけても護岸工事された川とすぐ近くに住宅が広がる光景を見るたびに扇状地はどこにいったのだろうかと思っていた。
わたしの扇状地に対する知識の記憶は、『扇状地とは川が氾濫して、その氾濫が扇状に広がった土地で、住宅には適さず果樹園に向いている。たまに水害で果樹園に損害をもたらすが、そのたびに上流の肥沃な土が流れてくるので翌年以降の果樹の栽培には役に立つ』というもので、授業で聞いた限りでは世の中うまいこと回ってるなという印象だった。
扇状地は川が山地から平地に出るところに形成され、三角州は川の河口付近に形成される。前者は水はけがよく果樹園、後者は水はけが悪く水田が多い。
— 中学地理 (@jh_socials) October 30, 2019
最近全国各地で目立つようになった水害のニュースを見聞きするたびに扇状地を思い出す。
昔は果樹園の被害に留まっていた水害は、現在では命や生活だけでなく私的公的な財産資産を脅かすようになってしまった。
皮肉なのは、豊かさを追求した先に危険が潜んでいたことだ。
各種の開発は、その周辺の地域の資産価値を増大させることも狙っていたはずだが、こんな見出しも踊るようになった。
「物件開発では事前にさまざまな想定をしている。今回の件が当社の開発戦略に影響を与えることはない」
二子玉川と武蔵小杉の両方の開発に関わっている、東急不動産の広報担当者はそう話す。
各地で大きな被害の水害。地形に注目すると川の近くの平地は長い年月の間に洪水などで土砂が堆積したり、川の流れが変わってできた場所が多い。山間部の扇状地は同じく土石流や土砂崩れが起きてできた場所が多い。地域の過去の災害の文献があるなら読んでおくべき。なくても地形から危険性を学ぶべき。
— まんば (@manba36) October 25, 2019
長野市街地は善光寺にかけてゆっくりと坂になっていて、もともとその傾斜地から発展してきた町ですが、これは湯福川がつくり出した扇状地なのです。その長い傾斜地のことを「長野」と呼んだのが、長野の地名の起こりと考えられます。
— 小林竜太郎 (@naganokoryu) October 27, 2019
最近の水害は、過去に類のない大雨がもたらすものだと言われるが、どうやらそれだけではなく人間が知恵を失ったことも関係してるのだ。
大規模水害、再発を避けるには「流域思考」が必要 日本の利用可能な土地はほぼ「河川の流域」に属している
それはごく簡単に言えば、上流で大雨が降ったとき、増水して溢れやすい下手の低地に住んでいるか否か、ということですか?
岸:ええ。もともと扇状地だったり氾濫源だったような低地は、流域の構造上、高台などに比べ、豪雨による水害に遭うリスクが増えます。まさに水害は「流域の構造」と「居住の構造」の相関なのです。
お上に頼ってボ〜ッと生きてはダメだということらしいですね!