昨日は2020年1月27日、いったい何の日だったのか?
1月27日、iPad発表10周年。「ジョブズの考えた魔法の板」は実現したか?
今からちょうど10年前の2010年1月27日。サンフランシスコで、世界で初めて、タブレット型のiOSデバイス「iPad」が披露された。筆者は数少ない日本の取材陣として、故・スティーブ・ジョブズ氏が壇上でiPadを掲げる姿を見ていた記者のひとりだ。
iPhoneが「スマートフォン」という商品ジャンルを定着させるのに大きな役割を果たしたように、「タブレット」という商品ジャンルに注目を集めたのもiPadの功績だ。
一方で、スマートフォンが生活に必須の道具となり、世界で年間約14億台を販売する製品になったのに対し、タブレットは全世界で年間約1億6000万台しか売れておらず、2014年をピークに減少傾向とされている。
では、タブレットという商品ジャンルは価値を失ったのだろうか?
iPadとiPhoneの違いは細かいスペックの差を除けばサイズの違いだけだ。
しかし、このサイズの違いが大きいのだ。
理屈上は同じことができるのだが、その作業を気持ち良くできるかとなると、そこで差がつくのだ。
サイズのトレードオフが持ち運び易さで、手ぶら派はiPhone一択だろうが、気に入ったバッグがあるならばiPadは持ち運びにも不都合はない。
10年前の登場時から、iPadを巡るテーマの中心には『PCに置き換わる存在なのか?』があった。
それに対するスティーブ・ジョブズの答えは『Lean Back(背もたれに身体を預けてリラックスすること)』だった。
Lean Backの意味もよく分からずに私が買った最初のiPadはiPad2だったが、できることならPCに置き換わって欲しいという思いを込めての購入だった。
現在使ってるのはiPad Pro(第2世代)で4台目のiPadになる。
その間ずっと、『やっぱりPCの代わりにはならないな』という思いと、『iPadくらいがちょうど良い』を周期的に繰り返してきて、少しずつだが『iPadくらいがちょうど良い』の方に傾き続けた10年間だった。
iPadでできないことがビジネス上で必要あるかないかが重要になるだろう。
私が感じてる気持ちは世間の空気とも似てるようだ。
タブレット市場で一人勝ち、iPadが増税後も売れる理由 2020年1月27日
iPadがシェアを高めた背景には、米中貿易摩擦の影響でファーウェイ製品のシェアが低下したことや、Windows 7のサポート終了を受けてiPadへの移行が増えたこともあると指摘しています。インターネットやメールなどの軽い用途でパソコンを使ってきて、「Windows 7パソコンを卒業したいが、最新パソコンは高い」と考えるライトユーザー層を中心に、今後もiPadへの移行が進んでいくでしょう。
そんなiPadだが、トータルで評価するとすでにPCを上回ってるとされる分野も出てきている。
発表10周年を迎えた「iPad」 4K・5G・大判化など今年の進化を占う
筆者の周囲ではiPadをイラスト制作に活用するクリエイターが多くいる。今後もPCに代わるクリエイティブツールとしてiPadの体験価値を拡大するのであれば、大判20インチ級のiPadや、より細いペン先でディティールの筆記までできる「Apple Pencil Pro」もあれば商品ラインナップにかなりの厚みが増すと思う。
5年前の2015年までは、iPadは軽量化、薄型化へ向かっていた。
そういうことを教えてくれるのが次の記事。
こうしてみると、iPadやiPad Air、そしてiPad miniの進化はすべて「より薄く・軽く」という方向だったことがわかります。
そして、この記事の直後からPro化が始まりハイスペック化を目指すようになっている。
このハイスペック化がクリエイティブ系の充実に貢献している。
ハイスペック化したiPadを活かすためにはディスプレイサイズが大きい方が有利とされるのは、人間が主人公だからこそだ。
iPadがどこに向かうにせよ、iPadがこれまで開拓してきたのはLean Backの世界だ。
ジョブズは、前のめりのLean Forwardの姿勢ではない世界の追求をiPadに託していたのだ。
iPadの進化の方向にはディスプレイの大型化が見えてくるが、それとLean Backの両立が課題になるような気がする。