おもしろい記事があった。
おもしろさと記事のタイトルは全く関係ない。
貴乃花と宮沢りえ「破談の真相」、週刊誌現場の嘘みたいな本当の話
この記事の中では、時系列で整理されてないがプライバシーの侵害が問題化し始めた時期についての記述があった。
〜〜以下引用〜〜
戦後高度成長期の象徴的人気者といえば、田中角栄と長嶋茂雄でした。
メディアからの人気は絶頂。そして、2人とも、メディアがどんなに面白おかしく書こうが、抗議などしないことで有名でした。
「記者さんも商売なんだから、しょうがないだろ」というのが田中角栄のいつものセリフだったそうですし、長嶋さんも同じです。
メディアに自由に書かせて、そのプライバシーも含めて売り物にして人気者になる…という構図は、この時期から変わりました。
人気者の象徴2人の家族からプライバシー侵害が提起されたのです。
〜〜引用ここまで〜〜
週刊誌の記事に対して訴訟が提起される場合は名誉毀損が定番だったが、争点がプライバシーの侵害にシフトしていたのだ。
長嶋一茂さん記事で名誉毀損 文春に賠償命令 2014年4月18日
〜〜以下引用〜〜
問題になったのは、文春で2009~10年に7回にわたり掲載された記事。一茂さんが元巨人監督の父茂雄さんの仕事に不当に干渉したり、茂雄さんの所有物を無断で売却したりしたために家族間でトラブルになっていると報じた。
〜〜引用ここまで〜〜
訴えは名誉毀損として提起されていたが、裁判所が判決で認めたことはプライバシーの侵害だった。
同様の訴訟は文春だけでなく、週刊新潮にも提起されていて、
長嶋一茂さん勝訴 名誉毀損で週刊新潮に賠償命令 公益性を否定 2015年06月25日
この記事が書かれた当時にはわたしだけでなく世間も名誉毀損とプライバシーの侵害が明確に区別されてなかったように感じられる。
この長嶋一茂さんの件から約10年遡る時期に田中角栄さんの娘の田中真紀子さんの長女(角栄さんの孫)が訴えを起こしていた。
こちらは長嶋一茂さんとは違い政治活動も芸能活動も行っていない全くの私人という点が違う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/田中真紀子長女記事出版差し止め事件
〜〜以下引用〜〜
週刊文春に掲載された田中真紀子の長女の離婚に関する記事は長女のプライバシーを侵害しているとして、長女の意向によって出版前日の2004年3月16日、出版元の文藝春秋に東京地方裁判所に出版差し止めの仮処分の申請が出され、仮処分が認められる(担当は鬼沢友直裁判官)。問題の本はすでに74万部が出荷されていたため、残りの出荷予定であった約3万部の出荷を止めた。大手出版社の週刊誌の差し止めと有名人の長女の問題ということが話題になった。
〜〜引用ここまで〜〜
こうやって改めて振り返ると、名誉毀損とプライバシーの侵害の違いを区別しないでごっちゃにしていた事が分かる。
法律的いうと名誉毀損は確定すると刑事罰が課されるのに対し、プライバシーの侵害は刑事罰はないので、名誉棄損のほうがハードルは高いのだ。
素人考えでは、事実であれば何を言っても構わないだろうと思いがちだ。
だから、ありもしないことを書かれると名誉毀損が成立すると考えるのに対し、事実だったら構わないからと他人のプライバシーを暴露しても開き直る傾向があると感じるが、プライバシーを暴露された相手が不快に感じればプライバシーの侵害が成立する傾向に時代はシフトしたと思っておいた方が良さそうだ。
痴漢を始めとする各種のハラスメントと同様の扱いにプライバシーも含まれている。
大丈夫だと思ってやってることには、まだまだ反省することはたくさんありそうだ。