自粛により、対前年比で業績が80%減、90%減という数字に驚かなくなってしまった。
倒産や廃業がどんどん出ると伝えられていたし、そうだろうなと思っていたが、具体的に出回る倒産情報は思ったほど多くないし、ビッグネームの倒産も出てるが伝わる詳細情報をみると、自粛がとどめを刺したようだがその前から悪い噂が多かったことも伝わってくるので、意外と持ち堪えているなと感じていた。
しかし、それにはどうやら理由があったらしいのだ。
一般的には、約束手形の不渡りを2回出すことで銀行取引停止になることを倒産と呼ぶ。
しかし、4月16日に政府が不渡りの猶予を要請していることで緊急事態宣言中の不渡りが発生していないのだ(らしい)。
では4月16日以前の不渡りに起因する扱いはというと、倒産処理に動く弁護士や裁判所ですら活動を自粛中だったので、その処理が滞っているらしいのだ。
法的には倒産処理は不要不急ということらしい。
4月16日以降手形や小切手の不渡りが猶予されていることで、その現金化を待っている相手は、期日になっても現金化されないことが猶予による手続きの遅れなのかそれとも不渡りなのかが判断がつかない状態に置かれてるはずだ。
今はビジネス界の信用が脆い状態に置かれているのだ。
約束手形の信用は、不渡りを出すと倒産(=銀行取引停止)するということが担保になって得られていた。
不渡りの手形や小切手を振り出した企業が倒産を含めたダメージを負うのは当然だとしても、手形の猶予が行われたことで、それだけに留まらない信用不安が手形や小切手に付き纏うことになったので、今後手形や小切手を使っての取引が通用しなくなるかもしれない。
というか、手形小切手はいつの頃からか日本では取扱が激減していたのだ。
東京商工リサーチ、2018年「手形・でんさい」動向調査結果を発表 2019/4/23
〜〜以下引用〜〜
2018年(1-12月)の全国の手形交換高は、261兆2,755億円(前年比30.1%減)で、2年連続で減少した。
手形交換高がピークだった1990年の4,797兆2,906億円に比べ94.5%減と大幅に減少、約5%の水準に縮小した。
また、手形交換所は2017年に2カ所廃止されて全国で107カ所となったが、2018年は廃止等の増減がなく、107カ所を維持している。
一方、2013年2月にスタートした全国銀行協会の電子記録債権(以下、でんさい)は、2018年の発生記録請求金額(以下、でんさい額)が18兆4,630億9,000万円(前年比23.8%増)だった。
伸長しているとはいえ、手形交換高の7.0%にとどまっている。利用者登録数も2015年1月に40万台に乗せたが、2018年12月末は45万7,033社(前年比0.9%増)と、増加ペースは鈍化している。
手形は、中小企業の資金決済の主役として、経済成長に伴い右肩上がりで増加してきたが、1990年を境に急減している。
〜〜引用ここまで〜〜
次のBloombergの記事では、債務交換という手法で目眩しをした資金調達が増えると見ている。
「隠れデフォルト」企業が増加へ、新型コロナによるリセッションで Bloomberg 2020-05-12
投資に関する世界によく出てくる証券化というキーワードがある。
Bloombergに書かれてる債務交換は証券化をイメージすれば当たらずとも遠からずだろう。
証券化が行われるのは、怪しげなものの怪しさをオブラートに包むため。
証券化とは私的な約束手形の発行のようなもの。
約束手形が取引銀行の名前で発行されるので不渡りはペナルティとして銀行取引停止が課されるが、証券化された取引にトラブルが生じても大騒ぎには発展しないし、発展するとしてもずいぶん時間が経過してからだ。
コロナが壊したのは金は天下の回りものという常識だ。
したがって、これから起きるのは金の流れを取り戻そうとする行動だが、その中には金が流れてるように見せる詐欺的手法も増えてくるはずだ。
従来の詐欺が個人をターゲットにするものが多かったのに対し、これからは企業間のBtoBで詐欺が起きるような気がする。