トランプ政権側が大統領選の切り札として出してきたともいわれるのがGoogle解体につながるかもしれない司法省の提訴。
【米司法省、Googleを提訴】https://t.co/w5l7EYlQp1
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) 2020年10月20日
米司法省は、米IT大手グーグルを独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで連邦地裁に提訴した。複数の米メディアが報じた。米司法省の独禁法訴訟としては、1998~2002年の米IT大手マイクロソフト(MS)訴訟以来、約20年ぶりの大型訴訟となる。
ちなみに記事にあるように直近でいうと1998年にマイクロソフトの解体に向けて司法省が提訴していたが、当時はPC華やかりし頃。
PCが華やかだったというよりもインターネットという未知の分野が脚光を浴びていたと言った方が良いだろう。
当時のわたしはそんな流れに懐疑的で波に乗り損ねていた。
結果的にマイクロソフトは解体は免れたが、度重なる訴訟で疲弊しPCからスマートフォンに移行するタイミングの波に乗り損ねたと言われる。
マイクロソフトは最近でもGAFAMと括られるように巨大企業ではあるが、時代の最先端をいく企業というイメージはもはや感じられない。
そう言えばと思い出すのが、マイクロソフトと並んでコンピューター業界の巨人だったIBMがPC部門を切り離したのは2004年だったこと。
今検索しても記事等としては出てこないが、マイクロソフトが司法省に提訴されて以降の様子からPC事業に見切りをつけたのではと勘繰りたくなる。
表舞台で目立つと出る杭は打たれるが、裏方としてインフラをがっちり押さえても地味に振る舞っていて目立たない方が得だと気付いたのかもしれない。
そんなIBMは2020年10月になって突然次のように発表した。
IBM、マネージドインフラサービス部門を分社化へ--ハイブリッドクラウドに注力 Larry Dignan (ZDNet.com) 2020-10-09
詰まるところ、IBMは収益性が高いプラットフォーム企業に向けて舵を切るために、マネージドインフラ企業をスピンオフするということだ。
新会社(名称は未定)は115カ国に4600社以上の顧客を持つことになり、Fortune 100企業の75%以上がこれに含まれるという。
企業活動の独占ぶりが目立ち司法省に提訴されると強制的に解体分割に向かうか、それを免れてもかなりのエネルギーを訴訟で奪われ弱体化を余儀なくされるのがアメリカなのだ。
日本が『寄らば大樹の陰』や『大きいことは良いことだ』で終わるのとは根本的に文化が違うのだなと感じられる。
そんな日本だが、菅総理になってからすぐに携帯キャリアに値下げの圧力をかけたのは世間の多くが知るところで、また週刊誌ネタだが携帯キャリアの次はNHKだなんて記事が出ていた。
もしかしたらアメリカの真似をしようとしてるのかもしれない。
菅政権になって揉めてる話題に日本学術会議の件があるが、この説明に『総合的俯瞰的判断』と用いられている。
将棋では数百手先まで相手の動きを読むなどと言うが、何手先まで読むと総合的俯瞰的判断ができるのだろうか。
Googleが司法省に提訴されたという件も総合的俯瞰的な読み合いの真っ最中のはずだ。
ちなみにマイクロソフトを提訴した司法省は2002年に和解していて、表面的にはこの時点で終わったことになってるが、実質的に終了したのはさらに10年後の2011年だと言われてる。
米司法省、Microsoftとの12年にわたる独禁法訴訟の終結を発表 2011年05月13日
米司法省は5月12日(現地時間)、1998年の同省らによる米Microsoftの提訴で始まった同社の独禁法裁判の終局判決が同日満了したと発表した。これで12年の長きにわたった歴史的な戦いが名実ともに終了したことになる。
果たしてGoogleはどうなるのだろうか?
AmazonもFacebookもAppleも内心は穏やかではないだろう。
余談だが、アメリカが最近ファーウェイなど中国のテクノロジーを目の敵にする背景にはGAFAを司法省が提訴した場合、その隙に中国企業が入り込まないように牽制してるという説がある。
最後に紹介したいのは、マイクロソフトとの訴訟の終結を発表した際の司法省のコメント。
司法省は発表文で「Microsoftの裁判とその終局判決の結果、企業の競争は公平で透明性のあるものに変わり、消費者はより多くの選択肢を得られるようになった。和解条項はMicrosoftが米国の企業や消費者を害する行為を繰り返すことを阻止した」としている。