時々思い出したように物欲としてのカメラ熱が高まることがある。
大抵はないものねだりで、新しいカメラさえ手に入れればもっと良い写真が撮れるはずで、撮ってる自分自身もさぞかしいい気分になれるはずだと思い始める。
しかし、わたしはブレーキがよく効くタイプの人間なので、こんな時『待て待て』というもう一人が必ず現れる。
『いつものパターンじゃないか、物欲から始まる動機の場合、必ず大事な何かを見落とすだろうお前は』と言われてしまう。
言われたわたしは『確かに』と納得できるのだ。
基本に帰ってみることにした。
わたしがカメラに興味を持ったのはこの5年くらいだ。
それ以前は、写真に興味がないわけではなかったがカメラに興味が湧かなかった。
わたしにとってのカメラの原点はアナログのフィルムカメラだ。
昔はデジタルカメラが存在してなかったからだ。
このことがカメラへの興味を遠ざけていたのだ。
何を言ってるか分かりますか?
写真を撮るためにはフィルムが必要で、撮った写真を見るためには現像が必要になるので、カメラを買うだけでは写真趣味は始められなかったのだ。
現代の趣味の多くは、最初に必要な機材を揃えるためのイニシャルコストの負担で始められるのだが、フィルムカメラの場合、ランニングコストがバカにならないのだ。
そのことが原因で心理的に写真やカメラから遠ざかっていた。
現代のカメラ趣味は、スマホ1台で完結するがゆえにコスト意識が障害にならないが、そのことが奪っているのが練習意欲だと気付いた。
写真がうまく、カメラを上手に使いこなしている人は練習などしないでセンスだけで上手くなっているような錯覚に陥るのだ。
もっというと、センスというよりも、使ってる機材がトップエンドであるだけだと思い込むのだ。
つまり、不満は機材の差なので機材の不満は機材で解決するしかないと結論づけやすくなる。
そんな落とし穴に陥ることを沼に落ちると趣味の世界では呼ぶ。
写真のプロを目指したり、趣味を極める人が行く写真学校ではフィルムカメラを愛用する人が多いらしいが、そんな人のほとんどが流し撮りの練習をするようになるとあっという間にほぼ全員がデジタルカメラに買い換えるらしい、買い換えるというか追加で購入するのだ。
ひたすら練習するしかないのが流し撮りの世界らしいが、それをフィルムカメラでやっていたら、現像代と合わせるとそこそこのデジタルカメラを買っても余裕でお釣りが来るくらいの出費になるらしいのだ。
流し撮りを練習するためには条件は幾つかあるのだが、絶対に必要ななのはシャッタースピードの設定が任意にできる設定があることだ。
おそらく新品で2〜3万円クラス以上のカメラだと備えている可能性が大だろう。
もし、シャッタースピードの調整ができるなら流し撮りの練習をするのもおもしろい発見につながるかもしれない。
ここまで書いた後、コンデジのcanonのsx720hsで少し流し撮りの試し撮りをしてきた。
シャッタースピードは1/30秒、1/20秒、1/15秒の3パターンで試し、絞りは最大のF8にしたが薄日がさすとこの設定だと白飛びが避けられないがしょうがない。
車やバイクや自転車を撮ってみたが、たくさん撮った中で、ほとんどがまるでダメだったが自分の中で自己満足的に合格点ついたものを披露してみたい。
- シャッタースピード1/30秒
- シャッタースピード1/20秒
- シャッタースピード1/15秒
まだまだ再現性は低いが、やってるとコツらしきものは感じられるようになる。
流し撮りで撮ると、フォーカスが合ってるとのっぺりとした感じであまり好きではなかったコンデジの写真に魂が入って生き生きとするような気がしてくる。
個人的な感想として、流し撮りでは被写体は小さ過ぎてもダメだが大き過ぎる方はもっとダメだと感じられる、背景との調和が被写体を生き生きとさせるような気がする。
そういう意味でカメラにズーム機能があることは簡単に被写体との距離を調整できるので非常に便利だと感じられた。
歩いてる人や犬や鳥も撮ってみようとしたが、まるで躍動感がないか、そもそも被写体として捉えることができないので、膨大な練習が必要だと分かった。
買って4年になるが、当分このコンデジは練習用としても現役としても楽しめそうな気がする。
撮影に退屈してる人には、流し撮りで遊ぶという手があることをお伝えしたい。