違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

あのテスラにもライバルが出現!?

EVの先駆者である自動車メーカーテスラは、イノベーターであるイーロン・マスクが率いていて、ロケットなど宇宙分野にも進出している。

 

そんなイーロン・マスクに、テスラを売却しようとしてるという噂があった。

 

マスク氏、アップルへテスラの売却を打診 クック氏が「拒否」 2020.12.23 

マスク氏はツイッターで、ロイター通信の報道について、「もし真実なら、奇妙だ」と指摘。続く投稿で、モデル3の暗黒時代の初期に売却を打診するためにクック氏と連絡を取ったと述べた。モデル3は2017年に市場に投入されたが、何カ月にもわたって製造の難しさやその他の問題点に直面していた。

 

モデル3は今では米国市場で最もよく売れている高級車で、テスラの時価総額を自動車メーカーとして世界一に押し上げる要因ともなった。

 

 

 

これまで自動車メーカーになるための最大の参入障壁がエンジンの製造であり続けられたのは、燃料がガソリンや軽油での内燃機関であったため。

 

そのエンジンに、モーターを使ったEVが可能になると一気に参入障壁が下がるのだが、ガソリン車と比較して優位に立てるかというとそんなに簡単な話ではない。

 

エンジン以外にも構成する部品やパーツが多数あり、そのノウハウは何十年という時間をかけて築かれたものだからだ。

 

ユーザーにガソリン車とEVの両方の選択肢が与えられている場合には、一気にEVに傾くことはないと思われていたが、世界ではドイツ車の燃費偽装や排ガス偽装がバレて以降EVへのシフトの動きが目立ち始めていた。

 

そしてその波は日本にも及んだのがこの12月だ。

 

日本政府と東京都が相次いで方針を打ち出した。

 

 

“脱ガソリン” 2030年代半ばに新車販売すべて「電動車」へ 2020年12月3日

経済産業省は「2030年代半ばに、電動化を100%にする」とする方向で調整していることがわかりました。

 

 

東京都、30年までに新車販売すべて電動車に 知事が目標 東京  2020年12月8日

小池百合子知事が8日に都議会で発表した。

 

 

この動きに対してトヨタの社長が異を唱えた、いや正確には日本自動車工業会会長として日本の全自動車メーカーおよび傘下の企業を代表して反論したのだ。

 

もし日本の自動車が全部EVになったら如何に大変なことが起きるかということを指摘してるので興味がある方は次の記事を読むとおもしろい。

 

 

自工会の豊田章男会長が示した「電動化=EV化への懸念」は日本を勝利に導けるのか? 2020年12月18日

 

 

上記の懸念を解決するためには、自動車がEVに替わるだけでなく、社会のインフラの一部も連動して替わる必要はありそうで、個人的には日本ですら変化しようとしてると感じられて興味深い!

 

 

さて、世の流れはEVに傾いているのは明らかな中で、なぜイーロン・マスクはテスラの売却を考えたのか?

 

想像としては、イノベーターとして果たすべき役割は終えたと興味を失いつつあるのではと感じられる。

 

ここまでは唯一無二の最先端だったが、ここから先は競争原理に晒されるだけになると判断したから興味を失ったように感じる。

 

テスラのEVとしての有利や革新性はバッテリシステムのマネージメントにある(と、わたしは思っている)。

 

 

EVの課題はバッテリーの急速な劣化で、自動車以外に使用する場合だと問題にならない劣化が、自動車用途だと致命的な欠点になる。

 

同じようにリチウムイオンバッテリーを使いながら、他社のEVに比べてバッテリーの劣化が極端に少ないのがテスラの強みで、その要がセルのマネージメントだと思われる。

 

ガソリン車のバッテリーだとセルの数は6か12という場合が多いが、テスラ以外のEVだと多少の違いはあっても100前後の数になる。

 

テスラの場合は、このセル数が10000〜20000あるのだ。

 

セル数が多いことは劣化を抑えることに有効だと思われるが、他社が追従できないということは技術的な障壁が高いのだろう。

 

当分優位は揺らがないかに見えたテスラだが、

 

 

 

 

 

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ホイール部分を拡大すると、ホイールのスポーク部にコイルが配されていることが分かるし、ブレーキローターに見える部分にも仕掛けがありそうに見えるのだ。

 

 

EVは明らかに新しい局面に入り出したようだ。

 

何もないところに道筋をつけるのがイノベーターの役目だとすると、一旦付いた道筋をどのように広げ伸ばしていくかはイノベーター以外の新規競争参入者のアイデアや知恵や工夫だ。

 

 

真にライバルとなりうる新規参入者の登場を感じたイーロン・マスクがイノベーターとしてのモチベーションを失ったのかもと勘繰っている。

 

日本の自動車メーカーはこの発想に対抗できるのだろうか?

 

 

トヨタの社長が、自工会会長として反対する理由は、わたしの目にはギブアップ宣言に思えてしょうがない。

 

古いシステムと新しいシステム(この場合のシステムには人間の頭脳や価値観も含まれる)がせめぎ合っているのは、コロナのせいだけではなさそうだ。

 

これからの1〜2年で劇的な変化が起きるかもしれない。

 

下手すると、既存のガソリンエンジンの自動車メーカーは、新規参入者の下請けとして生きるしかなくなるかもしれない。