2022年末から2023年の始まりにかけてEV(電気自動車)に関する話題が賑やかで、字面だけを追っているとEV失速かと感じられるものが多かった。
次の見出しを見ると、EVに出遅れたトヨタの逆襲なのか逆張りなのかそれとも捨て台詞かと思えた。
ガソリン車禁止の前に再エネ整備、EV転換には電力足らずと豊田氏
電気料金を始めとしたエネルギー価格高騰で世間がうんざりしてるタイミングであり、雪の被害が発生したタイミングでもあり、燃焼を伴わないEVは雪に閉じ込められたら無力だという思いも重なったこともEVにネガティブに働いただろう。
特に、テスラが値下げを発表したことで旧価格で買ったオーナーの不満の声や、売れてないから在庫を一掃するためだという憶測を呼び、EVやばいんじゃないのと思われたのだ。
テスラ車の大幅値下げ、オーナーらが反発
— ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 (@WSJJapan) 2023年1月30日
テスラは1月半ば、一部モデルの価格を20%近く引き下げる異例の大幅値下げに踏み切った#電気自動車 #EV #テスラhttps://t.co/B0stsTxgSD
記事には次の記述もある。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は25日、値下げ後に需要が急増したと述べた。幹部陣は値下げについて、より手ごろな価格にし、一部モデルを連邦のEV税控除の対象にするのが狙いだと説明した。
この値下げ発表の後株価は一旦下落したが、
テスラ株上昇 値下げで「ライバル潰し」(NY特急便)https://t.co/nwo0Cvr1nS
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) 2023年2月2日
この展開で思い出したのは、元々のイーロン・マスクのテスラに対する事業計画。
始まりはハイエンドのスポーツカーで、それが成功したら高級セダン、そしてその10年後を目処に大衆市場への展開をするという計画。
気まぐれな行動ばかりが取り上げられるイーロン・マスクだが、結果を出す実行力は緻密な計画に基づいているのだ。
ここまでの展開でテスラ車に惹かれてかつ実際に購入した人というのは、確かな見識の持ち主であるだけでなく確かな経済力を持ち合わせている人達だ。
問題はここから先だ。
ここから先は、経済力はあるが見識は中途半端な人達や、意識は高いが経済力はイマイチな人の評価を得なければいけないのだ。
その切り口は価格なのだ。
世界的に何でもかんでも値上がりしてるご時世に、最先端商品でありながら値下げできるということは、元値にいかに利益が大きく乗せられていたかと想像できる。
値下げと言っても、原価ベースで考えると適正価格にしただけだろうと想像できる。
しかし、プレミアムイメージを保ちながらもお得感の演出も可能にしたことでライバルを一歩も二歩もリードすることだろう。
普及に向けての障害となるキャズム(深い溝)を突破できるかもしれない。
今後のテスラの展開は世界潮流のベクトルを知る上で目が離せない。