5年前に出て一部で話題になっていた本を読み直してみた。
未来を語るようなタイトルの本で、当時読んでもピンと来るような来ないような曖昧さが感じられたが、5年経過すると受ける印象が変わるだろうかとの興味から読み直した。
電子書籍で購入し、しおりやマーカーを付けながら読んでいたのだが、当時しおりやマーカーを付けてた箇所は今読むとまるで響かないものばかりだった。
逆に、当時は全く響かなかったか、読み飛ばしていたかもしれない箇所に引っ掛かりを感じた。
そのうちの二つを備忘録を兼ねて一部を引用して紹介したい。
5年前に書かれた文章であることと、この5年でのデジタル界隈の動きをイメージしながら読んで欲しい。
人間は、さまざまなことをコントロールするためにテクノロジーを発達させてきたように見えるが、テクノロジーに関して不可避が用いられるような場合は、コントロールの高い絶対性を示すようだが、そうではない捉え方があると著者のケヴィン・ケリーは言っている。
1 不可避
テクノロジーの性質そのものに、ある方向には向かうけれど、他の方向には向かわないという傾向がある。
つまり、均質な条件なら、テクノロジーを規定する物理的・数学的な法則は、ある種の振る舞いを好む傾向があるのだ。
インターネットは不可避だが、どんな種類のインターネットが選ばれるかはその限りではない。
デジタル世界の不可避とは、ある慣性の結果生じたものだ。
つまりテクノロジーの移り変わりには慣性が働いている。
われわれが結局どこにたどり着くかは予想してくれない。
ただ、近い未来に不可避的に向かう方向を示してくれるのだ。
こんな一文があった。
いまや答えが安くなり、質問はもっと価値を持つという逆転現象が起きているのだ。
2 良い質問とは
- 正しい答えを求めるものではない
- すぐには答えが見つからない
- 現在の答えに挑むものだ
- ひとたび聞くとすぐに答えが欲しくなるが、その質問を聞くまではそのことを考えてもみなかったようなこと
- 思考の新しい領域を創り出すもの
- その答えの枠組み自体を変えてしまうようなもの
- 科学やテクノロジーやアートや政治やビジネスにおけるイノベーションの種になるもの
- 探針であり、『もし〜だったら』というシナリオを調べるもの
- バカげたものでも、答えが明白なものでもなく、知られていることと知られてないことの狭間にあるもの
- 予想もしない質問
- 教養のある人の証
- さらに他の良い質問を生み出す
- 人間だからこそできるもの
日本でビジネスをしてると、安直に答えばかりを求められてるということに気付く人は多いだろう。
そんなスタイルがガラパゴスにつながっているし、世界の潮流に逆行してるのかもしれない。
最近、著者のケヴィン・ケリーがAIに関して語っている話を読んだが、5年前と共通する考えが多いように感じられた。
つまり、時代の枝葉は大きく変化していても、根幹はさほど変化してなさそうに感じられた。
そんな中で確実に変化してるのが、ついつい答えばかりを求めたがるが、答えよりも質問の方が重要になってるのが現代なのだ。