大衆の感情を逆撫でする出来事があった場合、是々非々で事を論じるよりも大衆の側に迎合する方が賢明な場合がある。
特に商売やエンドユーザーを相手にするビジネスでは。
トヨタ、「あるまじき行為」と抗議=名古屋市長のメダルかじり―東京五輪
同選手が所属するトヨタ自動車は5日までに、「今回の不適切かつあるまじき行為は、アスリートへの敬意や称賛、(新型コロナウイルス)感染予防への配慮が感じられず、大変残念に思う。河村市長には責任あるリーダーとしての行動を切に願う」とのコメントを出した。
さらに、
メダルかじりで協定締結式が中止 名古屋市とグランパスhttps://t.co/92GqubdXs5
— 朝日新聞名古屋編集局 (@asahi_nagoya) 2021年8月6日
河村たかし・名古屋市長が東京五輪ソフトボール選手の金メダルをかじった問題を受け、6日午前に予定されていた名古屋市と株式会社名古屋グランパスエイト(本社・名古屋市)との包括協定の締結式が中止となった。
注目すべきは、
サッカーJ1・名古屋グランパスを運営する株式会社名古屋グランパスエイト(本社・名古屋市)の筆頭株主はトヨタ自動車
であるという点。
この一連の出来事は、河村たかし名古屋市長の愚かな行為に鉄槌が下されたと世間の方は感じてるかもしれないが、実際には大衆の感情を読んだトヨタが企業イメージのアップを図ったというのが真相だろう。
この件が起きる前にもトヨタはオリンピックに関して話題になっていた。
トヨタが「オリンピックCM取りやめ」…そのウラで起きている「劇的な変化」の正体 @gendai_biz https://t.co/pYBqunkv4J #現代ビジネス pic.twitter.com/Exyyk9PcA3
— 現代ビジネス (@gendai_biz) 2021年7月21日
この記事によると、従来型の広告宣伝では大企業はもはや企業イメージのアップが図れなくなっているようなのだ。
世界がEV(電気自動車)にシフトしようとする中で、トヨタはその動きに抵抗し続けている。
堅実な大企業としてのイメージは揺るがないかもしれないが、先進性やイノベーションのイメージはもはや無い。
というよりも、新しい動きに関しては芳しくないマイナスの話は珍しくないのだ。
トヨタ窓口「車はこのまま引き取ります。そこからの移動はタクシーなり電車なりご自身で何とかしてください。近くのトヨタレンタカー系列でヘルプなどもできません。ではレンタカーのご利用は本日までということで、契約終了となります」と、飛騨山脈のど真ん中で放り出していただきました。
— Kenn Ejima (@kenn) 2021年8月3日
このツイートは経緯を綴った連ツイで構成されてるので興味がある方は是非見ていただきたい。
トヨタは経営のトップが瞬時にタイムリーな反応や対応を上手にやってるように見せることには長けているが、現場がユーザーのために臨機応変に対応するような裁量権は与えられてなさそうなのだ。
つまり、ユーザーレベルでは嫌な思いをしてる人は案外多いかもしれないのだ、もちろん販売台数に比べたらわずかに過ぎないかもしれないが。
さて、一連の出来事を『河村たかしvsトヨタ』と見ると、トヨタの方が上手に振る舞ってるように感じるが、それを決定付けているのは大衆の感情なのだ。
河村たかしは、『メダル噛んだらきっとウケるぞ』という大衆を意識した悪ノリの大失敗なのに対し、トヨタは大衆の多くが不快を感じてることをはっきり認識した上での行動だとすると、どちらも発想のレベルとしては大差ないのだ。
両者とも、大衆にウケたいのだ。
今年の春、当選は厳しいと見られていた河村たかし氏が名古屋市長に再選された際の勝因として『結局、知名度の高さが勝敗を分けた』と評されていた。
逆にいうと、大衆が主体の世間なんてそんなものだったのだ。
しかしここに来て最近は少し空気の変化を感じる。
『悪名は無名に勝る』というのが通用しなくなっているかもしれない。
そこそこ有名であることを自覚した人は知名度を下げないためには露出が重要であることを意識した結果、積み上げたものが崩れるということが東京オリンピックに絡んで目立ち始めたように感じられる。
『悪名は無名に勝る』と炎上を厭わない空気はまだまだ漂っているが、確実に悪名に対するしっぺ返しが倍返しになりつつあるような気がする。
炎上戦略は変更を余儀なくされるかも!?