先週買って読んだ完売画家について。
感想を一言で言うと、『ビジネスはすべて同じだ』となる。
しかしながら、印象は新鮮だった。
日本で「食えている画家」は30~50人だけ
— ニューズウィーク日本版 (@Newsweek_JAPAN) 2021年9月2日
「絵描きは食えない」を変えたい――完売画家が考える芸術界の問題点https://t.co/MfV6Jypika
著者は、絵画の世界では日本に30人〜50人しかいないとされる描いた絵がすべて売れるという画家で、この本に書かれてることは他のビジネスに関してだと、基本だし当たり前のことの実践に過ぎないのだが、それが新鮮に感じられることがおもしろかった。
最終的に絵を購入するのが個人にせよ法人にせよ、画廊やギャラリーを通じて買ってもらう方法と、直接エンドユーザーとつながる方法しかないのだ。
新鮮なのは絵画に関してはまだまだ百貨店が持ってる顧客の存在感は大きいようで結果として百貨店と繋がりが強い画廊やギャラリーが強い影響力を持つようだ。
ZOZOの創業者の前澤友作氏のような露出の多い億万長者な方が絵画や芸術に積極的に興味を持つと業界内のヒエラルキーを一気に破壊できるはずだ。
売れっ子アーティストになると、画廊やギャラリーが発注し購入するというBtoBスタイルになるのだが代金の支払いに関してはアーティスト側が不利な場合も少なくないようで、全てのビジネスは構造は同じだとしても、マイナーな業界なので、利用したりされたりが露骨なようだという意味では、詐欺の世界と紙一重なのだ。
美大に入学して初めて分かるのが、美大の教授は画家として生きていくための方法論なんてまるで持ってなく、絵画の技法や歴史のうんちくを語るだけで、画家になりたければ美大は役に立たないとバッサリ、しかしそんな美大という存在は上手に利用することもできるという話も書いてあった。
これからの時代、ますます価値観が多様化するとなると、多くの人はマイナーな世界で細々とした市場の中で生きていくしかないのかもしれない。
全てのビジネスの原理原則の構造には大した違いはないかもしれないが、処世術としての振る舞い方は千差万別になるかもしれない。
読むと、一般的なビジネス書に書かれてる内容と同じだなと感じながらも、受ける印象はまるで違うのだ。
混沌とするであろう未来への心構えをしっかり持つためには、もってこいのビジネス書と言えるかもしれない。