『山本豊津』、この名前を知ってる方はどのくらいいるだろうか?
画廊「東京画廊」の二代目社長。
つまり、芸術をビジネスにしてる方だ。
私が、山本豊津さんの名を知ったのは、この本でだ。
この本が出版されたのは2015年、その頃から資本主義の行く末を心配する声は上がっていたが、現在の資本主義はグローバル化に依る大量生産大量消費が支えているが、これがビジネス的にも地球環境的にも持続可能性に?が付くようになった。
当然、この流れに代わる新しい何かが出現してくるはずなのだが、その次を予言するのが『アート』だという話だ。
私は、久しぶりに読み直して、再度おもしろいと感じた。
おもしろいと感じた理由は、現代の主流の価値観の正反対だと感じたから。
正反対とは何かと言うと、現代の主流の価値観は、良さや価値がひと目で伝わることにあるという点で、各種のプレゼンテーションなどもこの傾向が顕著だ。
自己紹介ですら、最初の3〜5秒で印象は決定されるなどと言われている。
アートや芸術は、こういう流れに逆行するから、正反対と言える。
そんな流れの中で、どこに価値が宿っているのか、その価値をどう見積もればよいのかがよくわからない芸術やアートのようにビジネスが展開されるようになるならば、行き詰まりの閉塞感は打破されそうな気がしてくる。
もちろん、今が旬の詐欺商法も待ち受けているだろうが。
2015年の時点で、世界最高額の絵画はゴーギャンの『ナフェア・フェア・イポイポ(いつ結婚するの?)』で約355億円、その次がセザンヌの『カード遊びをする人々』で約325億円と言われてたらしい。
300億円を現金で集めると、一万円札で一億円で約10kgだから、3トン。
300億円分の金塊だと、今日のレートでは1gの相場は約4800円。
https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/d-gold.php
300億円分の金塊は約6トン。
このレベルの金額の取引を、人に知られずに実行したいと考えた場合、今風のキャッシュレスですらその役目は果たせない、取引は少なくとも金融機関には気付かれるから。
芸術やアートや宝石などに高価な値がつく理由の一端が垣間見えるような気がする。
そんな、魑魅魍魎のアートの世界は、資本主義の日陰に存在してたのだが、最近そこに陽が当たり始めてきた。
そう考えると、少し思い当たることがある。
アートや芸術の世界の専門用語だったことばが、徐々に私達の日常に登場し始めているのだ。
『キュレーション』、『コンシェルジュ』などのことばだ。
キュレーションとは、元々は、博物館や美術館での展覧会の企画をすることで、そこで求められる能力やセンスは目利き力(錯覚させる力とも言える)だ。
コンシェルジュは、元々は、中世の教会で巡礼者の旅にまつわるトラブルの解決者として常駐していた人だ。
どちらも、なんだかよくわからないものや事を、解決するための手助けをする役目を表すことばであり職業だ。
歴史を振り返ると、芸術家やアーティストは、枕詞に『売れない』と付く人々がほとんどだっただろう。
現代では、物書きの世界に似た世界観が感じられる。
物書きだけではない、写真や動画も同様だ。
これらの世界が、アートや芸術の世界と共通するならば、作品の出来と得られる評価は必ずしもイコールではないということだ。
そのイコールではないことに対して、どのように足掻くのか?
それこそが、戦略であり戦術となる。
上記で紹介した本のアマゾンレビューで評点が最低だった方のコメントが意味深なので紹介。
この話題は、簡単には言い尽くせないので、しばらく続けたい。