リアルビジネスの世界では、競争しないという戦い方は定番のテーマの一つで、ニッチビジネスなどと言われていてお馴染みだが、これも分かっているようで分かってないことがありそうなので、備忘録を兼ねて整理してみたい。
リアルビジネスの場では、競争しないという意識や発想はまだまだマイナーなものだが、プライベートの処世術としては拡大傾向にある。
1人暮らしの「節約」に関するアンケートが興味深い…節約で心がけてるのは「見栄を張らない」「他人と競争しない」 https://t.co/U7JYVjDIN0 @youpouchから
— greendog@猫好き (@funnygreendog) April 17, 2019
競争しないという戦い方が目指すのは、『強い者が生き残り、弱い者が滅びる』という世界観ではなく、『適者生存』に近い『共存共栄』という世界観だ。
ビジネス的な言い方をするならば、戦略や戦術と市場(マーケット)が異なることを目指すことで棲み分けを成立させることだ。
GAFAMのように、全てを独占するかのような勢いがあったとしても棲み分けは可能だと思えればこその考え方。
弱肉強食の自然界に多種多様な生き物が生息できるのは、どんな種でも最小単位の生息域を持ってるからだと言われてる。
生態学では、そんな最小単位の生息域のことをニッチ【語源はラテン語のnidus(巣)】と呼ぶ。
そして現在では、このニッチというワードはビジネス用語としても使われるようになった。
競争しないためにどう生きるかのヒントの一つはニッチにあるような気がする。
今回はニッチについて備忘録的に整理する。
ビジネスにおいての競争では大きく二つの要素が問われる。
1.ヒトモノカネ
2.オリジナリティ
世界に目を向けるならばイノベーションなんて要素も問われるのだろうが、日本人が日本で日本語で生きていくならば、この二つの要素に絞り込めるだろう。
競争しないということの活路をニッチに求める場合は、1.のヒトモノカネでは勝負できないが、2.のオリジナリティでは勝負できるということが前提になる。
オリジナリティでは負けるもしくは無いのに、その後で根こそぎ持っていくというのが、日本の優良大企業の得意技だ。
今となっては昔の話になるが、家電業界ではSHARPやSANYOが新商品を出し市場を顕在化させた後で、松下電器(現Panasonic)がパクリ商品をより高級に仕立て上げて市場を奪うということを得意にしていた。
だから松下電器はマネした電気と呼ばれていたのは有名な話だ。
昔話だが教訓としては生きている。
オリジナリティがあっても、簡単に真似されるものではダメなのだ。
真似をされるのは、コストと市場(規模)が関係する。
真似をするために特殊な技術や技が必要ならば、コスト的に手を出しづらいものになる。
また、市場が小さな商品だと市場を独占しても規模が小さいため真似をするメリットがなくなる。
最近は価値観の多様化が広まったせいだろうか、小さな市場の顕在化が目立つようになっている。
私たちの生活の身近な尺度で見てみると、
テレビの視聴率が10%と聞くと、ヒット番組だとはとても思えないが、それでも1000万人以上が見てるということになる。
小説やCDがベストセラーやヒットと言われると、昔だったら100万部や100万枚を意味していたが、最近では10万部や10万枚でも立派なベストセラーであり、ヒット曲と言える。
SNS等でフォロワーが1万人いたら立派なインフルエンサーと言って良いかもしれない。
基準をどこに置くかで、市場規模の評価が全く違ってくることが分かる。
インターネットという括りで日本を見ると、向こう側には1億2000万人がいるような気がしてくる。
例えば、わたしの場合は、ブログを書き始めたばかりの頃は自分に自信がないから誰も読まないだろうなと思っていたが、読んでくださる方が出てきたことが分かると、市場規模に対する感覚が修正されて行った。
そして、わたしの中では一つの基準として日本人の1万人に1人が分かってくれたら合格だと思いながら書くようになった。
1万人に1人というのは、リアルな人間関係に照らし合わせると、自分の直接の知り合いの全てからNoと言われる規模かもしれない。
でも1万に1人というだけでも日本全体に分かってくれる人が1万人以上いることになるのだ。
このぐらいの市場規模を想定してオリジナリティを発揮できれば、真似をされてもパクられてもマイナスは何もなく、見事に棲み分けが成立すると思えてくる。
このくらいの市場規模を想定しての行動は、泰然自若としてマイペースな印象を与えるはずだ、実際には迷いながらであっても。
こういう印象を周りに与えることができれば、自然と競争しないという戦い方になっていくはずだ。
ところで、ニッチというのは誤解も招きやすいという特徴がある。
その誤解は、禅問答的でもある。
ビジネスとしてのニッチを考えると、小さな規模で、差別化すると捉えがちだが、ここは語源に戻ると分かりやすい。
規模や差別化という違いではなく、あくまでも違うのは生息域。
要となる考え方は、その生息域を場所としてエリアとしてどのように定義するかであり、その生息域で生きている種をどのように定義するかだ。
この生息域に関する定義は、簡単に敵の侵入を許すものであってはならない。
この定義の仕方こそがオリジナリティになるはずだ。
ニッチについて考えるときは、生産性や効率は一切無視することが大事。
生産性や効率こそが、敵(大資本)が得意で、そこが付け入る隙なのだから。
現代人のジレンマでありパラドックスは、ニッチこそが居場所であるにも関わらずに、生産性や効率を中途半端に求め絶滅に瀕してることだと言える。
今日はニッチについての考え方を披露したが、競争しない戦い方にはニッチ以外にもあるのでまた続けたい。
続きはこちら