今年の3月に読んだ『スマホ脳』は結構なベストセラーだったと分かった。
2021年上半期ベストセラー(集計期間:2020.11.24~2021.5.21)
スマホ脳は、ひとことでいうとスマホを使い過ぎるな、過度な依存は避けろと言ってるのだが、全編を通じて人間の脳やDNAや身体の反応など大昔からインプットされ受け継いでる機能との比較を通じて説明されている。
現代人の生活は、太古の昔から人間の身体にプログラムされてる機能とうまくシンクロできない部分が多過ぎるくらいあるので、そのことを理解し自分を律する必要があると言っている。
少々表現は違うが、養老孟司先生も解剖学者としての観点から結果として似たようなこと言っている。
人間の遺伝情報はヒトゲノムという単位で解析されているが、ヒトゲノムの4割は過去の歴史上のウイルスに由来するらしいが、その機能は全く不明、ヒトゲノムの中でその機能が明らかにされているのは2%に過ぎないと。
現代人の生活は、脳を過大評価し、脳を喜ばせる方向に向かっている。
便利や快適の追求は、よくよく考えると脳を喜ばせようとするものであることが分かる。
(他人より)良い評価を求めることも脳が欲してると思うと納得できる。
脳を喜ばせようとすることが、脳も喜ばせようとするなら問題はないが、脳だけを喜ばせようとしてることに問題があるし、そのことに気付かないことがさらに問題なのだろう。
コロナ禍でエッセンシャルワークの重要さが再認識されているが、これも合理的に反応した結果で、脳がそうさせているだろう。
脳に逆らえという話ではなく、脳だけを喜ばせようとしてるのではないかと疑ったほうが良いはず。
脳だけではなく、脳と連携し一体であるはずの身体にも目を向けるべきなのだ。
その際にキーワードになるであろうことが、エッセンシャルの反対の不要不急だ。
まだまだコロナ禍は続くだろうし、不要不急と無秩序の混同が世間には見られるが、秩序ある不要不急がそろそろ表舞台に戻ってくる必要があるはずだ。
不要不急に括られる飲食という分野は、美食や飲酒だと捉えるとこれまた脳を喜ばせるだけのものにしか思えないこともないが、汗をかく行動とセットであれば喜ぶのは脳だけではなく身体もになる。
現代は、油断してると脳内だけで物事を完結させようとしてしまう。
そんな脳内には、なんのために備わってるのか意味不明なものがたくさんあるのだ。