違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

時代は少年マンガ的な展開から少女マンガ的にシフトしている

過剰演出が話題になっていた。

 

 

 

 

普段だったらスルーする話題だが、今回は少し引っかかった。

 

これまでもテレビではたびたび過剰演出が話題になることがあった。

 

過剰演出には大きく二通りある。

 

  • 見せたいもの(シーン)を大袈裟に見せる

 

  • 見せたくないもの(シーン)を見せないようにする

 

 

そう言えばと思い出した話がある、ちょっと曖昧だが。

 

夏目漱石の孫で漫画評論家の夏目房之介さんがこんなことを言ってたような記憶がある。

 

根性や熱血がテーマの少年マンガでは、不様なシーンや残酷なシーンが大袈裟に描かれるのは、それが読者の気持ちを盛り上げその後のシーンの展開にのめり込むためには重要で、そのような展開に慣れると気分を盛り上げるためにもっともっととなってしまうと。

 

 

一方、少女マンガでは主要なテーマが『白馬にまたがる王子様』。

 

そのため、少女マンガでは美しい展開を描こうとするようになり、少年マンガに必須のどろどろとした真実や裏の描写は避けたがる傾向にあると。

 

 

今となってはマンガには必ずしも当てはまらないかもしれないが、過剰演出の典型的な二つのパターンとは言えるだろう。

 

日本が昭和平成令和と時が流れるうちに、男性中心社会から男女平等に少しずつ変化する中で、少年マンガ的な展開を望むよりも少女マンガ的な展開を社会が望むようになった気がしてくる。

 

たぶん日本だけではないような気がする。

 

MeTooやハラスメントが噴出するのは、少年マンガ的な展開に対するNOの声のようにも感じられる。

 

美しくないものや、美しくない行動や結果は見たくないという少女マンガ的な展開がより望まれるようになったからと思うと妙にしっくりくる。

 

 

 

昨年大リーグで大谷翔平さんが大ブレークした理由は、もちろん第一には挙げた成績や記録や実績があってこそだが、ルックスの良さに加えて品行方正な振る舞いだけでなく、相手チームにも優しい振る舞いなど、まさに白馬にまたがった王子様だったからで、最初はブーイングを送っていた敵地のファンが最後は拍手するのだ。

 

その賞賛には贔屓チームなど関係なければ、野球の好き嫌いも関係なかった。

 

 

 

翻って考えると、少年マンガ的な展開を望むことはますます冴えない結果にしか繋がらない気がする。

 

フェイクニュースやノイジーマイノリティの暴言は目立つが、決して主流派になることはないのは、少年マンガ的な展開だからだ。

 

昨年他界されたマンガ家のさいとう・たかおさんが書いたゴルゴ13は誰もがハードな少年マンガだと思っていただろうが、繊細で細心で絶対ミスをしない狙撃手ゴルゴ13には、一貫した冷徹な行動や振る舞いの美しさに白馬にまたがった王子様との共通点が感じられる。

 

 

ある程度以上の年齢の男性は、人生で壁に直面すると理想的な展開として少年マンガ的なものを脳内で描くかもしれないが、それはもう時代錯誤だと気付いた方が良いかもしれない。

 

 

人生で迷うことがあったら、これからは展開が美しいものを描く方が良いはず。