ロックダウンの解除を喜ぶ上海市民の様子を伝えるテレビ放送の中で、それを伝える現地駐在の日本人スタッフと日本にいる出演者のやり取りの中で『それにしても痩せましたよね』と司会者に言われた時に、駐在スタッフが『こういうのを廃用症候群と言うらしいです』と答えていた。
廃用症候群(はいようしょうこうぐん、英: disuse syndrome)とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指す。生活不活発病とも呼ばれる。特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多い。
また、寝たきりや行き過ぎた安静状態が長く続くことによって起こる筋肉や関節などが萎縮することを廃用性萎縮(はいようせいいしゅく)という。
自宅での完全隔離と配給食で長時間過ごした結果は、擬似寝たきり状態となったようなのだ。
人間の身体は合理的にできているので、使わない機能は必要ないと判断して失う方向に作用する。
テレビがリモコンではなかった頃の、昔の一人暮らしの大学生のあるある話として、春休み(受験期が入るため夏休みよりも長い)にダラダラゴロゴロ生活してると起き上がるのはテレビのチャンネルを変える時と食事とトイレだけになることは珍しくなく、起き上がるたびに立ち眩みを覚えるというのがあったなと思い出した。
若くて健康でもあっという間にそうなるのだ。
そのことを思い出すと、もう一つ思い出したのが、しかしながら生活態度が変わればすぐに回復したことで、年齢も若いし当時はそのことに不思議は感じなかったが、マッスルメモリーというものの存在だ。
なかなか他人と共有しにくいものに感じるが、ブランクによって衰えた筋肉には衰える前の記憶があり、再度筋肉を活用し始めると以前の状態に近いところまでは少々時間をかければ復活するのだ。
有名人でいうと水泳の池江璃花子さんだ。
白血病の治療のため約1年運動から遠ざかったが、その後見事に復活を果たした。
ここで興味深いのは、マッスルメモリーというくらいだから筋肉そのものが元に戻るならば体型も戻るはずだが、体型は昔に比べると細身なのだが発揮するパフォーマンスが元に戻ったのだ。
だから正確には元に戻ったのとは別物だろうが、ただの努力や頑張りとは別の、人間の身体に宿る合理性が感じられる。
マッスルメモリーの存在を実感してる人は、病み上がりの人やリハビリをしてる人の中にも多いことはTwitterなどを見ると感じられる。
身体に関しては、使わなければ衰え、使えば確実にそれなりのレベルには行き着くのだ。