和製英語と言われるものがある。
日本で日本人が使っていると本物の英語のように感じるがネイティブの発想ではない概念なので、ネイティブにとっては言語明瞭意味不明、そう言うのが和製英語と言われるものにはある。
別に英語に限った話ではないし、もちろん逆だってある。
日本にはガラパゴスが多いが、そんなガラパゴスについてあれこれ思いを巡らしてる時に、「コスパ」ももしかしたらガラパゴスなのではと思ったのでTwitterを検索するとまさにズバリの話が出ていた。
日本では「コスパ」が重視されますが、アメリカ人に"Cost performance"と言ったら全く通じなかった…
— 山口慶明🇺🇸で何とか生きてる (@girlmeetsNG) 2021年4月26日
「コストパフォーマンス」が和製英語だと初めて知ったが、そもそも「良いものは高い」のが当然なアメリカでは「コスパ」という概念自体があまり無いので、これはもう和製英語以前の問題な気がする…
Cost performanceが通じなかったアメリカ人にコスパを説明したら"You get what you pay for"と言われた。
— 山口慶明🇺🇸で何とか生きてる (@girlmeetsNG) 2021年4月26日
これは直訳すれば「払った金額の物が手に入る」で「安い物に高いクオリティを期待してはいけない」という意味の英語の定番フレーズ。
この意識が浸透しているからコスパの概念が薄いんだと思う。
この話を別の表現で現すと次のようになるのかもしれない。
ITでアメリカが先行して、日本は乗り遅れました。
— ひろゆき (@hirox246) 2022年12月23日
結果として、日本人が買うスマホアプリの30%は、アメリカのappleかgoogleに払われます。
外国製のシステムを導入すると初期投資が少ないので安上がりに見えて、長期的に搾取され続けるというのがわからない昭和な頭の人は、まだまだ居るんですね。 https://t.co/DdyXHDMI0y
思い返せば、日本が世界で頭角を現した戦後からバブルにかけての昭和はコスパの追求が全てで、具体的には欧米が先行開発したものに改良や改善を加えるというやり方だった。
しかし、改良や改善で世界のトップに立つと何をしたら良いのかが分からなくなってしまったのがバブル末期で、その後は世界の潮流がデジタルやITに移行すると、もはや改良や改善で市場を奪い取るということは不可能になってしまった。
しかし、コスパという概念だけが成仏できない背後霊のように残ってしまったのだ。
現代に世界に通用する日本初であったり日本発であるものにはどんなものがあるだろうかと考えると、伝統芸能や食文化やサブカルの領域のように感じられる。
大企業や大組織が生み出すものよりも、気の利いた個人や小集団が生み出すものであるように感じられる。
つまり、その気があれば誰でも参入可能ではあるが、決して儲かるとは思われてないし社会的な評価も高くない分野なのだ。
逆に言うと、だからこそやるに当たって本気度や純粋度が試されるのだ。
一番似合わないのがコスパという概念になりそう。
日本でコスパと使う時には、勝ち馬に乗るというニュアンスや、場合によっては後出しジャンケンやインサイダー取引のようなニュアンスすら感じさせるのは、勝てば官軍負ければ賊軍という文化のせいも大きいだろう。
勝てば官軍負ければ賊軍は、力は正義と同じ意味だと解釈すると万国共通のようだが、ニュアンスは大きく違うように感じられる。
日本国内だけを見渡すと官軍派の存在が感じられるが、世界を見渡すと日本自体が賊軍のようにも見えるのはなんとも皮肉だ。
日本の官軍派を想像すると芥川龍之介の蜘蛛の糸が思い浮かぶ。