勝ち負けがはっきり付く分野では、それがスポーツであろうがビジネスであろうが、許される時間を十分に使う方が有利だとされる。
ただ、許される時間の解釈はかなり幅がある。
野球でピッチャーが投げるボールをバッターが打つ場合は、許される時間はボールがキャッチャーに届くまでで実際には一瞬だし、キャッチャーに届いた後ではもはやうつ手はない、ボールの速さが150km/hの場合だと許される時間は0.4秒。
しかし、分野が違えば意外と罷り通ることがある。
判断や決断のための時間を欲張り過ぎることの多くは十把一絡げに後出しジャンケンと呼ばれる。
蔑みの意味で使われる場合もあれば、勝てば官軍という意味で使われる場合もある。
良いとか悪いという価値判断を抜きにすると、後出しジャンケンとは勝つことへの執着が生む未練が判断や決断を遅らせることとも言えそう。
そうだとすると、後出しジャンケンの反対語は、即断即決になりそう。
反則としての意味合いが強そうなのが後出しジャンケンだが、それをじっくり検討、じっくり吟味と解釈すると、日本ではむしろ褒め言葉になりそうだ。
また、後出しジャンケンには次のツイートのように横取りや搾取の匂いも漂うようだ。
— ぽき太 (@Unlock__myself) 2023年1月12日
Twitterを検索すると、後出しジャンケンを戦略や戦術の要にしてる企業の一つがユニクロだと思えてくる。
ファッション界の人からは、他社や他ブランドの売れ筋や人気商品をすぐにコピーするような商品展開だけでなく、ロシアのウクライナ侵攻に伴いロシアに進出していた世界の有名企業やブランドがすぐに撤退の意思表示をしたのに対しユニクロは最後までのらりくらりだったり。
一方で、国から言われて賃金の引き上げをいち早く発表したが、これも言われなくてもできるはずのことを言われるまでしなかったと解釈すると立派な後出しジャンケンだが、そのことでガラパゴスな安い称賛を受けてる。
日本で組織や集団に属してると、前例がないことはやらないという文化が定着してることが多い。
前例がないことにチャレンジして失敗した場合、『ほら、言わんこっちゃない』と嘲る。
このような価値観が、自然と後出しジャンケンを助長するのだが、それじゃあ世界に通用しない、それが今の日本。
後出しジャンケン派の人や企業は、他人や他社が何をしようとしてるかばかりを気にし、自分や自社が何をしたいかが最初に来ない。
産業スパイなんていうのを必要とするのもこのジャンルの人や企業だ。
有利を得るために必要なことが後出しジャンケンだという人の未来は明るくはなさそう。