弁証法が唱える法則の中に対立物の相互浸透というのがある。
何やら小難しく聞こえるが意味することはシンプルで分かりやすい。
対立し競っている者同士は似た者同士になるという意味。
人が他人を好きになったり嫌いになる理由として大きく二つがある。
- 自分と似ている
- 自分と違っている
意見や考え方や価値観などが対象だが、キッカケはなんとなく話が合うとか合わないというレベルで生まれる。
おもしろいのは、自分と似てるあるいは違ってるという理由で、好きになることもあれば嫌いになることもあり得るのだ。
そのような場合には、肝腎要な要素に共通性があり、それ故に仲間や同類だと感じれば好きになるが、ライバルや敵だと感じると嫌いになる。
嫌いになり敵視しても、互いに持ってる価値観は似ているので、入手する情報も似てるし、その情報に基いて取る行動も似通ったものになる。
お互いに相手が自分の真似をしてると感じれば不快感を感じるが、その不快感は合わせ鏡で見ている自分自身でもあるので、ただの不快感ではなく限りなく自己嫌悪に近くなる。
しかし、その両者に共通のライバルが異業種や全く異なるコンセプトから誕生すると、この両者の利害は急速に一致するようになる。
地球上で戦争をしてる国同士であっても、宇宙から異星人が地球を征服しに来れば、戦争などしてる場合ではなく互いに協力するはず。
携帯電話の登場やインターネットの普及で、ライバルは同業や隣接業界とは限らない時代になったことで、対立の概念が根本から変化した。
誰だって目標や憧れに向かって生きているだろうが、その目標や憧れを掲げてる限り、近づくことはできない。
人に関する話のように書いてるが、法人や組織であっても同じだし国家にも当てはまるはず。
そんな時代であることを頭の片隅に覚えておいた方が良さそうだ。