違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

すべては中央値に寄っている

あらゆるものは、その中には人間も含まれるが、順位付けされたり序列化される。

 

おそらく広告宣伝的な意識や手法が浸透した結果だろう。

 

この広告宣伝的な意識や手法は、マーケティングと置き換えることもできる。

 

 

その結果というか成れの果ては、すべてが中央値に寄ってくるということではないか、という話。

 

そしてそれは多くの便利をもたらすが、それだけではないという話。

 

 

勉強して成績や出身校だけは超一流になって、そういう人が寄り集まってもイノベーションの一つも起こせない。

 

それって世の中は優秀な人がリードしてるわけではないことを示している。

 

一方、昔だったら勉強しなかったら碌な大人になれないよと言われたが、悪いことで有名になる人が勉強しなかったからそうなったというわけではないことは多くの人が知るところだ。

 

もちろん、昔のイメージがバッチリ当てはまるケースもないわけではないが、それよりも、頑張ろうが頑張るまいが、一生懸命やろうがやるまいが、多くの場合中央値や平均値に寄ってくる。

 

寄ってくるというよりも、中央値の周辺しか存在しなくなるように感じられる。

 

格差の拡大が問題になることが多いが、格差の両極は例外的で、多くは中央値の周辺で、わずかな差を殊更に大袈裟に扱ってるだけではと思えてくる。

 

これは苦しんでる人の苦しみが大したことないと言ってるのではなく、苦しみを格差ゆえだと思うことは間違いではという話だ。

 

技術やテクノロジーの進歩は、その発展途上では使いこなす難しさを伴ったので、便利で優秀な技術であっても施すのが誰かで、結果に大きな違いが生じた。

 

時代の進歩は、そんな技術の使いこなしの世界から腕の格差を取り除くようになった、つまり誰がやっても限りなく同じになったのだ。

 

カメラと写真の関係は象徴的だろう、撮影者は写したいものを決めてシャッターを押すだけでよくなった。

 

それでも写真に差がつく場合は機材の差かセンスの差だ。

 

車の運転も同様だ。

 

 

個人的に少し前の出来事を思い出した。

 

メガネに関して。

 

乱視が進行してるせいなのか、特に車や自転車などを運転する際に何が見えてるのかよく分からなくなることが増え始めた。

 

メガネを新調しようとメガネ店を複数訪れて検眼するも、今使ってるメガネのレンズは最適ですと言われる。

 

それでも新しくすると良くなるかもと新調したのが約1年前。

 

最初は良いような気がしたがやっぱり改善されてない。

 

運転がますます怖くなるようになった。

 

私はこの20年くらいの間に使ったメガネは全部保管していたが、試しに古いメガネを掛けてみると、10年くらい前に使っていたメガネが見やすいことに気付いた、コーティングはボロボロに禿げて見た目は醜悪だが。

 

ネットで乱視に強いと評判の店を探して、試しに古いメガネも持参して検眼してもらっても今使ってる一番新しいメガネの設定が一番良いと答えるし、乱視の矯正度合いを上げるのは賢明ではないと答える。

 

そして今年の1月、たまたま入ったショッピングモールのフードコート近くにJINSがあった、そしてたまたま10年前のメガネもバッグに入れっぱなしにしてるのに気付いて、検眼してもらい話をしたところ、同じやり取りの繰り返しだったがJINSは少しだけ対応が違った。

 

分かる範囲で詳しく教えてくれたのだ。

 

最新の検眼機を使った結果最良と出るレンズの設定と10年前のレンズの設定では乱視の矯正度合いが10年前の方が一段階強いと教えてくれた。

 

じゃあその設定で作ってくれとお願いすると、検眼の結果最良と指定される設定以外で作ることに躊躇があると教えてくれた。

 

クレームでも恐れているのかもしれない。

 

わたしが粘った挙句受けてくれた。

 

10年前のレンズ設定で作った新しいメガネによってこの数年密かな悩みだったことはすべて解決した。

 

 

この話が、どのように中央値の話と結びつくかというと、メガネ作りというのは職人による技術職だったはずで、それはカウンセリングやコンサルティングの要素もあったはず。

 

しかし、現在それらは全国どこでもほぼ同じ仕様の検眼機に依存し、技術職ではなく単なるオペレーター職になっているのだ。

 

現場の人は短期間の研修で技術に関しては新人もベテランも大差ないレベルになるのだ。

 

これはまさに技術の中央値化だ。

 

技術に関してどこでも中央値が得られるのであればどこでも同じとなる。

 

どこで差がつくのか、差別化はどこに宿るのか?

 

接客担当者の個人的な資質に依存することになる。

 

JINS以外のメガネ店では、どこも10年目のメガネのレンズの乱視矯正が一段強いということも教えてくれなかったし、10年前と同じ設定でレンズを作ることにも賛同しなかった。

 

わたしが偶然JINSに出会えて、たまたま接客してくれた方が10年前の設定で作ることに同意してくれなかったら、わたしは今でも運転に恐怖してたはず。

 

最もひどい時は、片側1車線の2車線道路を運転中に自分がどちらの車線にいるかさえ分からない瞬間があったのだ。

 

わけのわからない自動車事故の中にはメガネのせいで起きてるものも少なくないかもしれない。

 

 

何かもが中央値に収束してるという現象は、とてつもなく恐ろしい何かに繋がるかもしれない。