後出しジャンケンは嫌われる、ズルいからだ。
ジャンケンだとズルはご愛嬌で済むかもしれないが、現実社会でも意外と多いのだ。
求人における募集時の待遇条件と実際の勤務条件がまるで違う。
このパターンは典型的かつ古典的で、保険をはじめとする契約事における重要事項の説明が、誤解させることが前提でなされてるというものが多いとすら感じる、しかしながら法的に必要とされる体裁はギリギリの線を保つように行われる。
大事なことは後から分かるというのも後出しジャンケンの一種だ。
嫌われながらも後出しジャンケンが通用するのは、セットで『察する』や『忖度』が『難しそうなことはお任せで』という文化として機能してるからでもある。
こういうことを考えていたら、『後出しジャンケン』と『ヒント』が似てるような気がしてきた。
ヒントの定義やヒントが指し示す範囲はたぶん時代と共にどんどん緩くなりかつ拡大して、もはやほぼ答えになりつつある。
後出しジャンケンをしたいと言うと人間性に問題があるように感じるが、ヒントが欲しいと言っても誰も違和感は感じないだろう。
後出しジャンケンとヒントでは、使うシチュエーションが違うとは言え、意識は大差なさそう。
そう考えると、現代人が自分だけが有利になるような後出しジャンケンを求めるのは自然なことかもしれない。
緊急地震速報はその名の通り、起きた地震を地震が到達するより僅かでも早く伝えるためのもの。
きちんと機能すれば正義の後出しジャンケンなのだが、緊急地震速報のおかげで助かったと実感できた経験を持つ人はどのくらいいるのだろうか?
一番助かっているのは気象庁でありバックにいる政府のようにも感じられる。
『安心してください、ちゃんとやってますよ』とアピールできるから。
株取引におけるインサイダー取引も後出しジャンケンみたいなもの、正確には相手が何を出すかが先に分かってるという種類なので、後出しと呼ぶとこんがらがるが。
利害や人間関係が複雑に絡み合う現場では、多くの人が後出しジャンケンを狙っている。
後出しジャンケンに巻き込まれた方が良いのか、それとも抵抗した方が良いのか、というのはかなり大きなテーマだ。