日米の生産するシステムの違いは、生産される製品の違いとなって表れる。
藤本によれば、
日本が得意とする製品のアーキテクチャが
「クローズド・擦り合わせ型」であるのに対して、
米国が得意とする製品のアーキテクチャは
「オープン・組み合わせ型」である。
擦り合わせ型とは「ある製品のために特別に最適設計された部品を微妙に
相互調節しないとトータルなシステムとしての性能が発揮されない」
アーキテクチャで、その典型は自動車である。
自動車では、部品の90%以上が専用設計の部品を使っている。
組み合わせ型は、業界標準のインターフェースを持った部品(モジュール)
を寄せ集め、組み立てるだけで製品が機能を発揮するアーキテクチャで、
その典型は、パソコンである。
ハードもソフトも、業者の垣根を超えてモジュールが規格化されており、
たんに組み立てるだけの事業なら、新興国の企業でも簡単に新規参入ができる。
藤本は、擦り合わせは日本人のDNAに刻み込まれた能力ではないと言っている。
藤本隆宏. 『日本のもの造り哲学』. 東京: 日本経済新聞社, 2004. p. 17
日本特有のガラパゴスは、「クローズド・擦り合わせ型」が高度に発展した結果でもある。
完成度の高さという意味では成功してる。
ただ世界標準になりきれなかった。
世界標準を目指す動きはあったのだろうか?
そして、それ故に「オープン・組み合わせ型」に出遅れてしまった。
「クローズド・擦り合わせ型」が高度に発達し、相互に互換性がない専用設計が至る所に増えた。これらは、メンテナンスにも高度さが要求される。
時間の経過とともに、技術の継承に不備も出てくる。
専用設計だから、そもそもコストがかかる。
コスト削減や効率化のためにアウトソーシングしだすと、蓄積していたノウハウが分散し始める。
そして、そもそもガラパゴス故にアウトソーシングが馴染まないことまでアウトソーシングに出していたとすれば現場は大混乱になるだろう。
きっとこんなことになる(推測だけど)。
では、「オープン・組み合わせ型」にするとは、どういうことだろうか?
統一された規格で、汎用性が特徴となる。
モノ造りだと、差別化のポイントは、
材料、材質(仕上げ)、サイズ、デザイン、組合せるモジュールの選択肢となるだろう。
系列にダイハツがあるトヨタがスズキと提携。
今行われてるメーカーの提携や統合は、「オープン・組み合わせ型」を視野に入れ更にコスト面を含めた効率化、合理化を達成するためだろう。
電機メーカーだと手放す事業も出て来てる。
パナが今さらテレビ液晶から「撤退」する事情
6期連続の赤字事業に買い手はつかなかった
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今から4年前テレビ業界はこう言われてた。
テレビから撤退できた日立。できなかったSONY・SHARP・、Panasonic、
6年前に書かれた事業の縮小撤退に関する話。
この話が昔話に感じられない企業はアウトだね!
現在この世に存在していて一定以上の需要があるものは、最新の機種であっても「枯れた技術」で造られてるといっていいだろう。
そんな枯れた技術で造られてるのに参入障壁を保ててる業界が次の革命の舞台になるだろう。
ズバリ、自動車業界。
参入障壁は、エンジン製造だ。
部品点数も多く、精密さと強度が要求されるからだ。
自動車の革命の1つは、自動運転だ。
自動運転はグーグルやアップルなど制御やコントロールの達人企業も参入を試みてるので、話題も多い。
自動車に関してのもう一つの革命がエンジンに関してだ。
現在の主流は内燃機関だ。
つまり、燃料はガソリンか軽油、ハイブリッドもこのカテゴリーだ。
エンジンがモーターに変わるときが、次の革命だ。
電気自動車は既に存在し、市場に出回ってるが、使い物にならない。
使い物にならない理由は、バッテリーの性能が低すぎるから。
「オープン・組み合わせ型」の要になる技術がバッテリーだと思う。
現在主流のリチウムイオン電池の性能を大きく上回る革命的なもの。
電気自動車がイマイチなのはリチウムイオン電池では役不足だから。
航続距離を増やそうとすると大容量化を余儀なくされる。
大容量化すると、航続距離は伸びるが、充電に時間がかかり過ぎる。
そう思っていたら、リチウムイオン電池も進化を見せてきた。
安永、リチウムイオン電池寿命を12倍向上、充電時間も従来より3~4割短縮できる
これでバンザイとはならないが、不満点の一部を弱めることには役に立つ。
この手の進歩は、日本人の得意な領域だろう。
実用に耐えるバッテリーシステムが実現すると、自動車メーカーの参入障壁が大きく下がる。
街の整備工場が、中古車を改造して、実用に耐える電気自動車を作れる。
自然エネルギー発電が普及しないことも、電力会社が未だに偉そうにしていられるのも、有効なバッテリーシステムが確立しないからだ。
そういう意味では、バッテリーシステムの開発はトップシークレットだ。
あらゆる産業や業界に影響を与える。
投資の世界でも要注目のはず。
ネットをチョロチョロ検索して出るような情報ではないだろう。
今は、待ってる段階だ。