今の日本がよくわかる東京都議選だった。
東京という一地方(地方という規模ではないが)の出来事だが、そこには日本の現状がはっきり現れていたと思う。
先ずは、地方としての都議選そのものとして見てみると、
「都民ファースト」は本当に圧倒的に支持されたのか?「マシ」だから投票した人に聞く
「受動喫煙対策はどの党も公約としてあげていますが、都民ファは働く人や子どもに着目した案を出し、誰のための条例かが明快。実現が早いのではないかという期待を込めました」
港区の会社員男性(27)は、思想は「リベラル寄り」だと自認する。
今回、民進党を離党した無所属議員や共産党の候補者は「投票しても1票が無駄になってしまうような気がして」選択肢にはなかった。
ここで注目すべきは、候補者が誰のことを見ているか(見ているように見えるか)だ。
今の時点で言えるのは、小池さんや都民ファーストの方が、より都民を見てるように見えたから選挙には勝ったということだ。
もっと言うと、他の候補者が都民を全く見てないことが、見えたということだろう。
「民進党は7から5に減っただけだから健闘だ」っていう理屈を見かけるけど、おかしいです。前回の選挙では15あったのに、選挙前に離党が相次いで7になり、選挙で5に減った。つまり3分の1に激減したと考えるべきでしょう。民進党も大負けです。
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2017年7月2日
それ以外は未知数なのだが、それで構わないと投票した都民が判断した。
だから都政がどうなるかは全くわからない。
小池氏、都民ファースト代表辞任 「知事に専念」:日本経済新聞 https://t.co/ltJMjJMCKN
— ユキワカ✡ (@yukiwaka715) 2017年7月3日
小池百合子に投票する感覚で都民ファーストに入れた皆さん、御愁傷様でした。
これからはアントニオ猪木参院議員の元秘書で、猪木に公金横領で訴えられている野田数が代表ですぜ。
都知事選は一地方としての東京の問題なのだが、政治が政党主導で行われる以上、国政とリンクするのは当然だ。
イギリスのbrexitやアメリカのトランプ大統領誕生がポピュリズムと言われている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ポピュリズム
ポピュリズム(英: populism)とは、一般大衆の利益や権利、願望、不安や恐れを利用して、大衆の支持のもとに既存のエリート主義である体制側や知識人などと対決しようとする政治思想、または政治姿勢のことである。日本語では大衆主義や人民主義などのほか、否定的な意味を込めて衆愚政治や大衆迎合主義などとも訳されている。
本来の意味での政治と何が違うのだろうか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/政治
政治とは社会に対して全体的な影響を及ぼし、社会で生きるひとりひとりの人の人生にも様々な影響を及ぼす複雑な領域である。広辞苑では「人間集団における秩序の形成と解体をめぐって、人が他者に対して、また他者と共に行う営み。」としているわけであるが、政治は、社会や社会に生きるひとりひとりの人にとって そもそも何が重要なことなのか、社会がどのような状態であることが良い状態なのか、ということも扱い、様々ある人々の意志からどれを選び集団の意志とするか、どのような方法でそれを選ぶか、といったこととも深く関係している。
ポピュリズムと本来の政治の違いは、どうやらそもそも目指すのが何かの違いのようだ。
本来の政治は、あるべき社会を定義し、そこに向かうために、多数の支持を受ける必要があるというもの。
ポピュリズムは、多数の支持を受けるために何を提示すれば良いかの腹の探り合いだ。
現代のポピュリズムは先進国で起きているが、これは生きるだけならなんとかなる社会が実現された後で、生き方が問われる時代に入ったことを示しているようにみえる。
先に大衆の側が不満を持ち出したが、その不満をうまく表現できずにいて、金持ちになれば不満が解消できるのではと考えている。
そんな大衆の声に、どう応えていいかわからない政治の側が、とりあえず支持が取り付けられそうなネタを探すことに躍起になっている。
現在の安倍政権の特徴は、長期政権にあると言える。
期間の長さだけ見ると、大衆の支持を取り付けることに成功しているように見える。
直近で長期政権だったのは小泉総理の時だが、この頃は自民党の規定で連続2期までという再選規定があった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/自由民主党総裁
小泉純一郎 - 2003年までに1期目(2年)を、2006年までに2期目(3年)を満了。中曽根と同じく特例による任期延長が検討されたが、小泉本人がこれを固辞。2期5年(残任期間を含めると3期5年5ヶ月)の任期を全うした。
小泉総理が総理の座に居座ることに拘っていたようには感じられない。
派手なパフォーマンスと圧倒的な人気が目立つが、古風な人柄が垣間見える。
https://ja.wikipedia.org/wiki/小泉純一郎
「脱派閥」を訴え、総理在任中は派閥の意向にとらわれない政権運営を行ったが、総理となるまでの小泉自身は派閥政治家の一面もあり、派に対する忠誠心も強かった。ポスト中曽根の後継で竹下登が指名され(いわゆる「中曽根裁定」)、安倍晋太郎が敗北した際の安倍派の打ち上げでは、先輩政治家たちがお通夜のように静まりかえる中、遅れて料理屋に入ってきた安倍に対して、小泉はいきなり卓をダーンと叩き、「だからあんた、甘いんだよーッ!」と怒鳴りつけたという。あまりの剣幕に周囲は唖然として声もなく、安倍はただ黙って苦笑いするしかなかったと、同席した平沼赳夫は述懐している。
2001年の総裁選においては田中眞紀子から出馬を強く勧められたことを明かし、「立ちなさいと女性から言われて、男として立たないわけにはいかない」と挨拶した。
小泉総理の時代には、日本ではまだポピュリズムは始まってないように感じる。
小泉総理以降の総理が、小泉さんの人気をお手本にしたいと考えたであろうことは想像に難くない。
検索すれば何かしら出るだろうが、皆結構パフォーマンスしてるのだ。
しかし、人間的な魅力が無いので小細工感があったり、人柄のセコさだけが透けて見えたりして全く人気に繋がらない。
人間的な魅力で勝負できない人間は、人を釣るための餌が必要になる。
第2次安倍内閣がスタートした時(2012年末)以降、支持者の所得が増える政策を掲げるという日本型ポピュリズムが始まった。
つまり、金持ち優遇であり、お年寄り優遇だ。
これさえやってれば安泰なはずと、今回の都知事選でも考えていた。
だから見えないところでこんな動きが起きていた(仕掛けられていた)。
株、連日で同じ時間帯に入る160億円の注文 買ったのは誰だ
2017/6/26 13:38日本経済新聞 電子版
規模、対象となる銘柄群、取引の時間帯がほぼ同じ連日の取引は、あるまとまった量の株式を小分けにして買う場合に行われることが多い。一度に購入して相場を大きく動かすのを避けるためだ。こうした取引手法をとるのは「公的な性格の資金」(外資系証券トレーダー)との見方が市場関係者の間で有力視されている。
具体的には、まず有力なのが国家公務員共済組合連合会や地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団年金積立金といった共済年金だ。彼らは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に運用方針を一元化している。かんぽ生命やゆうちょ銀行の可能性もあるが、「まだ日本株の組み入れ比率が十分に高くない年金が買っている」(ある大手運用会社の売買担当者)との推測があった。
7月2日に投開票の都議選は、内閣支持率が低下している自民党にとっては苦戦も予想されている。「現政権は自民党の追い風になるように株価を支えたいのではないか」(国内証券のストラテジスト)という深読みをする市場関係者もいる。
今回の都知事選が教えてくれたのは、人間的な魅力が無ければポピュリズムは成功しないということだ。
そして大衆の側も、”お金は大切だけど、それだけのために生きてるわけではない”ということを意識するきっかけになったように見える。
チョットやそっとでは動き出しそうになかった日本が動き出すかも?
動き出すキッカケは、都民ファーストの会と言う選択肢の提示だった。
敵の敵が、味方かどうかはこれから試される。