人口減の日本で「水」が危ない 水道事業が抱える構造的な問題とは
このことが示すものは何か。
「人口規模の小さい自治体ほど水道事業の経営が困難になる」ということである。
本書によると、給水人口が5万人を割ると、自治体は料金収入だけでは水道事業を維持できなくなり、一般会計からの負担金等で赤字を補填する傾向にあることがわかっているという
現在の日本では、人口5万人が市への昇格要件であるが、水道の性質を考えると狭い面積であることも水道事業の維持には必要な条件になるだろう。
水を得るためには、膨大な労力とそれなりの料金負担が必要なのだが、日本では水はタダというイメージがあるのは、現在のところ水が豊富で雨も降ってるからだろう。
一方で、本来タダではないことが当たり前だったのに、タダになる様相を呈するものが増えている。
そしてタダが増えると、そんな環境が当たり前で育つ世代のメンタル面への影響も出て来る。
現代の子どもは漫画も音楽も"タダ"が基本、お金を使うのは「応援」したいとき 博報堂生活総研「タダ・ネイティブのマーケティング」 2017.11.15
酒井崇匡上席研究員は、この20年で「人間関係」「消費」「情報」に関する質問の項目群の値が大きく変化したと指摘する。
「人間関係」については、「家出をしたいと思ったことがある」(38.8%)、「友達と絶交したことがある」(11.8%)など人間関係に関するネガティブな項目が過去最低となった。ある中1男子の母は「東日本大震災以降、より子どもの心配をするようになった」といい、親子関係が緊密化している。
『デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる』ということがルールの1番目に出てくるクリス・アンダーソンの下記の本が出たのは2009年で、既にフリーのソフトを利用することに馴染んでいたので内容に違和感は感じなかったが、その先があまりイメージできなかったことを覚えている。
ちなみにルールは10あり、2番目以降を上げると、
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう
この本が書かれた頃でも、ネット上で好きに自由に意見を発することはできていたが、当時はオピニオンリーダーはリアルな表舞台で活躍する人だった。
変化は緩やかだったのかもしれないが、そんなフリーの時代にふさわしい新しいオピニオンリーダーが出現してきた。
そんな人達は、インフルエンサーと呼ばれてる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/インフルエンサー
インフルエンサーはあくまで個人に過ぎず、その言動をスポンサーがコントロールするようなことができない。そのため、インフルエンサーの不適切な言動によって製品のイメージに傷がつくこともあり、マーケティング手法としては諸刃の剣になりうる。
インフルエンサーの影響は、当初趣味嗜好の分野で顕在化したが、現在では政治の世界にも浸透し始めている。
誰がインフルエンサーだったのか :vdata.nikkei.com
衆院選では一般の人であっても共感される文章や画像が伴えば、大統領や首相を上回るインフルエンサーになった。反響を呼んだツイートは、受け止め方に他の世代と違いもみえる10~20代を意識していた。爆発的に広まるかどうかはつぶやきの中身次第。ツイッターの空間では著名人も一般人も、同じ地平に立っているといえそうだ。
最近良く言われる政治のポピュリズムとは、政治がインフルエンサーに良くも悪くも影響を受けているということだろう。
トランプ大統領の誕生もポピュリズムの結果と捉えられてるが、むしろインフルエンサーが政治に大きな影響を与えた最初の出来事と捉えるほうが正解かもしれない。
そういう意味では、世界は新しい方向に進んでいる。
最近、一部で話題になった話がある。
知の巨人・内田樹氏 至極真っ当な提言! 安倍独裁制 本当の正体
2017年11月14日
今回も「積極的棄権」を呼びかけた知識人がいた。
事実、「立法府は機能していない」という印象操作に安倍内閣ほど熱心に取り組み、かつ成功した政権は過去にない。
この話には賛否両論あるが、
必読。まったく同感です。→衆院選:知の巨人・内田樹氏 至極真っ当な提言! 安倍独裁制 本当の正体 - 毎日新聞 https://t.co/AIn4U8WpwT
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2017年11月15日
小選挙区制が「複雑系」だという書き出しで笑う。選挙は100%決定論的な系で、得票と議席は1対1対応している。それを知らないのは、野党や内田某のような情報弱者だけ。 https://t.co/3OKXrrX5wV
— 池田信夫 (@ikedanob) 2017年11月14日
内田樹さんは、この話の中で日本全体が株式会社化していると言っているが、株式会社化するというのは、具体的に言うと「トップが決めたことに下が従い、後はマーケットの判断に任せる」という価値観で、内田樹さんはこれを政治に取り入れるのは良くないことだと言っている。
内田樹さんが株式会社化ということを言い出したのはたぶん2年前。
当然、その人は「あらゆる社会組織は株式会社のように制度化されねばならない」と心から信じる市民となるだろう。
そのような人が政治を見ると、「マーケット」は選挙だということになる。
Wikipediaのインフルエンサーには、上記で引用した文に続いてこう書いてある。
また、インフルエンサーとメーカーとの関係によってはステルスマーケティングとの線引きが難しいケースがあり、政府機関による規制の対象となりうる。
このように認識はされてるが、政治的な悪用とも相性は良いということを忘れてはいけない。
そういう目で、著名人や政治家や知識人の言動を見てると、皆がインフルエンサーになりたがっているように見える。
一連のオレオレ詐欺とは違う、巧妙な嘘の時代になっている。
全ては、FREE(無料)から始まる金儲けだ!