保釈時の変装が話題になったカルロス・ゴーンさん。
カルロスゴーン氏の変装を見たときの自分
— ナベネズミ (@nabenezumi129) March 6, 2019
あれ?ばいきちくんじゃね? pic.twitter.com/qHUSQ1fcTl
ウルトラマンや仮面ライダーなどのヒーローは、なぜ最後に出てくるのか?
そんな思いを、今回のカルロス・ゴーンさんの保釈決定に感じた人も多いのではないだろうか。
ゴーンさんにとっては、ヒーローのような活躍を見せてくれたのが弘中惇一郎弁護士だが、今回(3度目)の保釈請求と過去の保釈請求の内容の違いはどこにあるのだろうか?
その前に、弘中弁護士だけが脚光を浴びているが、少し補足が必要だろう。
ゴーン氏保釈の件、弘中弁護士ばっかり名前が報じられるから「あの高野隆弁護士もついてるんだってば!!」と声に出していいたくなるこの気持ちに名前をつけたい。いや弘中先生も素晴らしい先生なのですが、高野先生っていったら現役刑事弁護人にしてレジェンド、刑事弁護界の宮崎駿ですよ?
— 弁護士南川麻由子 (@lawyerMAYUZO) March 5, 2019
これまでに3回の保釈請求が行われていたが、過去2回は別の弁護人のもとで行われていた。
違いはどこにあったのか?
カルロス・ゴーン被告の保釈請求と主な保釈条件の棄却された前回と保釈が決まった今回の比較
— わたなべりんたろう (@RintaroWatanabe) March 6, 2019
異例の内容なのは2枚目画像の"カミソリ"の異名がある敏腕弁護士の弘中氏の昨日の一問一答を参照
/今日の日刊スポーツ最終面より pic.twitter.com/BE1jgoez3s
2枚目の写真は少しブレているが是非見て欲しいが、素人の私から見るとそんなに大きな違いがあるとは感じられない。
しかし、弘中弁護士の手腕を称え、前任の弁護士の無能ぶりを訴える声が世間には多いのが、私にとっては不思議でしょうがない。
保釈請求の内容が決め手だったとはとても思えない。
そこで、時系列で追いかけてみた。
弁護人が変更されたのは2月13日、十分な勝算があったのでしょう。
ゴーンさんを取り巻く環境はどんどん厳しくなってるような時期でした。
日本の国策捜査だと息巻いていたフランスからも見放される
— 栗林 (@araziokata1964) February 17, 2019
ルノーは13日、会長兼CEO職を退いたカルロス・ゴーン被告が退任に伴って受け取る予定だった3000万ユーロ(約38億円)相当の繰延給与や手当について支払わないことに決めたと明らかにした https://t.co/RBw3hDcFQP
弁護人が変わるまでは、ゴーンさんを支持する側にとっては国際問題化に活路を見出そうと動いていたが、フランス側の反応を見るとこれは失敗したのでしょう。
当初、一企業の問題だったゴーンさん逮捕は、カリスマ経営者の横暴という図式で捉えられていたが、勾留の長期化から“カリスマ経営者”の問題から“外国人経営者”の問題になり国際問題として扱われるようになりだしたが、このような“カリスマ”や“外国人”という切り取り方をすると大勢の心には響かなかったのだろうと思われる。
少し風向きが変わり出したのが2月20日。
仕掛けが動き始めたのか、それとも偶然だろうか?
NPO法人「監獄人権センター」(東京都)は20日、国際人権連盟と連名で声明を発表し、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被… https://t.co/rvgef8TISM
— AFPBB News (@afpbbcom) February 20, 2019
これはどういうことかと言うと、
【人質】NPOの監獄人権センターが、ゴーン被告の長期勾留について「取り調べ中に弁護人の援助を受ける権利の否定、起訴前の長期勾留、そして刑事施設における拘禁状況は日本の刑事司法制度を非常に長期にわたって特徴づけてきた深刻な問題」と国連人権機関に報告書を提出する。https://t.co/BFZ2t1DY32
— 金子勝 (@masaru_kaneko) February 25, 2019
ゴーンさんの問題は、ついに人権問題となってしまったのだ。
これは、大前提として勾留が長期間続いたということがあるが、金で全てが解決すると思っている世間にとって超お金持ちですらどうしようもないことがあると知って、一気に感情移入が進んだのだろう。
反応したのは、日本人ではなく外国人。
人権問題は、弱者を虐げるから問題となり、判官贔屓ということばを持つ日本人にとっても素通りしにくいテーマなはずなのに最近の日本人はこういう問題にあまり声を上げない。
しかし、弱い立場にある人を虐げるという行為に対しては誰しもが「明日は我が身」と感情移入するだろう。
ゴーン被告の妻子の弁護士らは4日、パリで記者会見を開き、同被告の日本での勾留について、非人間的な環境や家族と面会できないことに加え、弁護士の同席なしで頻繁に取り調べが行われるなど、国連の規範に反するものだと主張した。家族は恣意的拘禁作業部会に人権侵害を申し立てる。
ゴーン被告の家族の代理人を務めるフランソワ・ジムレ弁護士は「これは日本を訴えるものではなく、人権のための行動だ。家族は権利が認められることを願ってきた」と説明した。
【ゴーン被告家族、国連へ訴え 「基本的人権を侵害」】
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) March 4, 2019
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の家族の弁護士は、100日以上勾留されているゴーン被告の「基本的人権」が侵害されているとして、国連人権高等弁務官事務所に訴える意向を表明しました。(写真はAFP時事)https://t.co/9X1191tKQW pic.twitter.com/WSgSH1cYlC
「会見したジムレ弁護士によると、家族らは、自殺予防を名目にゴーン前会長が勾留先の東京拘置所で明かりをつけたまま眠らなければならないことや、自由が極端に制限されていることなどを挙げ、『厳しい環境下に長期間おかれることによって自白を強要される』と訴えている。」 https://t.co/nxxuDxPSbi
— 黒田法律事務所 弁護士黒田厚志 (@kurodalawoffice) March 5, 2019
人権問題になってしまうと、世間には見えづらいかもしれないが、政治問題や外交問題になってしまう。
重い腰が動くのはそういうタイミングだ。
弁護人の変更が2月13日だったのは、人権問題に発展させるために機が熟したと判断するためにそれだけの勾留期間が必要だったからだろう。
ところで、冒頭でヒーローはなぜ最後に現れるかと書いたが、弘中弁護士は別に正義の味方ではない。
弘中弁護士に関する誤解があるどちらにも立つ。
— 上野タケシ (@ueno_takeshi) March 5, 2019
程度いい正義じゃなくて、弁護士として優秀。https://t.co/M9ABDMcZXV
稼ぐ弁護士の代表格の弘中惇一郎弁護士、かつては医療訴訟の患者側代理人エキスパートとして知られた弁護士。その人が安部氏の代理人で患者側携わる人権派弁護士から裏切り者扱い。
そこにあるのは、『やられたらやり返す』の精神だろうが、むしろ知恵を使った『窮鼠猫を噛む』にも思えてくる。
長期間の勾留という事実があったからこそ人権問題化が可能だったことを考えると、仮にゴーンさんが勾留された直後に依頼されても弘中弁護士は引受けなかっただろう。
今後の展開が楽しみだ。