20世紀から21世紀にかけてグローバル化がいっそう加速したことで、ルールや法律や規則の国際共通化が図られるようになった。
国際取引をする企業は、国際基準を標準にするようになり、国際基準を標準採用した企業は、自社の取引企業にも国際基準を適用するように求めることが増えた。
こういう流れの結果、21世紀に入ると「コーポレートガバナンス」や「コンプライアンス」という概念が浸透し始めた。
ウィキペディアではコーポレート・ガバナンスを次のように説明している。
コーポレート・ガバナンス(英語:corporate governance)とは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組み。日本語では企業統治(きぎょうとうち)とも訳される。
また、企業コンプライアンスを次のように説明している。
企業コンプライアンス(きぎょうコンプライアンス、英語: regulatory compliance)とは、コーポレートガバナンスの基本原理の一つで、一般に企業の「法令遵守」または「倫理法令遵守」を意味する概念。ビジネスコンプライアンスという場合もある。
要は、表面上のルールが厳格化されたのだ。
その結果何が起きたかというと、企業やビジネスの「クリーン度ロンダリング」が起きているのだ。
以下は、わたしの独断と偏見に満ち溢れた妄想だ。
コンプライアンスを設定しアピールすることで、クリーン度が高いキレイなビジネスをやってますと装うことができるのだ。
その手段として、「〇〇ホールディングス」という名称の持株会社が活用されている。
「〇〇ホールディングス」の下にはたくさんの現場を担う企業群がくっ付いているが、〇〇ホールディングスには現場は関係ない。
現場には関係しなくても、支配的な地位だけは持っている。
今は庶民の行動のように言われる「マウンティング」だが、「コーポレートガバナンス」や「コンプライアンス」や「〇〇ホールディングス」が広まる過程で、これらを採用している経営陣が社員にマウンティングし始めたのだ。
これは、昔の部活のシゴキに似ていて、されて嫌な思いをした人がその後後輩に同じことを繰り返すのに似て、マウンティングされて嫌な思いをした人は、新たなマウンティングできる相手を探し出すのだ。
この動きとSNSはリンクしていて、当初リア充と呼ばれていたことから始まり、自慢合戦という無限マウンティング合戦が広まっていった。
表面的にクリーンでキレイな振る舞いを規定した仕組みが、人間の持つ下品さを煽り始めたのだ。
最近話題になってる芸能人の闇営業とセットで出てくる反社会勢力だが、こういう組織も表面的にはコンプライアンスを掲げていたり、コンプライアンスを掲げている企業が反社会勢力と取引するのが現代だ。
アウトロー文庫でヤクザネタを散々扱っている会社の人がものすごい綺麗事を言っていて大草原なんですけど。https://t.co/eAnN8WhRBM
— 三崎尚人 (@nmisaki) June 24, 2019
キレイなことを望み、汚いものを排除しようとあの手この手を尽くしても、汚いものは下品なものに姿を変えることで生き残るようだ。
臭いのは不潔で嫌なので、それを香りでごまかそうとしたら、その香りが我慢できないほど不快というのが『香害』なんて言われてるが、コンプライアンスの周りに反社会勢力がウロチョロしてるのによく似ている。
どうやら下品なことは、人を魅了し、伝染力も強いらしい。
悩ましいのは、下品を避けることが良いことなのか?、それとも下品を味方につける方が賢いのか?、だ。
人間は、多くの人が表面的にはキレイでいたいと願う人が多いが、実際にはそんなにキレイな生き方はできてないだろう、諺にもあるように『水清ければ魚棲まず』と言うように。
キレイを装うほど生き辛くなるかもしれない。
汚さを下品さに変えることで、取れるバランスというものがあるのかもしれない。
下品は、研究する価値があるかもしれない。