スマートフォンをはじめとするデジタルデバイスは、それを使って何ができるかという意味では、まだまだ大きな可能性を秘めてるかもしれないが、デバイスを販売する事業としては頭打ちに近づいていると多くの人達が感じているはずだ。
モデルチェンジのたびに上がるスペックにワクワクしていた気持ちも、トレードオフの価格の高騰と天秤にかけると、もはやワクワクするよりも、これ以上は必要ないかもと感じさせるようになっている。
つまりスマホやデジタルデバイスの市場は、新しいモデルを出せば売れるという局面は終わって、次の段階にシフトしているのだ。
日本に限って言えば、ガラケー利用者をスマホ市場に呼び込むことでの市場拡大は狙えるが、ガラケー利用者のコスト意識の高さを考えると、その市場は宝の山ではないはずだ。
こんなデジタル市場では、ハードウェアを作って売る、あるいは仕入れて売るという、モノ売りをしてる人たちにとっては、終焉の時を迎えていて、次を模索しなければいけないタイミングに差し掛かっている。
そんな事情が、最近一気に顕在化し始めたように感じられるので、備忘録的に整理してみた。
HTCが携帯事業から完全撤退か スマホコミュニティを閉鎖 2020年2月13日
携帯電話「Blackberry」が8月に販売を終了すると発表して間もなく、台湾のスマートフォン大手企業だったHTCがVIPスマホコミュニティを閉鎖した。
この記事の最後は次のように締め括られている。
この数年で同社の事業の中心はVRに移ったが、VRブームは思ったようには到来していない。HTCの進むべき道はどこにあるだろうか。
そして、ほぼ同じタイミングで次のような記事も出た。
ソフトバンク、携帯ショップ強制閉店の非情 ルール運用が「優越的地位の濫用」との指摘も
このやり取りの中で、ソフトバンクの担当部長は「B以下のオーナーが全体の約6割」とも話している。
「ソフトバンクは今後1年以内に販売店の整理・再編にメドをつけようとしているようだ」
同業他社のNTTドコモやKDDIもこれまで販売店の整理・再編を推し進めてきた。それは、「ドコモは20年、KDDIは10年がかりの取り組みだ」(北氏)。
ちょっと余談だが、そんなソフトバンクは、プロ野球のソフトバンクホークスを所有してるが、そのフランチャイズ球場の名前がまもなく変わる。
そう!
— はねみんと⊿ (@hane_2_minto) 2020年2月8日
ヤフオクドームは
2/29に改名するんでしたね
今日見上げて
思い出しました
慣れ親しんだ名前が
無くなると!
新しい名前
「福岡PayPayドーム」
宜しくね(^^) pic.twitter.com/t8MOqifhiY
ソフトバンクは、携帯事業からキャッシュレスの決済事業に気持ちが移ってるんだろうなと思えてくる。
このような携帯電話事業の先行きに不安を感じさせる動きが出てる背景には、今年スタートする予定の5Gの見通しが今ひとつだという噂が関係してるような気がする。
携帯キャリア各社は総務省に3月に5Gを開始するという計画書を提出してるが、キャリア各社とも本音ではやりたくないと考えてるらしいのだ。
理由は様々あるが、行き着く先は料金体系で、上手く設定できないらしいのだ。
5Gに関しては、高速で大容量の通信が売りだから、容量制限なしの設定一択しか世間の納得を得られないのだが、だからと言って料金が高くなったら売れなくなる。
おまけに、5Gが基地局の都合で使えない場合は4Gや3Gで代替せざるを得なくなるが、既存の4Gや3Gの契約者の容量制限された契約との整合を図ることが非常に困難らしいのだ。
そして、上手く調整できたとしてもキャリア各社にとっては増収よりも減収に作用するのでやりたくないという本音があるらしい。
2018年8月に菅官房長官が『携帯料金は4割下がる余地がある』と発言して以来、表面的には安くなったような見せかけの料金体系でお茶を濁していたキャリア各社が、いよいよ追い込まれていると考えれば、今年の携帯各社が今後どのような料金体系を出してくるかは見ものだろう。
逆に言うと、『これは良い』と思える料金体系が出てこない場合は5Gは日本では頓挫し、新しい5G対応の新機種も魅力的には感じられなくなるのだろう。