違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

所与性に翻弄される日本の未来!

昨日大騒ぎになっていたダイヤモンドプリンセスの船内環境を告発する神戸大の岩田教授の動画が削除された。

 

 

この話と直接リンクする話ではないが、2日前の国会で書面で答えていた内容に対して昨日から沈黙を通し始めたANAホテルの件が重なって見えるのはわたしだけではないだろう。

 

 

世間では、どちらが正しいのかを巡ってのポジショントークが炸裂しているが、少し俯瞰で見てみたい。

 

 

グローバルな視点で日本や日本人を見ると、変化を嫌がる国民性や気質が感じられる。

 

そんな気質に大きく関係してるのが『所与・所与性』だ。

 

所与・所与性とは、別の表現をすると既得権や既得権益と言える。

 

これまで続いてきたもの、今まであったものを、これからも守りたいという価値観。

 

わたしが『所与・所与性』を知って、意識するようになったのは、作家の鴻上尚史さんのメディア上での相談に対する回答を読んでからだ。

 

その時の相談と回答が以下のリンク。

 

鬱の妹を隠そうとする田舎の家族… 鴻上尚史が訴える30年後の悲劇

「同調圧力の強さと自尊意識の低さ」は、日本の宿痾(しゅくあ)だと書きました。同調圧力の最も強いもののひとつが「世間」です。

 

 

世間というのは、「所与性(しょよせい)」というものを一番大切にします。

 

 

 

所与・所与性に起因して人が悩むことに対して鴻上尚史さんは感情がグッとこもるように感じられる。

 

その後も鴻上尚史さんにとっては、悩みの根底に所与性が関係してることに対して親身に熱く答えている。

 

「日本の校則はなぜ厳しいのか」19歳の問いに鴻上尚史が明かした高校時代の闘争

生徒指導の先生は、「大人が平気で嘘をつくから、若者も嘘をつくようになったのかねえ」と僕をじっと見ました。

 

 

なぜ、学校の先生達は、「かたくなな校則への執着」を続けるのでしょうか?

 

僕の考えは、学校というのは、日本に数少なく残っている強力な「世間」だから、ということです。

 

 

 

 

所与性にこだわることは、変化を嫌がること。

 

これが日本や日本人の特性だとすると、イノベーションを生み出せないのは当然だ。

 

 

冒頭で紹介した二つの出来事は、表面的には権力の暴走を予感させるが、その暴走の背景というか動機に『所与・所与性』が強く関係してるように思える。

 

噂では、今回のコロナウイルスの蔓延を憲法改正の起爆剤にしようとしてるらしい。

 

安倍政権内部で新型肺炎は“神風邪” 憲法改正に利用の動きも

自民党の憲法改正案には大規模災害やテロ対応などで私権を制限して政府に強い権限を与える「緊急事態条項の新設」が盛り込まれている。

伊吹文明・元衆院議長が会合で、「(新型肺炎は)緊急事態の一つの例。憲法改正の大きな実験台と考えたほうがいいかもしれない」と発言すると、下村博文・前自民党憲法改正推進本部長も、「(新型肺炎拡大を)議論のきっかけにすべきではないか」とぶち上げた。

 

憲法改正を望む人々のメンタリティに潜んでいるのがやはり『所与・所与性』へのこだわりだと言われている。

 

現在の憲法は日本独自のものではなく、敗戦で押し付けられたものだと思っているのだ。

 

そう思ってる人々には、現在は所与が分断されてる状態なのだろう。

 

所与にこだわる人々は、未来ではなくいつも過去を見ていて、そして縛られるのだ。

 

 

憲法改正を望む人々が日常接してる世間と、現在の憲法を素晴らしいと思ってる人々が日常接してる世間は、全く違っているのだ。

 

 

こんな日本の所与性にこだわる姿を映画で描こうとするとどのようになるのだろうか?

 

映画やドラマの脚本に取り組んでいる人ならば聞いたことがあるであろうことが、フランス人のジョルジュ・ポルティの『物語の36曲面』。

 

ジョルジュ・ポルティの『物語の36曲面』は、劇作家ウィリアム・シェイクスピアが分類したとされる36の物語のパターンを体系化したもので、次のようになっている。

 

1  哀願・嘆願

2  救助・救済

3  復讐・復讐に追われる罪

4  近親間の復讐

5  逃走(追跡)

6  苦難・災難

7  残酷な又は不幸な渦に巻き込まれる場合

8  反抗(謀反)

9  戦い(不適な争い、大胆な企図)

10 誘拐

11 不審な人物または問題(謎)

12 目的への努力(獲得)

13 近親間の憎悪

14 近親間の争い

15 姦通から生ずる残虐

16 精神錯乱

17 運命的な手ぬかり(浅慮)

18 知らずに犯す愛欲の罪

19 知らずに犯す近親者の殺傷

20 理想のための自己犠牲

21 近親者のための自己犠牲

22 情熱のための犠牲

23 愛する者を犠牲にする場合

24 三角関係

25 姦通

26 不倫な恋愛関係

27 愛する者の不名誉の発見

28 愛人との間に横たわる障害

29 敵を愛する場合

30 大望(野心)

31 神に背く争い

32 誤った嫉妬

33 誤った判断

34 悔恨

35 失われた者の探索と発見

36 愛する者の消失

 

 

今後展開されるであろう物語は、このパターンのどれかに該当するのだ。(一つとは限らない)

 

所与性にこだわる人々が主人公の映画にするか、それとも所与性をぶち壊そうとする人々を主人公にするかで、脚本は全く違ったものになる。

 

 

未来の子孫はその脚本がどのようなものだったかは教科書で知るのだろうが、現代人には全く分かっていない。