怒りや不満は、人に極端な行動を取らせるような気がする。
極端な行動の多くは、執着や粘着を生みやすい。
この特性が悪用されるのが意図的な炎上で、集客のために心に潜む執着や粘着を呼び起こすような呼びかけ(広告宣伝であり、記事として、あるいはSNSで)が発信される。
ある本が紹介されていた。
ネット炎上の驚くべき実態――『正義をふりかざす「極端な人」の正体』
私が2014年と2016年に実施した2万人と4万人のデータを使った実証研究は、ネット炎上の驚くべき実態を示した。
なんと、過去1年間でネット炎上に書き込みをしている人は、ネットユーザ全体の約0.5%しかいなかったのである。さらにこれを炎上1件当たりに換算すると、0.0015%だった。0.0015%という数字はほとんど見たことがないと思うが、これは大体約7万人に一人くらいの割合だ。
しかも、書き込んでいるのがごく少数というだけでない。実は、そのごく少数の中のさらにごくごく一部の「超極端な人」が、ネット上の攻撃的な投稿の大部分を占めているという事実もある。
発信者はごく一部だとしても、それに同調したり、望んでないのに振り回されて影響を受ける人まで含めると、決して一部の人がとは言えないくらいの人たちが極端なものに刺激された怒りや不満や不安の影響を受けている。
この本を読んだ方は、『怒り』には拡散力があるのに『楽しい』は弱いと指摘していた。
炎上について考察した山口真一氏『正義を振りかざす「極端な人」の正体』読了。SNS上では「怒り」を伴う投稿が最も拡散しやすく、次が「楽しい」。でも拡散力では怒りが格段に楽しいを上回るとのこと。たしかに「怒りの連鎖」って言葉はあるけど、楽しさの連鎖ってほとんど言わない。なんか残念。
— 阪上大葉(編集者) (@hanjouteiooba) 2020年9月26日
怒りっぽい人のことを瞬間湯沸かし器と呼ぶように、怒りは瞬間的な反応だからだろうが、その結果思慮に欠ける反応になりがちだ。
栃木県で県民が寄贈した高額なパトカーに対して、『税金の無駄遣い』や『(県民と思しき方が)わたしは寄贈を認めてないぞ』と反応していた。
【話題】『たった2行の短文見出しすら読めない人達多すぎて絶望してる…』 https://t.co/nItnsQjAc8
— Share News Japan (@sharenewsjapan1) 2020年9月19日
日常に、怒りや不満や不安が溢れているからだろうか、バカな反応の中には裏を読み過ぎたりして、ありもしない裏を勝手に感じ取って反応することもあるだろう。
おれおれ詐欺の流行あたりがキッカケだろうが、信じたら負けということが増えている。
しかし、信じられるものが欲しいという欲求も根強い。
この矛盾の中で、多くの人が怒りや不満や不安で武装するようになったのかもしれない。
矛盾にもさまざまあるが、怒りや不満や不安の背後に見える矛盾には要注意だ。
人がバカな行動を取るときには、その種の矛盾が元凶としてあるかもしれない。