11月にはアメリカの新大統領が決まることになる。
そのことできっと世界の動きが変わるだろう、しかし新大統領が就任するのは2021年なので世界が変わるのは2021年からとなるのだろう。
では2020年とはどういう年だったのかというとコロナを抜きには語れないはずだ。
以下は世界に目を向けた話ではなく日本国内に限った話。
大きな変化をもたらし社会生活を変えたコロナだが、戦争や3.11東日本大震災のように目の前であっという間もなく人の命が奪われるような光景をもたらしたわけではなかった。
もたらしたのは、もっと静かだが力強い変化だった。
人間の段階的に変化する欲求を5段階に説明した有名なマズローの説が、コロナで逆行してるという話がある。
最初にマズローの欲求5段階をわかりやすく示していたサイトの図を紹介したい。
画像の引用は下記サイトから
災害が起きるたびに食料や物資の買い占めは起きていたが、それは生理的欲求が脅かされてると感じたからこその行動だろう、同じことがコロナでも起きていた。
しかし少し従来と違うのは、店頭から消えた商品は転売市場に流れ、定価より大幅に高い価格で売られ、それが実際に売れていたようなのだ。
この動きを冷めた目で見ると、映画やドラマで見た終戦後の闇市と同じ構図だと気付く。
闇市で相場より高い価格で商品を買う心理は、生理的欲求と言えそうだが、おもしろいのは売ってる側の心理はおそらく最上位の自己実現欲求なのだろうという点だ。
しかし、使いっ走りで関わってる人はやはり生理的欲求なのだろう。
転売で自己実現を図るというのは小さい話に思えるが、心理的にはチャンスを掴んで活き活きとした状態だと感じられるし、良くも悪くも若さがありそうだ。
コロナの前から筋トレが流行っていたし、筋トレの効果を最大化するためにプロテインを始めとしタンパク質の摂取を意識する人が増えていた、この心理は自分の理想の体を得るという自己実現欲求だと思われていたが、コロナがその様相を少し変えさせたようだ。
外出自粛による体力低下を補うための筋トレという趣が出始めたのだ。
これは自己実現のために筋トレをしていた人たちにも当てはまるのだ。
そんな動きは検索にも反映されていた。
コロナ禍の5月はかつてないほど筋トレとタンパク質への関心が上がっていたのだ。
これは欲求5段階の安全の欲求が健康意識を刺激したのだろう。
その一方で筋トレをする場としてのジムへの関心はコロナで下がっているし、ジムの経営が苦しいという話も耳にする。
コロナ前から筋トレに勤しんでた方の一部も、やってることは同じでも意識が自己実現欲求から健康を意識した安全欲求に変化した人が珍しくないかもしれない。
仕事のあり方としてリモートワークが浸透した背景には通信ネットワークやIT技術やデバイスという観点で捉えられることが多いが、実際にはオンライン会議やオンライン飲み会などコミュニケーションがテーマになるという意味では社会的欲求の話題なのだ。
欲求5段階の上位二つに意識が向うことが多かったコロナ前に対して、コロナ後は下位三つの欲求の方が深刻の度を増しているのは明らかだ。
下の三つが不安定だと、上に何を積み上げても砂上の楼閣にしかならないとコロナに思い知らされたのが2020年と言えるのかもしれない。