野球界の話題は、大谷翔平選手の活躍が独占した2021年だったように感じる。
わたしにとってはフルスイングの魅力はソフトバンクホークスの柳田悠岐選手が一番だと思っていたが、今年の柳田選手はスイング自体が冴えない。
そして、全盛期の柳田選手と比較しても今年の大谷選手のスイングは力強さ以上に柔らかくしなやかな優美さも備えていて、一歩も二歩も上を行ってるように感じられた。
柳田選手は32歳で、伝え聞く私生活や食生活が乱れてるようには感じないので、体力の衰えにはまだ早過ぎるような気がする。
そこで柳田選手のスイングの冴えなさを考えていて、50歳まで現役を目指すと言っていたイチローさんが45歳で引退を余儀なくされたこととつながった。
この時のイチローさんも体力に起因して衰えたとは誰からも思われてなかった。
現役時代後半、自身も目の衰えに悩まされた評論家の広澤克実氏が語る。
「目が衰えると、焦点が合う時間が遅れる。大谷の160キロの速球なら0.1秒で約4メートルボールが動く。目の衰えにより、そのわずかな時間に対応が遅れてしまう。走塁や捕球は大丈夫でも、打つことには支障が出てくる」
イチローさんを始め大活躍する選手には、視力はさほど良くないという噂がよく出る。
真偽の程には諸説あるが、視力が思われてるほど良くないことは珍しくなさそうだ。
その代わり、動体視力は抜群に良いということは活躍のための必須条件になるようだ。
具体的に視力と動体視力の違いに興味ある方はググって欲しいが、以下にイメージしやすそうなツイートを紹介したい。
夜中や朝方暗い時に猫に遊べと襲われた経験はありませんか?猫は夜行性なので暗闇でも物を見るのが得意です。人間が必要とする照明のわずか1/6の明るさで見えます。視力はそれほど良くなく、人間の10分の1程度ですが動体視力は非常に優れており、0.4センチ/秒といったわずかな動きさえも感知できます。
— 藤井動物病院FVMC(WBC動物病院グループ) (@FujiiACC) 2021年10月2日
ごく普通の人間の場合として次のような話もあり、わたしは自分に当てはめて大いに共感できた。
視野の端に何かがいる・動く感覚は歳をとるほど増えてきたので、そのうち実体化するんじゃないか
— 平倉圭 (@hirakurakei) 2021年10月2日
このツイートに対する反応として次のツイートがあった。
これ本当にそうで、動体視力が弱って、脳の補完が先走るようになるんだなと思う。この「細かいジャッジの先走り」が、あらゆる判断場面で現れてくるんだろな。
— gnck (@gnck) 2021年10月2日
ここに書かれてる『細かいジャッジの先走り』が的を射てれば、読みや勘が鋭いという評価になるのだろうが、そうでなければ周りの人からは判断力や認知力が落ちたと見えるはず。
つまり、動体視力だけが良くてもしょうがないのだ、見えたものをどのように判断し処理するかが重要になる。
結局、動体視力が悪くなることは致命的な弱点につながりやすくなるので身も蓋もないのだが。
いつの頃からか、メガネ屋さんが補聴器もラインナップし積極的に営業するようになったということは、視力の低下と聴力の低下に類似点や共通点があるのかもしれない。
加齢によるだけでなく、イヤホンの長時間装着での難聴も増えてるし。
見たり聞いたりを入り口にして情報を判断するのだが、情報が世間に増えれば増えるほど、それを受容するインターフェースとしての人間の感覚器官はますます劣化してるかもしれないのだ。
見えて当たり前、聞こえて当たり前が高望みの時代になっている。
大事なものは大切にしたいものだ。