初動負荷理論というあまり一般的ではない方法でトレーニングをしていたイチローさんが引退して半年。
身のこなしには体力や気力の衰えを感じさせないイチローさんだったが、引退前の5年間は成績だけ見ると下り坂に入っていたことがわかる。
そんなイチローさんには、視力が弱いという噂が以前からあったが、「視力は良くないんだよねー」と言いながら明かした視力は実際には右1.0左1.2(2013年)程度はあったらしい。
そんなイチローさんはメジャーに来て医者の指示で2回コンタクトレンズを付けて試合に臨んだことがある。
しかし、細かい字は良く見えるようになったが野球には役に立たなかったようで、「目を使おうとすると体が緊張する」といっている。
この話はイチローさんが、メジャーに移籍した際に体力で負けないように筋トレを取り入れたら、確かにパワーは付いたがトータルで発揮するパフォーマンスは落ちたことがキッカケで、筋トレ否定派になったことと共通してる気がする
しかし、成績が下降気味になり始めた頃から動体視力の低下を指摘する専門家が増えていた。
動くものを捉える視力が動体視力だが、専門家の間にも様々な意見があるようで動体視力を簡単に説明することはできないが、イチローが取り入れてたトレーニング方法を紹介すると。
イチロー選手はバッティングの練習をするときに、頭上からボールを落としてもらい、赤のボールだったら打たない、白いボールだったら打つといったトレーニングをしていたそうです。
野球を始めとする動くボールを相手にする競技では、名選手の条件として動体視力の良さがあげられることが多いが、動体視力が良いだけでは発揮するパフォーマンスが必ずしも高いわけではない。
動くボールを相手にする競技では、ボールの動きを予測する能力とそれに対処する能力が要求され、そんな能力の競い合いが行われている。
予測という言い方をすると曖昧な感じがするが、この予測を説明するのに便利なことばが動体視力。
動体視力の良さとはこういうところでも発揮されるんだと教えられた出来事があった。
吉田沙保里さんの相撲解説に「さすが霊長類最強…」の声 高安がひじを痛める場面を瞬時に見抜く 2019年7月15日
すぐにスロー映像が再生され、玉鷲の右手が高安の左手にかぶさるようになる場面が流れると、吉田さんは「ここでちょっと肘が入ったのかな。あ、これですね。入ってますね」ときっぱり。
広いスタジアムで速い動きをするボールを巡ってだけでなく、狭いリングの上で対面で行う格闘技にも動体視力は重要だと言える。
動体視力が良いという言われ方は、見えたものに対するトータルの判断力まで問われるので、結果が問われる。
見えない人には全く見えないものを見るために必要な能力が動体視力なのに対し、日常生活の中で、分からない人には全く分からないことを見抜くために必要な能力が洞察力。
両方に共通してるのは、見てるだけでは見えないこと。
イチローさんには名言が多いが「努力は報われますか?」との質問にこう返している。
「報われるとは限らないですね。もっといえば、努力と感じている状態は、まずいでしょうね。その先に行けば、きっと人には努力に見える。でも、本人にとってはそうじゃない…という状態が作れれば、それは勝手に報われることがある…ということだと思います。」
このことばを生み出したのは動体視力や洞察力の為せる業なのだろう。