違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

それは張られた伏線かも

大谷翔平さんが日本に帰国し、記者会見が開かれた。

 

部分を切り取って伝えられることが多いのが記者会見だが、以下の記事には質問及びその回答が書かれている。

 

【会見全文】大谷翔平選手「落ち込むことも含めいい1年だった」“完全復活”のシーズン振り返る 11/15(月)

 

 

いろいろな質問に、誰かに忖度したり媚びるような様子は全く感じられない。

 

活躍は、努力や頑張りや運の全てが関係した結果だろうが、このやり取りが一番印象に残っている。

 

その部分は太字にしてみた。

 

Q. 栗山監督の下にいて、何が変わったのか?、また北海道で応援している皆さんにメッセージを。

 

 大谷翔平選手:

 栗山さんには感謝しかないですし、あの時、日本ハムに入っていなければ、こういう形で、ここにはいないと思いますので、少しさみしい気持ちはありますけど、長年頑張ってこられた方なので、今後どうするかはわからないですけども、少しゆっくり、リラックスした時間を過ごしてほしいなと個人的には思っていますし、その分、僕が頑張っていけたらと思っています。 北海道のファンの方に対しては、あれ以来、北海道には行けていないので、なかなか直接っていうわけにはいってないですけど、テレビを通じて、応援してくれたらうれしいですし、ファイターズで過ごした5年間というものも忘れずに、今後頑張っていけたらと思います。

 

プロではセオリー無視ともいえる打者と投手をこなす二刀流は、栗山監督が許容したからこそ可能になったのだ。

 

 

似たような話をイチローも言っていたなと思い出した。

 

記事を検索したらあった。

 

仰木監督の訃報に接してのイチローのことば。

 

【イチローが語る仰木監督=中】 

「監督としての技量を僕に聞くなら、とにかく、この上司のために働きたいと思わせる能力。それが誰よりも長(た)けていた」

 

監督就任1年目の94年4月28日、福岡ドームでのダイエー(現ソフトバンク)戦。0-3で敗れた試合でイチローは1安打を放った。敗戦後の宿舎へ帰る車中の空気は重い。しかし、バスを降りる際に掛けられた言葉にイチローの心は鷲掴(づか)みされた。

「イチロー、お前、なにをそんなに暗い顔してるんだ?試合の勝ち負けは俺に任せとけ。お前、二塁打1本打ったじゃないか。それでいいんだ。お前は自分のことだけ考えてやれ」

仰木の口調をまねながらイチローが20年前のシーンを再現する。

 

「その瞬間から自分のためではなく、この人のためにやりたい、と思った。普通なら『チームのことだけ考えろ』ってなりがちだけど、『自分のことだけ考えてやれ』って。仰天しましたね」

 

しかし、仰木はそのメッセージを選手全員に伝えたわけではなかった。

 

実力があって努力があってその上で運も掴む、それらが成功の秘訣であることは誰でも分かるが、それだけでは何かが足りないような気がしていたが、大谷翔平さんの場合もイチローさんの場合もプロに入っての最初の監督が誰だったかが張られた伏線になっているのだ。

 

 

 

「監督がダメだっておっしゃってたら、僕、行ってなかったですよ」

そうイチローが振り返るのは、01年のメジャー移籍だ。

 

「“ダメ元”だったんですよ、実は。ダメって言われると思ってたら『おう、行って来いよ』って。まさかの一言でしたね。『あざーっす』って(笑)」

【イチローが語る仰木監督 下】

 

 

 

栗山監督や仰木監督とのコミュニケーションをウザいと感じたり、おせっかいだと思っていたなら、大谷翔平さんやイチローさんの活躍はなかったかもしれないのだ。

 

もっと重要なことは、この二人は、監督の存在が自分に張られた伏線であることをしっかり自覚できていた、と言うことだ。

 

張られた伏線に気付くことができ、そのことをはっきり自覚できることが運の良さなのかもしれないと思えてくる。

 

スティーブ・ジョブズが言う『点と点はつながるが、つなげようとしてもつながらない』も、自分に張られた伏線に気付けという話だと思うと納得できる。

 

 

 

人生に伏線が張られることは誰の人生にだってあるし、それは一つや二つではないかもしれない、さらに言うと、良いこととは限らないのだ。

 

落とし穴のような伏線もあるのだから。

 

しかし、良いことも悪いことも大半の場合は、それが伏線だったことにも気付かず終わっているのかもしれない。

 

伏線を、物語やドラマで描かれるようなものだと思い込むと、なんの意味もないことに過剰に執着したり依存することすら少なくはないだろう。

 

良い伏線に気付ければもっと良いことが起き、悪い伏線に気付ければ悪い事態は回避できるのだ。

 

 

張られた伏線を意識しよう!