マウロ・ギレン著の『2030』のイントロダクションに次のような文がある。
〜〜以下引用〜〜
役に立つのは、新たな時代へと向かう変化を、ゆっくりと進行するプロセスだと捉えることだ。
一つひとつの小さな変化が私たちをパラダイムシフトへと近づけ、ある日とつぜん、何もかも大きく変えてしまう。
つい忘れがちだが、小さな変化は積み重なる。
変化を、ゆっくりと容器を満たしていく一滴の水だと考えよう。
〜〜引用ここまで〜〜
『10年後』というテーマで何かを語ろうとすると、今だと無意識に2032年を考えようとする。
きっちりと2032年である必要はない、ざっくりとその頃だ。
変化は想定内なのか、果たして想定外は起きるのか、などなど。
答え合わせは10年後にできるのだが、果たして答え合わせをするだろうか?、と思った。
2012年に想像した10年後とはどんなものだったのか?
今だったら答え合わせができるはずだが、そんな話は聞いたことがない。
まあ、冷静に考えれば大して意味があるとは思えないからだろうと分かるが、知っておくことに損は無いような気もする。
Googleで期間を2012年1月1日から2012年12月31日に設定して『10年後』というキーワードで検索した結果、面白いかもと思った内容を紹介したい。
2012年11月のAmazonのユーザーカンファレンスに登壇したジェフ・べゾスが、よく聞かれる質問のひとつが、「10年後には何がどう変わっているか」というものだが、
「10年経っても変わらないもののほうに僕は興味がある。質問としてはそっちのほうがすぐれている」
、と答えている。
そんな10年後も変わらないものとして顧客の要望を上げ、
「価格、スピード、品揃えは最も重要なストラテジ」
としている。
また、このカンファレンスではバイスプレジデントが、
オラクル、IBM、HPなどプライベートクラウドを展開する競合他社を
「高マージンビジネスで儲けるクラウドウォッシャーズ(Cloud Washers)」
と批判し、
さらに、
「高マージンビジネスでは顧客志向は貫くのは無理。なぜならスケールしないから。顧客に寄り添うならマージンは低く。僕はときどき、自分がマージンビジネスに手を染めようとしている夢を見る。そしてギリギリのところで目覚めて、"ああ、よかった"と思う(笑)」
とも答えている。
これが10年前のAmazonだ。
それから10年後のAmazonは、顧客との関係性は揺らいでないように感じられるが、Amazonの倉庫や現場で働く労働力に大きな不安を抱えてることが伝えられる。
そのために自動化、ロボット化を進めているようだが、投資効果としては高くなさそうなのは、人手を必要とする作業が無くならないかららしい。
日本の10年前はまだ東日本大震災の生々しさが強い時期で、何かと復興がキーワードであり合言葉だったし、東京オリンピックもまだ決定されてなかった(東京オリンピックの決定は2013年9月)。
皆が確実に10歳歳を取ったことだけは間違いないが、それに対する印象は人それぞれだろう。
個人的には大していい目にあってないように感じるが、言いたいことが言えてるし、2015年に1ヶ月入院する目にはなったが、その後満足いく回復ができ、現在は身体にも大きな不調はないというよりもむしろ調子が良いが、他人に威張れるようなものは一切ない。
放っておくと無秩序や乱雑さに向かうことを物理の世界ではエントロピーが増大すると法則化されている。
変化が起きるにはエネルギーを必要とし、起きた変化はエネルギーは高いが不安定で、そのままにしておけば無秩序や乱雑さに向かい、最後は低エネルギーの状態で安定するという一方通行で、逆向きには変化できない。
10年後がどうなるかという答え合わせの結果はともかく、その答えに影響するのは注がれたエネルギーであり、自ら注いだエネルギーだ。
生きるということは、量はともかくエネルギーを放出することなのだ。
どこにどのくらいのエネルギーが注ぎ込まれたかで世間も個人も変化していくのだ、分からないのはどこに向かうかだけだ。