2023年のWBCの盛り上がりは個々の選手の発揮するパフォーマンスやキャラクターに負うところも大きいが、大谷翔平(あえて敬称略)がいなければここまで盛り上がることはなかったはず。
大谷翔平は、ヒーローを演じる俳優とは違い、まさにヒーローそのもので、何気ない日常の一コマもヒーローなのだ。
そこで気になったのが、大谷翔平はかなり以前から将来を嘱望される有名選手だったが、決してヒーローではなかったはずという点。
いつ頃からヒーローになったのだろうかと探ってみたくなった。
プロ野球のドラフトで指名されたのが2012年でプロ選手になったのは2013年から、それ以前は高校生だ。
GoogleTrendsで期間を2010年1月1日以降での推移を見ると、
グラフに動きが現れるのは高校3年の夏から。
グラフの推移を見る限り日本でのプロ野球選手としてはそんなに華々しくなかったことが感じられる。
最初にグラフに大きな山ができたのは2018年4月。
2017年12月にメジャーと契約し2018年3月末から4月上旬に立て続けにホームランを打ちそこで大きな話題になったが、その後の推移を見ると沈静化し、注目はされるがまだまだヒーローを感じることはない。
Wikipediaを見ると、体調が万全とは言えない時期もそれなりにあったようで、決して順風満帆ではなかったのだ。
転機となるのは2020年に二刀流(投手と打者で登録する)が認められたこと。
このことで、投手として故障者リストに入っても打者として出場可能になった。
そして二刀流が開花したのが2021年。
9月にはタイム誌が「世界で最も影響力がある100人」で野球界から唯一選んだのが大谷翔平だった。
2021年シーズンは故障と無縁だったことも大きいだろう。
なんとなくヒーローの要素が見えてくる。
生い立ちに起因する努力や頑張りはわざわざ取り上げる必要はないくらいだが、本当はこれ無くしてはあり得ないとも言える。
自分の本業やフィールドで活躍が認められ、さらに本業やフィールドを超えて影響力や人間性が評価され、さらに健康でタフ、これらの両立がヒーローの要素では。
2022年も2021年の活躍を裏切ることのない活躍を見せ、ヒーローイメージを色褪せさせることなく過ごせている。
こうして、日本の大谷翔平はアメリカの大谷翔平であり世界の大谷翔平になったのだ。
そして2023年。
WBCで日本の代表選手として出場。
日本の大谷翔平ではなくなったタイミングで、アイデンティティは日本だと見せてくれてるような点もさらにプラスの評価になっているような気がする。
このアイデンティティという点ではダルビッシュ選手やヌートバー選手の存在もさらにプラスで相乗効果的に作用してるはず。
ヒーローには明快なアイデンティも必要なのだ。
アイデンティティを認め合い尊重し合えれば、競い合っても争わないような気がする。
戦争なんていうのはアイデンティが強過ぎるから起きてると思う人が多いかもしれないが、アイデンティティが弱いもしくは喪失してるから起こすのかもしれない。