違う見方

新しい時代の始まり。複数の視点を持つことで、情報過多でややこしい現代をシンプルに捉えるための備忘録的ブログ。考え方は常に変化します。

宇宙より深くて遠い世界

ホリエモンロケット、打ち上げ失敗し炎上。堀江氏「今までにない失敗モード」にじむ悔しさ

元ライブドア社長の実業家・堀江貴文氏が出資するベンチャー企業「インターステラテクノロジズ(IST)」は6月30日朝、小型ロケット「MOMO(モモ)」2号機を打ち上げたが、発射直後に落下、炎上した。けが人はいないという。

 

堀江氏も記者会見に出席。「技術的問題がある部分は、ひと通り潰して打ち上げに臨んだが、今までにない失敗モードでの失敗だった」と悔しさをにじませたが、「次の3号機を打ち上げるために、どういうふうに改善するのかが課題。そこに全力投球できるようにする」と、今後の意欲を前向きに語った。

 

失敗した話なのに、見出しは華やかに踊るのが、宇宙関連の話題だ。

 

昨年の11月に「宇宙の魅力」というエントリーを書いた。

 

すっかり忘れていたが、この中で、宇宙が注目される理由として3つがあることを書いたことを思い出した。

 

 

・宇宙から俯瞰で地球を観測することで、景気や投資の判断材料が得られる

 

・あらゆるものが"コネクテッド"な状態を可能にするためには、宇宙を中継ポイントにすることが必要になる

 

・旅行、開発、移住先として

 

 

最先端技術が投入される分野としてのロケットに事故やトラブルが多いのは、しょうがないような気もするが、今回のホリエモンロケットは、アポロ時代の技術を使っているらしいので、最先端というわけではない。

 

 

どうしても自動車と比較してしまうが、自動車の開発の歴史とは、他社の新車を購入し分解調査することで切磋琢磨できたので、技術の均質化と短期間での発展が得られたことが想像できる。

 

同じことは、最近のデジタルデバイスにも当てはまる。

 

iPhone Xの分解 公開日: November 3, 2017

 

 

真似をすることは簡単になったので、技術的優位を保ちたければ先に特許等で武装する必要が出てくる。

 

しかし、分解してバラせば分かるというのどかな時代は既に終わっている。

 

「匠の技」頼みの日本自動車メーカーの危機—— VRでの新車開発でドイツに完敗

電子制御化が進む現在のクルマはソフトウェアの塊だ。

高級車だと、ソフトウェアの分量を示す「行数」は1000万行を超え、ボーイングの最新鋭機「787」の約800万行よりも多い。

 

自動車の世界では、キーワードは"コネクテッド"や"電気自動車(EV)"や"自動運転"に移っているが、これらを技術的に支えるためには、宇宙への進出が必要になる。

 

 

だから、ロケットは注目されるが、車と違って他社のロケットを買って、分解して調べるということができないので、常に手探りになる。

 

こうやって考えると、航空機の発達に戦争が大きく寄与していたことが想像できる。

 

戦争中には、戦争とは直接関係しない、数多くの実験的な事故があったはずだ。

 

宇宙に意識が向かうことが珍しくなくなる一方で、足元への意識はどうなっているだろうか?

 

 

地球深部探査船「ちきゅう」の運用を受託する日本海洋掘削が経営破綻 2018年6月28日

日本海洋掘削は油田やガス田開発のための海底掘削工事を手がけているが、原油価格の低迷でこれらの開発が低迷、受注が減っていたという。

 

 

日本では、海洋開発や海底開発は、資源やエネルギーで捉えるが、あまり盛んではないし、注目もされない。

 

しかし、この「ちきゅう」はそれなりに注目されていたことを覚えている。

 

第1回 「ちきゅう」は海底掘削工場だった!

ちきゅうは世界記録を持っている。科学掘削の世界最深記録だ。たとえば2012年7月には、水深+海底からの深さの世界記録7752.31メートルを達成しているし、海底から掘削した深さでも、2012年9月に八戸の沖合で海底下2466メートルの記録を樹立している。

 

この「ちきゅう」は、SFチックな妄想を掻き立てる存在でもあったが、それはその能力故でもあった。

 

ちきゅうは、水深+海底からの深さのトータルが1万メートルまで到達する能力を持っている。

 

この「ちきゅう」が地震発生兵器だという噂が起きたことがある。

 

東日本大震災も「ちきゅう」が起こしたという噂があった。

 

小松左京の「日本沈没」のような話が好きな方には楽しめる話かもしれない。

 

「井口和基 デマ」、1980年生31歳、工学修士?:何このデマ?

私が不思議に思っていたのは、この地震の生じた時に、掘削船地球がどうしてそんな危ない所にいたのかということである。その理由は分からなかったが、どういうわけか、ちきゅうはかなり地震に近い場所にいた。なぜだろうか? そういえば、NZのクライストチャーチの大地震でも地球掘削プロジェクトが存在した。偶然の一致だろうか?

 

宇宙に比べると、地球探査や海底探査がいまひとつ地味なのは、掘削という作業を伴うからかもしれない。

 

宇宙に向かうことは、自分の体の外のことだが、地球を掘削することは、自分の体を傷つけるイメージを伴うのかもしれない。

 

「ちきゅう」は存続するのだが、運用受託会社が経営破綻したところを見ると、地震発生兵器では無かったということだろう。

 

宇宙関連の話題は、いつも華やかだが、地球や海の話題は、いつも地味だ。

 

無限の宇宙よりも、有限の地球の内部のほうが、遥かに奥が深くて、手が届きにくいようだ。