早く行きたいならば一人で行け、
遠くへ行きたければみんなで行け。
ということわざがある。
英語で言うと、
f you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.
このことわざは、現代ではさまざまなことに関して、良い教訓として引用される。
一般的にはアフリカのことわざとだけ伝えられるが、由来の詳細がわからないことわざの一つだ。
そんな由来の詳細を可能な範囲で追い掛けたのが次の記事。
「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」という「いい話」についての考察。
なるほど、元ネタはアル・ゴアのようだ。
このことわざは、チームプレーや協力し合うことの大切さを教えてくれることわざであるとともに、人間界以外の弱肉強食の自然の世界にも当てはまる。
一匹での戦闘能力は決して最強ではないが、チームプレーを駆使すると最強になるのが狼やハイエナ。
海の最強のギャングと言われるホオジロザメだが、海の世界では最強ではない。
ホオジロザメもその姿を見ると逃げだすのがシャチの群れ。
チームプレーを取るシャチには敵わないと言うことがDNAレベルでインプットされてるのだろう。
チームプレーのメリットはたくさんあげられるし、人間社会に関して言えばその発達はチームプレーが支えたと言えるだろう。
では、そんなチームプレーには弱点は無いのだろうか?
チームプレーが成立するためには、ライバルや危険や困難が進む方向に立ち塞がっているということが前提になる。
チームプレーが有効に展開されるためには、①役割分担がなされる、②役割ごとに序列が設けられる、が必要になる。
つまり、チームプレーとは勝手に個人の意思で行動しない(できない)仕組みで成り立つのだ。
チームプレーが最も機能するのは、立ち向かう相手であるライバルや危険や困難が大きい場合だ。
宇宙からの侵略者が地球を襲ってきた場合、普段は宗教や人種などさまざまな対立要素を持ってるわたしたちは、地球人として苦もなくチームプレーが取れることが想像できる。
しかし、ライバルや危険や困難が変化すると、チームプレーも変化する。
もともとチームプレーの弱点として定番なのが、低い序列に甘んじなければならない人々は内心不満を抱えてるということがある。
その不満を押し留めるだけの別のメリットと折り合いを付けられれば問題はないが、そうでなければ火種がくすぶってることになる。
そして、現代ではライバル企業への転職は珍しくないのでライバルと戦うための一体感がそもそもチーム内に無いと言えるかもしれない。
これは、プロスポーツにも当てはまる。
年俸の高騰は、ライバルへの身売りを防ぐためであり、ファンが思ってるよりはるかにドライな選手とチーム運営の関係が想像でき、高い年俸と引き換えでも敵に回したくないという意思の現れだ。
ライバル関係や敵対関係が質的に変化し、チームプレーを標榜しながらも実質的には個人プレーが展開されるという“チームプレー詐欺”が増えている。
チームプレーを要求しているようで、実際には有効な個人プレーが求められている。
これは、表向きは要求されないので、忖度が必要になる。
個人プレーは、結果オーライだが、失敗するとペナルティの対象になる。
同じチームだと思っていた人々が、結果次第で態度を手のひら返しすることが当たり前になっている。
“チームプレー詐欺”の被害に遭うと心を病むだろう。
チームプレーを要求される場合、被害に遭いたくなければ、ライバルをどのように想定してるかをチェックすると分かりやすい。
ライバルが具体的ではない、要は結果を出せと求められたり、言ってることがコロコロ変わる場合は、チームとして機能することはない。
チームプレーの素晴らしさや一体感をアピールする人や企業の売りことばは要注意だ。
もし、遠くへ行きたいならば、行動を共にする相手は価値観が100%一致してるか、目先の利害を超えて気持ちが結び付く人だけを選ぶ必要がある。
『バカと煙は上りたがる』ということわざがあるが、現代では『遠くへ行きたがる』のもバカの特徴かもしれない。
『遠くへ行きたい』と思った場合、『近く』のことを考えることが大事になるかもしれない。
遠くにあると思ってるものは、案外近くにあるものだ!