『記憶に残る』と『記録に残る』、こういう言い方がされ始めたのはプロ野球でジャインアンツが全盛期の長嶋と王の比較からだ。
記録ではホームランの世界記録を持つ王選手が圧倒的だが、人気は長嶋選手の方が上だったため、記録に残るよりも記憶に残る方が上だとする空気が醸成されたのだ。
しかし時が流れ時代が進み、情報化やデータ化が重視されると記録に残る方が圧倒的に重視されるようになり、記憶に残るという表現は負け犬の遠吠えを思わせるようになった。
しかし、
人間は冷徹な記録よりも時として記憶の方に惹かれることは少なくない。
今日(10月15日)行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で見せた川内優輝選手の走りはまさに記憶に残るものだった。
<参考>
決戦沸かせた川内優輝 魂の大逃げで堂々4位 晴れ晴れ「悔いない走りしたかった。なめんなよ、と」一時2位に40秒以上の差の独走
観てる人を熱くさせたのは間違いなく川内優輝選手で、もし川内優輝選手が出場してなければ陳腐極まりないレースだったことは間違いない。
記憶に残る人というのはヒーローも似合うが、それよりも風車に挑むドン・キホーテのような心意気を持った人こそが最も似合う。
観てる人が最大級の賛辞を贈りたくなる人こそが記憶に残る人だ、しかし記録に残らないのでリアルタイムで観てない人には伝わらない。
ところで、川内優輝選手にはとんでもない記録がある。
今回のマラソンが130回目なのだ。
130回と聞かされるだけでは伝わらないが、視覚に訴えられると響くのだ。
公式パンフレット
— ジャン (@ureshinamida) 2023年10月14日
全員のマラソン歴が掲載されてる
川内優輝…
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これって国民栄誉賞ものだと個人的には思っているが、何の組織力も名誉も与えられないのが川内優輝選手で、極めて日本的扱いだと感じる。