新しい企業がその時代に相応しい企業風土を生み出し作り上げるのは当たり前だ。
しかし、社歴が長くなると、社歴が長くなるということはそれなりの業績を継続できた証でもあるが、時代に応じた企業風土というよりも良くも悪くも長らく維持された伝統の方が幅を効かせる。
興味のなかったわたしには年末になって突然出てきた話に思えたダイハツの認証試験での不正だが、今年の春にはすでに話題になっていたようだ。
同じ時期に問題が広く世間に知れ始めたビッグモーターに比べてずいぶん時間がかかったのは世間に与える影響の大きさも関係してるのかもしれない。
第三者委員会の報告内容からダイハツの企業風土を箇条書きにすると次の8つだ。
①試験は合格して当たり前。不合格となって開発、販売のスケジュールを変更するなどということはあり得ない
②日程に間に合わないと感じ手を挙げると「なぜ間に合わないのか」「どうしたら間に合わせられるのか」「今後どうするのか」の説明に追われる
③問題が起きた時の「で、どうするの?」といった、問題を発見した部署や担当設計、更に言うと担当者が解決するのが当たり前という組織風土
④ 「失敗してもいいからチャレンジしよ」でスタートしても、失敗したら怒られる
⑤助け合う風土は基本的には無い。またそのような環境にあるため「既にスキルを持った人間(=一般的にいう「できる」人)」への負荷が大きく、逆にそれに当てはまらない人間に対し安直に使えない扱いをする傾向にある
⑥なんとか力業で乗り切った日程が実績となり、無茶苦茶な日程が標準となる
⑦管理職は表向きは『何でも相談してくれ」というものの、実際に相談すると、「で?』と言われるだけで相談する意味が無く、問題点を報告しても『なんでそんな失敗したの』『どうするんだ』『間に合うのか』と詰問するだけで、親身になって建設的な意見を出してくれるわけではない
⑧社員若手社員の定着率が悪くこれからの担い手が育っていないことで中堅層が薄く、若手とベテランが多くなってる
現在のダイハツ経営陣はこの体質以外を知らないということも大きいのかもしれない。
この体質はいつからなのだろうか?
もしかしたら、社長以下ダイハツ経営陣はもの言う株主を恐れていたのかもしれない。
だとすると、経営陣も株主にパワハラされていると感じていたのかもしれない。
昨日12月20日東芝が上場廃止した、もの言う株主にうんざりしたのがその理由と報じられている。
儲かりたければ投資しろと言うのが21世紀の日本だが、その流れに比例するかのように日本は落ちぶれていく。
当然だが投資してる人が必ず儲かるわけでもないが、ものを言う投資家ほど儲かる傾向にはあるのだろう。
もの言う株主に目を付けられた上場企業の末路は良さがどんどん失われそうだし、この10年くらいで企業価値が低下してると言われてる企業はいくつもあるが、業績不振の原因がもの言う株主に目を付けられたからというケースも少なくないのかもしれない。
少なくともモノづくりには趣味や遊びの要素がないと良いものは生まれないはず。