言語明瞭だがその割に意味不明で曖昧なものが『待遇』。
辞書では以下のように定義されている。
- 客などをもてなすこと
- 雇用者が雇っている者に対して与える地位・給与など
- それに準じた扱いを受ける地位であること
おもしろいツイートを見た。
働き始めて1年がたった。働く前は怒鳴る医者を見て絶対にあんな医者にはならないと心に誓ったはずなのに、いつからか怒鳴りはしないまでも看護師に強い怒りを覚えるようになった。
— はにかみ研修医 (@you_kumanomono) 2024年3月29日
正直、看護師ほど露骨に相手に悪意を持って接する、感情的な行動を取る人たちとは今までの人生で接したことがなかった。
『待遇』に興味を持ったのはこのツイートに対する次のリプライを見たから。
逆に徹底的に甘やかしたら?
— 根田敬介/丹波デリオーナー・表アカ・45歳・ハゲかけ (@nedakeisuke1978) 2024年3月30日
風俗店経営ですが、徹底的に部下を甘やかすと引き抜きされても戻ってくる(笑)
他に行くとものすごく待遇が悪くなったみたいに錯覚するんですね。
何年か続けると「自分だけの軍団」ができます。
そこまでいったら逆になんでも言うこと聞いてくれますよ(笑)
ツイートの内容は一部の界隈でしか通用しないかもしれないが、誰の心の中にも程度の違いこそあれあるだろう。
『自分だけの軍団』、なんと魅力的な響きだろう。
戦略的な選抜で選び抜かれた集団でも、志を同じくするはずの集団でも、実際に機能する求心力は待遇であり、待遇への期待なのだ。
これは契約のような取り決めとはちょっと違うだろう。
自分は特別、このチームは特別という選民思想なのだ。
エコ贔屓を望むこととも違う気がする。
特別扱いはエコ贔屓ではなく真っ当な評価の結果、あるいは自分は気に入られてるという自己肯定感だと思えるから価値があるのだ。
自分だけは特別と思いたいのが人情なのだ。
『待遇』と表現するとビジネスライクであり商業的だが、特別扱いを意味する待遇は血縁関係的であり、契約や取り決めを超えた関係性が感じられる。
このような『待遇』を考えていたら、時々話題になる経営者の謝罪の失敗例が『待遇』の真逆だなと感じられた。
謝罪を受ける側は特別扱いを望んでいるなんて口が裂けても言わないだろうが、『分かって欲しい』という強い気持ちは間違いなく持っている。
謝罪に値する被害や損害は当事者には特別なものなのだから。
褒められて伸びる、これも特別扱いの一種だろう。
特別扱いはやり方を間違えると、相手はバカにされてると感じる。
良いところや魅力を感じない人に対して特別扱いしようとしても、きっと特別扱いするためのネタが見つからないはず、無理矢理特別扱いしようとしても簡単に見透かされかえって逆効果になるはず。
特別扱いは身近にいる大事な人に限るのだ。
そして本気で美点を見つけることだ。
本気で感じる美点さえ見つかれば、特別扱いは継続すれば間違いなく通じるだろう。
誰だって特別扱いされたいのだから。