隠れた需要というのはどこに存在してるのか分からない。
しかし、目ざとい供給者が現れると需要は一気に顕在化するので、その後はどこで嗅ぎつけるのかと不思議に感じるが、砂糖に群がる蟻のようになる。
そんな隠れた需要の一つがプライバシー。
わたしが自分の部屋を与えてもらったのが小学6年生、3歳下の妹が3年生の時で、そのために父が自宅を増築してくれた。
今では当たり前な子供部屋が決して当たり前ではなかった頃を知っている身としては、プライバシーの原点は個室に宿るんだなと改めて感じられる。
悪いことをしてなくても見られたくないことはあるが、それは見られないようにすることが可能であるから生じる感情のはずだ。
自然界では天敵を持つ生き物がいる、そういう生き物が天敵から身を隠すことはプライバシーではない。
プライバシーとは、人間だけが持つ人格に基づく感情だと言える。
現代では、プライバシーは権利として確立しているので、見られたくない、知られたくないという感情に応える市場(マーケット)が存在するが、行動が多様化した現代ではプライバシーに関するニーズに応えているというよりも、個別で特殊なニーズに応える別のものに見えてることがある。
こんなことを考えるキッカケになったのが次のツイート。
個室DVDのお店ってなんで需要があるのか今まで全くわからなかったんだけど、妻とは10年以上セックスレス、家は35年ローンで人生も辞められず、家に帰れば妻と娘の白い目を浴び1人で解消する事も出来ず、かと言って浮気もする度胸もお金もないおっさんの最後の楽園だと考えると本当に泣けてくるな
— べんぞー (@benzo_z) February 22, 2019
隠れてコソコソ行動する際に便利な言い訳がプライバシーだが、その行動の奥に潜む心情に目を向けると、実に人間らしい悲哀が感じられる、これはこれでエコシステムとして機能してることが感じられる。
しかし、一般的にはプライバシーへの要求が高まるほどコストも高くなる。
だから、ビジネスと相性が良くなる。
石原さとみの一件で思ったけど、あれほどの有名人と付き合うにはやはりお金も大事だなぁと。電車乗れないからタクシー代、完全個室のご飯やさん(プライベート空間を高めるにはランクも高く?)、飛行機はビジネスクラス以上、泊まるホテルも部屋数が限定的な場所...じゃないとプライバシー守れない。
— 透 ◟̽◞̽ ༘* (@toru_miyan) May 17, 2018
今では当然の権利として確立しているプライバシーが、まだ存在しなかった頃、プライバシーはどうやって生まれたのだろうか?
次のような流れは当たらずとも遠からずだろう。
「ザ・ハイブ」ザ・タイクーンの軌跡1
— ポーム (@poom_JMK) October 28, 2017
…なんだ、余所者か。「ザ・タイクーン」について知りたいだと?まあ暇だし、教えてやろう。彼はここのビジネス王さ。最初のビジネスは個室ホテルで、他のホテルが共同の部屋である中、プライバシーへの需要に目をつけて成功したんだ。#fallout4 pic.twitter.com/MF1aAq0sQ3
「ザ・ハイブ」ザ・タイクーンの軌跡2
— ポーム (@poom_JMK) October 28, 2017
彼はスラムの一階ができると、今度は自警団の設立を思いついた。ミニッツメンは不干渉主義だから、当時は盗みも殺しも何でもありだった。それで、お前らが言う「キラービー」を作った訳だ。俺らの寝床は西側五階にあるが、お前は来んなよ。#fallout4 pic.twitter.com/3h4NAwqM54
「ザ・ハイブ」ザ・タイクーンの軌跡3
— ポーム (@poom_JMK) October 28, 2017
自警団のお陰で治安が改善した後、次に乗り出した商売はそう、みんな大好き娯楽施設さ。「ファンパーク」「リストランテ・ブオニッシモ」「ザ・ストリート・オブ・ロマンス」は全部彼の経営だ。全く、ビジネスなんて先にやった者勝ちだよな。#fallout4 pic.twitter.com/MWns0hEsBi
現代人にとってプライバシーは守られて当然で、マズローの欲求5段階で言うと一番下層の生理的欲求だと感じがちだが、プライバシーの普及は3段階目の安全の欲求がクリアされた上に成り立つものだと分かる。
つまり、プライバシーとは平和と安全が成り立っていないと成立しないので、決して有って当たり前のものではないと理解する必要がある。
当たり前でないものには、コストを掛けてでも欲しいと言う需要が潜在的に存在することになる。
デルタ航空、全席個室タイプのビジネスクラス「デルタ・ワン」スイート2017年秋から導入 スライド式ドアでプライバシーを確保。エアバス A350型機から - トラベル Watch https://t.co/POUDfmEsAj pic.twitter.com/X5iaGghL2R
— Travel Watch (@Travel__Watch) August 23, 2016
東京ミッドタウンで今日まで開かれてるアメリカン航空のビジネスクラスの座席を体験出来るイベントに参加した。プライバシーは確保されてるから完全に個室、195cmの丈があるフルフラットシートは快適に寝転がれる。やはりいつかは乗ってみたい!#aaTokyoCaravan pic.twitter.com/EeBwXC25mP
— 101Wataru (@101wataru) October 6, 2018
プライバシーを守ることは閉ざされたクローズドなイメージがあるが、これからの時代には、テクノロジーとセットでオープンな環境下でのプライバシーという需要が顕在化するかもしれない。
自律走行が可能な車が社会に普及したら「車=ホテルの個室」みたいな認識や文化が出てきて、車を高速バスより格安で都市間を結ぶ交通サービスとして使うビジネスも出来るんだろうなぁ
— 蜜蜂 フォロバ95% 絡め (@Mitsubachi_th) November 17, 2018
車の方が高速バスよりプライバシーの保護性が高いし、将来高速バスなどのビジネスに代わって普及するのかなぁ
「プライバシー=個室」という図式は、快適性に向かっていると思っていたが、現代社会ではこの分野にも生産性が顔を出すようだ。
欧米のオフィスはもともと個室が基本だそうだが、70年代以降、普通の日本のオフィスのような大部屋方式が流行った。そして今、大部屋方式は、生産性を著しく下げるという論文が出たよ、という今年1月の記事。... http://t.co/glgCrkMj1l
— makiko shinoda 篠田真貴子 (@hoshina_shinoda) December 7, 2014
生産性には、協力度も含まれるようだ。
【ビジネス】大部屋式オフィスだと協力度が下がるhttps://t.co/IsyMYP2kwg
— めいろま (@May_Roma) November 6, 2018
ハーバード大の研究。仕切りがない大部屋式のオフィスは生産性低下。個室オフィスよりもメールやチャットで交流することが多く、社員のストレス激増。生産性を高めたいなら社員には個室を与えプライバシーを確保すること。
今まで考えもしなかった新しい人間の分類の尺度があるようだ。
- 個室でバリバリ頑張る
- 個室でまったり過ごす
- 大部屋でバリバリ頑張る
- 大部屋でまったり過ごす
さて、皆さんはどのタイプ?